市立函館病院の副院長(消化器病センター長・健診センター長・内視鏡室長)として、今年4月1日に就任したのが消化器内科の山本義也医師だ。日本肝臓学会の専門医・指導医の資格を有する山本副院長は、肝疾患を中心に診療をしている。  

札幌生まれの山本副院長は親族に医療者が多くいることから、医師を志してきた。北海道大学医学部へ進学。1993年卒業後は第三内科に入局する。「当時の第三内科は消化器疾患と血液疾患の両方を診療していました。幅広い疾患を扱う消化器内科は病気の数が多く、様々な症状に対応するところに魅力を感じました」。消化器内科の中で、肝臓を専門とするように なったのは、「研修医時代肝臓の専門グループに所属し、肝疾患の患者さんを多く診る機会があったからです。肝臓の分野をより専門的に診療していこうと決心しました」  

第三内科入局後は北大病院と関連病院で研修を行った。「1998年肝がん転移の分子機構の研究をするために大学院入学後、国立がんセンター研究所病理部のリサーチレジデントとして国内留学をしました。2年半の間、肝がんの本格的な研究に集中しました」。2001年北海道大学大学院医学研究科博士課程を卒業し、市立函館病院消化器内科に勤務した。  

腹部の右上にある肝臓は生体内で最大の臓器だ。肝炎ウイル スや飲酒や過食などの生活習慣、薬物など様々な原因で障害が起こり、急性あるいは慢性の肝疾患を引き起こすが、「沈黙の臓器」である肝臓は疾患が進行するまでなかなか気づきにくいという特徴がある。  

脂肪肝は成人の約3人に1人が罹患している代表的な国民病の一つで飲酒や肥満が主な原因だ。脂肪肝を指摘されても放置していることも多い。しかし脂肪肝からの肝硬変症例は増えているのだ。「肝硬変は慢性肝疾患の終末像ですが、肝臓の線維化が進行し硬くなることで、肝 機能が低下した状態を指します。様々な合併症を引き起こし、肝がんの発生にも大きく関わっています」

(第92号記事より一部を抜粋)

 

山本

市立函館病院の山本義也副院長

(消化器病センター長・健診センター長・内視鏡室長)

 

 

 

今年4月、函館五稜郭病院(中田智明病院長)の耳鼻咽喉科科長に就任したのが伊藤史恵医師だ。  

札幌生まれの伊藤医師が医師を志すようになったのは、幼少期に長期入院加療したことがきっかけだった。「その時の医療スタッフに良い印象を持ち、将来は自分も同じ職業に就きたいと思うようになりました」   

札幌医科大学に進学。「在学中の6年間はずっと呼吸器内科医になることを考えて勉強していました。耳鼻咽喉科にも興味はありましたが、 それはあくまで第2希望でした」。  

転機が訪れたのは函館五稜郭病院での初期研修だった。当時は自分が不器用だと自覚しながら研修をしていたと伊藤医師は言う。「指導医の先生はいろいろなタイプの医者がいてもいいので、 私のような耳鼻咽喉科の医者がいるのも悪くないと肯定的な評価をしてくれました。その先生のおかげで耳鼻咽喉科医としての今があることをとても感謝しています」  

函館五稜郭病院の耳鼻咽喉科は中耳炎やアレルギー性鼻炎、扁桃炎などの耳鼻科疾患の他、甲状腺腫などの頭頸部良性疾患、近年増加傾向にある口腔・咽頭がんなどの頭頸部がんを対象疾患にして、その診断から治療までを行っている。  

頭頸部とは、首から上の脳と目を除いた領域になる。「頭頸部がんには、喉頭がん、副鼻腔がん、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん、耳下腺がん、顎下腺がん、甲状腺がんなど、非常に多様な種類のがんがあります。治療は手術、放射線療法、化学療法を個々の患者さんに応じて行っています」  がん診療連携拠点病院である同病院には、道南圏の頭頸部がんの患者が多く 集まっている。同病院の耳鼻咽喉科は伊藤医師を含めて常勤医3人体制。「耳鼻咽喉科の入院患者の半数以上は頭頸部がんが占めています。頭頸部がんについて、診断から治療までを行っていますが、当院での治療が困難な症例については連携している札幌医科大学附属病院や札幌禎心会病院での治療を勧める場合もあります」

