医療ITとコミュニケーション(後編) | 医療ICTの普及に命をかける男のブログ

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医療ICTのエバンジェリスト「MICT」の活動記です

「電子カルテは患者様とのやり取りの記憶が薄くなる」と
話されるドクターが多くおられます。紙カルテだと、過去の
カルテをめくっているうちに、診療の内容をどんどん
思い出せるのに、電子カルテではいくら過去を遡っても、
記憶がよみがえりにくいというのです。

紙カルテと電子カルテの大きな違いは、「文字を紙に書くか」
「文字をパソコンに入力するか」にあります。

この違いは些細なものに感じるかもしれませんが、文字を書く
行為は記憶の定着に有効であるため、文字をあまり書かなくなる
ことは、患者様とのやり取りの印象を薄くしてしまうのかも
しれません。

また、一般的に、コミュニケーションは「意味と感情の
やり取りである」と言われます。パソコンは、「情報の格納」と
「意味の伝達」は得意なのですが、「感情のやり取り」は
苦手なのかもしれません。

心を込めて文字を書く、とは言いますが、
心を込めてパソコンに入力する、と言わないことからも、
心から生み出される「感情表現」は、やはり、紙カルテの方が
優れていると言えるのではないでしょうか。

この記憶や感情を補う工夫として、問診票を紙で残し、それに
必要事項を書き込んでいるドクターや、手書きのメモを併用している
ドクターがおられます。これらは電子カルテの苦手な部分を
紙で残すことで補完しているのだと言えるでしょう。

メール全盛の昨今に、手紙の良さが見直されているように、
電子カルテが普及すればするほど、紙(手書き)の良さが見直され、
紙の良さを活かせるものについては紙のままで、残るのでは
ないかと考えます。