品川美容外科池袋院(東京都豊島区)の医療事故をめぐり、医師が逮捕・起訴された業務上過失致死事件で、警視庁が今年3月、病院幹部の部屋を家宅捜索した際、捜査資料のコピーが見つかり、押収していたことが23日、分かった。同庁は捜査情報が漏洩した疑いがあるとみて調べている。捜査員が内部資料を流出させていれば、地方公務員法(守秘義務)違反などの可能性がある。

 捜査関係者によると、押収されたのは、平成21年12月2日に同病院の患者、前田京(みやこ)さん=当時(70)=が脂肪吸引手術を受け、その後、死亡した事故の経緯や死因の所見などをまとめた複数の捜査資料のコピー。

 捜査を担当する捜査1課や尾久署などが、捜査の過程で作成した書類など内部資料のコピーだったため、捜査員が流出させた疑いががあるとみられる。

 同課は事故後の同年12月11日、病院の関係先を家宅捜索するなど捜査を開始。今年3月に再び関係先を家宅捜索したところ、幹部の部屋から捜査資料のような書類が押収されたという。

 同庁で書類を分析した結果、捜査資料のコピーと確認され、事件関係者から事情を聴くなど内部調査を進めていた。同病院に再就職している複数の警視庁OBについても、関与がなかったかなどを調べる方針。

 この事件をめぐっては4月、手術した同病院の医師、堀内康啓被告(38)が業務上過失致死容疑で逮捕され、その後起訴されている。

 警視庁では昨年10月、公安部外事3課が作成したとみられる国際テロ捜査資料がインターネット上に流出する事件も起きており、この資料も内部から流出したとの見方が強まっている。
 視力低下の治療で、誤った頭部手術をしたことにより後遺症が出たなどとして、岡山県笠岡市の女性(62)が倉敷中央病院(岡山県倉敷市)に約1870万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁は18日、病院側に330万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2001年11月、左目の視力低下のため同病院を受診。病院側は「前頭側頭開頭術」を決めたが、本来、左側頭部を手術しなければならないのに右側を開頭。ミスに気付いて左側を手術し直し、視力低下は回復した。

 判決理由で工藤涼二裁判長は「(反対側を開頭する)必要のない手術を行った注意義務違反があることは否定できず、精神的肉体的苦痛を与えた」と指摘。一方で、手術後に口が開きにくくなったとする原告の主張は「因果関係は認められない」と退けた。
 県立中央病院(鳥取市)は17日、17年前に椎間板ヘルニアの手術をした兵庫県香美町の60歳代女性の体内にガーゼを置き忘れるミスがあったと発表した。


 女性は腰痛を訴え、昨年7月に別の病院で手術を受け発覚。慰謝料や治療費として県が350万円の賠償金を支払うことで示談が成立したという。6月県議会に賠償金支払いの議案を提出する。

 同病院によると、執刀は当時の整形外科部長と医長が担当。当時はガーゼの使用・回収枚数の確認を行っていなかったという。

 女性は約6年前から腰痛を訴え、兵庫県内の病院で受診。磁気共鳴画像(MRI)検査で腰に影が見つかり、腫瘍を疑われて鳥取大学病院(米子市)で手術を受けた。直径5センチ大の塊になったガーゼが見つかり、摘出後、腰痛はなくなったという。

 同病院では、2004年にも16年前のガーゼの置き忘れが判明。07年にはシリコン製チューブ、10年にもガーゼを取り残すミスがあった。記者会見した武田倬(あきら)院長は「ガーゼの枚数確認など再発防止策を徹底する」と話した。