(第92号記事より一部を抜粋)

 

伊藤

函館五稜郭病院耳鼻咽喉科科長に 就任した伊藤史恵医師

 

 

2021年10月に改正された救急救命士法により、救急救命士の業務範囲が拡大。医療機関内での救急救命処置が可能になった。同法の改正は「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進し、救急医療の質を向上させること」で、救急現場での救急救命処置に加えて、病院に搬送された重度傷病者に対して、入院するまでの間、救急救命処置を行うことができるようになった。 

市立函館病院(森下清文院長)は、この改正を受け、2022年4月1日より市消防本部から救急救命士1人の派遣を受け、本格的に「院内救命士」として活動を開始した。  

現在、同病院には院内救命士5人が在籍している。山田直樹さんは2024年市消防本部からの派遣で、他の4人は同病院が募集をして採用された。田中郁也さんと佐藤徳香さんは2023年、片倉匠さんと寺田和真さんは2024年にそれぞれ入職した。  

山田さんは市消防本部から院内救命士として前任者を引き継いで同病院に派遣され、来年の3月でその任期が終了する。「私の役割は院内救命士の指導教育、それと当院に実習に参加する近隣消防隊員の対応を担っています」。八雲町出身の片倉さんは神奈川県横浜市の消防署に勤務。40歳の時に八雲町に戻り、八雲町役場勤務を経て、院内救命士の募集に応募、採用された。田中さんは江差町生まれ。地元の消防署に約8年間勤務後、院内救命士となった。函館出身の寺田さんは新卒で院内救命士となる道を選択した。佐藤さんは函館の高校を卒業後、専門学校で資格を取り、東京の病院や訪問診療のクリニックで経験を重ねてきた。

 

院内救命士

写真左から、市立函館病院救命救急センター管理係の山田直樹さん(主任)、

片倉匠さん(主任技師)、 田中郁也さん(主任技師)、寺田和真さん(技師)、

佐藤徳香さん(技師)

 

 

地域医療支援病院の函館市医師会病院は、地域医療機関からの検査依頼が多いことが特徴だ。画像診断などを担当する診療放射線技師は、高度な医療機器を用いて診断・治療に必要な画像情報を提供している。同病院放射線課には10人の診療放射線技師が在籍。北林幸次課長は「安心・安全に検査を行うため、被曝線量を低減するための工夫など、日々研鑽を重ねて正確な診断につながる精度の高い画像を提供できるように努めています」と語る。放射線課では専門知識と技術を深め、スキルアップを図るために、積極的に認定資格の取得を目指してきた。  

中河竹典さんは昨年10月、血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師の資格を同病院で初めて取得した。心臓や血管の病気を診断・治療する際に用いられるのが血管撮影・インターベンションだ。「当院では、主に循環器科でPCIと呼ばれる冠動脈の血管治療。放射線科でTACEと呼ばれる肝がんの治療に用いています」。器具の進歩と手技の多様化により高い治療効果が期待されるようになったが、中河さんは線量 増加が問題となっていると指摘する。認定試験では最新のデバイスや手技、放射線の安全管理や放射線機器管理などの問題などが多く出題された。「専門的知識を深めることで安全な装置の使用方法を助言することにより、患者や治療に従事するスタッフの安全を守りたいと考えています」

(第92号記事より一部を抜粋)

 

中河

PCI(経皮的冠動脈形成術)の支援画像を作成して 

いる診療放射線技師の中河竹典さん

 

 

 

 

