『つむぐもの』~映画館で映画なんて観たのいつぶりだ?~ | 医療ライター今村美都ブログ

『つむぐもの』~映画館で映画なんて観たのいつぶりだ?~

東京出張のついでに観てきました『つむぐもの』@有楽町スバル座

介護の方面からばかり事前情報を得ていたので、すーっかり介護がテーマの映画という認識で見始めましたが、それはもうそうなのですが、ざっくり言えば、“きょうだいげんかしてる”韓国と日本を、ひとりの人間と、ひとりの人間からつむごうとする物語、こちらがメインテーマか?


親も呆れる落ちこぼれ、半ば日本に追い出された韓国人のヨナは、‘THE職人’の頑固な和紙職人・剛生の‛介護ヘルパー’として、一緒に生活を始めます。

‘介護とはなんであるか’の先入観がないだけに、介護の世界でまかり通っている「やってはいけない」も「こうやるもの」も軽やかに飛び越えるヨナの‘介護’は痛快。

そりゃあ、真面目に‘介護’やっている‘専門職’からすれば、「理想ばっかりではやっていけない」って、嫉妬もしたくなるよねぇ。

でもさぁ、「管理と支配」に追い込むからこそ、介護はもっと重苦しく、介護する側も受ける側もアンハッピーになってしまう。「介護の世界の常識」を、皆でハッピーになるにはどうしたらいい?って、もう一度問い直してみたら?

と、ヨナのまーっすぐに人と向き合おうとする姿勢は、否応なく私に問いかけてくるのでした。



「私は剛生の介護が楽しいよ」

すべての介護する人が、ヨナにみたいに、当たり前のようにこの言葉を口にする日が、(できるだけはやく)やってきますように。

そのためにはなにをしたらよいかしら?なにができるかしら?と考えつつ、帰りの高速バスで、1月に行った「熊本の地域の縁がわ」の取材記事が掲載されたアンフィニ最新号を読んでいたら、「つむぐもの」のインタビュー記事が!!

すっかりヨナを演じていたキム・コッピのファンになっていたのですが、犬童監督が「撮影の都合でシーンが前後して、そのつど日本語のレベルも剛生との距離も変わるわけですが、それをみごとに演じちゃう。天才ですね、ほんとに」と評価していて、ますますファンに。

剛生を演じていた石倉三郎さんは、犬童監督の注文が厳しくて、この役を演じるのにとっても苦労されたようですが、もともと「引き算の演技」好みの私としては、石倉さんの引き算の演技に惹き込まれることしばし。

よい映画でした。

それにしても、かつてはもうなに観てなに観てないか覚えてないくらい、あほみたいに観てたのに、映画館で映画を観るの何年ぶりだろ?

たまにはよいよね、としみじみ。こういう時間も大事よねぇ。