国立病院機構函館医療センター歯科口腔外科は、食べることを支える「口腔・摂食嚥下外来」を開設した。  

函館市の高齢化率は他の地域と比べ高く、高齢者の健康寿命を延ばすことが重要な課題となっている。「フレイル」は、年齢とともに心身が衰えた状態で、健康な状態と要介護の間を示す。フレイルの予防が、健康寿命を延長させるとされている。「オーラルフレイル」と呼ばれる噛む、飲み込みといった口腔の機能が低下しつつある状態は、フレイルの前駆状態とされ、オーラルフレイルの予防がフレイル予防に繋がると考えられている。「口腔・摂食嚥下外来」は、オーラルフレイルの一つである食べる力の機能低下に対して適切に評価し回復を試みることで、食べる楽しみを維持し、健康寿命を延ばすことを目的としている。  

近藤医師は「外来診療の対象となるのは、〇食事時のムセ、のどつまりが以前よりも多くなった。〇食事時間が以前よりも長くなった。〇飲んだものが、しばらくのどに残っている感じがする。〇薬がうまく飲めない。〇誤嚥性肺炎になったことがある。 〇脳血管疾患、神経系疾患の方で、飲み込みに不安がある。以上のような症状が一つでもある場合は摂食嚥下障害と考えられます」と話す。

(第92号記事より一部を抜粋)

 

近藤(国立)

「食べる、飲むに心配なことがあれば皆様の力に 

なれるようにサポートします」と話す近藤英司医師

昨年4月、亀田病院は訪問診療を開始した。訪問診療とは病院への通院が難しい患者の自宅などを医師が定期的・計画的に訪問して、診察や治療、療養上の相談などを行うこと。「当院で訪問診療室を立ち上げたのが昨年の4月ですが、準備を始めたのは2年前になります」。蒲池匡文理事長はそう話す。同病院では2023年に総合診療と訪問診療の経験がある清水平医師の入職を契機に、院内で訪問診療の勉強会を始めるなど、開設の準備を進めてきた。 

昭和38年開設の同病院は長きにわたり慢性期を中心に地域医療を担ってきたが、狭隘な敷地条件や老朽化に対応するため、2009年亀田本町から昭和1丁目に新築移転をした。「従来の療養型から亜急性期、回復期を担う病院へと一大転換に踏み切りましたが、当院の患者さんとは退院と同時に縁が切れます。そこで自宅での療養生活を我々が支援する形で関わりを続けたいという希望が訪問診療の出発点となりました」  

(第92号記事より一部を抜粋)

 

亀田病院

訪問診療について説明をする亀田病院の蒲池匡文理事長と 

同病院訪問診療室看護師長の鈴木貴子さん

 

 

 

8月6日、函館・道南の医療・介護の雑誌「メディカルはこだて」第92号が発刊しました。
函館市内の書店で販売中です。

 

 

亀田病院は昨年4月より訪問診療を開始
蒲池匡文(亀田病院理事長)
鈴木貴子(亀田病院訪問診療室看護師長)

国立病院機構函館医療センター歯科口腔外科は
食べることを支える「口腔・摂食嚥下外来」を開設
近藤英司(国立病院機構函館医療センター歯科口腔外科医長)

函館市医師会病院では初めての
血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師の資格を取得
中河竹典(函館市医師会病院放射線課診療放射線技師)

市立函館病院は5人の院内救命士が活躍
救急救命士法の改正で救急救命士の業務範囲が拡大

昭和書房「松井社長」のオススメの本と雑誌
松井靖介(昭和書房代表取締役)

低侵襲の全内視鏡下脊椎手術を実施
小原 尚(函館五稜郭病院整形外科医長)

総合診療と訪問診療で地域に貢献する
梅津貴之(亀田病院内科・総合診療科医師)

今年4月血液腫瘍内科医師として就任
長谷部理矩(函館赤十字病院血液腫瘍内科医師)

市立函館南茅部病院の新院長に栗原将人氏が就任
栗原将人(市立函館南茅部病院院長)

身近な漢方医学の知識 「便秘について」その2
久保田達也 (久保田内科医院院長)

函館五稜郭病院の耳鼻咽喉科は
道南圏から多くの頭頸部がんの患者が集まる
伊藤史恵(函館五稜郭病院耳鼻咽喉科科長)

2025年4月、市立函館病院の副院長に就任
山本義也(市立函館病院副院長)

高橋病院は患者の満足度向上のための
多職種横断によるプロジェクトチームを設置
滝沢礼子(高橋病院法人情報システム室室長)
豊嶋亜希(高橋病院総合支援センターセンター長)

東洋医学の治療院からーウォーキングの勧め
益井 基(益井東洋治療院院長)

市立函館病院は「DX推進チーム」を設置
デジタル技術を活用して業務プロセスを改善

研究生活日々是好日  「国際交流・ウダヤナ大学」
小熊惠二(介護老人保健施設ゆとりろ医師)

歯列矯正を始める前に知っておきたいこと 〈6〉
古田樹己(ふるた矯正歯科院長)

口腔機能低下症の検査
川瀬 敬(川瀬デンタルクリニック院長)

睡眠時無呼吸症候群と口腔内装置
寺崎誠治(吉田歯科口腔外科)

今こそ『産後ケア』 。すべての母親、女性、その家族へ助産師のケアを
「近くにいます。いつも笑顔で会いに行きます」
小西美雪(にこ助産院)
 

 

 

 

函館市の高齢者施設で職員による入所者への「身体拘束」が明らかになった問題で、市は7月から12月までの6か月間、新規利用者の受け入れを停止する行政処分を行った。
処分を受けたのは函館市の特別養護老人ホーム「恵楽園」(函館市柏野町117)。
市によると、この施設では一昨年の1月ごろから12月までの間、少なくとも20人以上の職員が入所者に対し、ベッド柵で囲んで行動を抑制したり、3年前の8月ごろから一昨年12月ごろまでの間、少なくとも24人の職員が入所者2人に対し腰にシーツなどで巻きつけたりして拘束していた。
市は2023年10月に匿名の通報を受け、24年3月から介護保険法に基づき関係記録の調査や職員への聞き取りなどの監査を実施していた。
また、市は高齢者虐待防止法に基づく調査で昨年12月、身体拘束のほか、処方されていない下剤の投与など計6件の虐待を認定していた。
(NHK、北海道ニュースUHB、北海道新聞)
市内で有料老人ホームなどを運営している「ベーネ函館」に対し、函館市は安定した事業運営が確保されていないなどとして老人福祉法に基づく改善命令を出していたことが1分かった。
命令は3月21日付。市指導監査課によると、ベーネ函館は市内の福祉施設経営「ハーモニー」が所有する建物を使用していたが、ハーモニーが2020年3月に破産手続きを開始したことから両社の間で賃貸契約が成立していなかった。ハーモニーの破産管財人は22年10月、ベーネ函館が当時運営していた高齢者施設8カ所の入居者約150人に対して退去勧告を行っていた。
市は「利用者の状況を確認する必要がある」として、昨年11月から、ベーネ函館が運営する住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の2施設への立ち入り検査を実施。その結果、①経営基盤が整っていない②安定した事業運営が確保されていない―と判断し、今年3月に改善命令を出した。
ベーネ函館によると、施設に入居していた約50人は4月までに全員退去し、会社は廃業に向けて手続きを進めるという。取材に対し、同社は「事業をやめた状態なので、改善命令に応えようがない」とした。
(5月17日北海道新聞より)
水産加工販売業のカネニ藤田水産(森町)と関係会社の函館カネニ(函館市)は、函館地裁より破産手続きの開始決定を受けた。
決定は4月24日で、負債総額は両社合わせて約4億円。
1897年創業のカネニ藤田水産は函館朝市に出店。「かにまん」などの人気商品があった。
2019年9月期には4億円の売上高を計上していたが、その後は新型コロナ禍の影響などから業績は低迷。2023年9期以降の売上高は回復していたが、資金繰りが行き詰まったという。
両社の藤田公人社長は函館朝市協同組合連合会の理事長を務めていた。
通信販売や物産展などの事業は従業員らが作った新会社が引き継ぎ、函館市内の2店舗で営業を続けている。
(倒産情報集積センター、日本経済新聞、北海道新聞より)