症例

 

30代女性 首の向きによっての腕のしびれや痛み 握力の低下

 

所見

 

こちらの方は少し前に車の運転中に首を捻ってしまい、首の痛みを相談されていたのですが、治療はすることなくとりあえず病院で処方された痛み止めで様子を見られておりました。数週間経った所で聞いてみると、当初より少しだけマシになったが、相変わらず痛みはあり、なにより握力の低下が酷く、500ml以上になるとペットボトルを持つのも苦労するという事で、このままでは治らない感じがし、日常生活への影響も大きく困っておられるということでご来院されました。

 

過去の背景としては5年前に激しい頸部通を発症。その時も薬だけで対処。過去関節をポキポキと鳴らす矯正を受けた事があり、その時の痛みや恐怖から、特にその後整体や整骨院などは行っておらず、構造的な治療はしていなかった。

 

病院でのレントゲン検査では頸椎4~5番の間が狭くなっているという診断とのことです。診断名としては頸椎神経根症でしょうか。私もそれは同意見で、神経圧迫テストもや頸部伸展位でもはっきりと陽性反応が出現します。胸郭出口Symのテストは陰性です。斜角筋もトリガーポイント程の痛みはありません。

 

ただ、興味深い事に同じような症状が、頸部の姿勢を変えなくても上部胸椎付近、筋肉で言うと上後鋸筋辺りを圧迫しても出現するという事です。トリガーポイント的には腕の方へ神経症状を出す筋肉は斜角筋と棘下筋が多いのですが、実は上後鋸筋も腕の方まで影響を及ぼす筋という事で記載があります。私自身は臨床的には初めての例だったのですが、もしかしたら頸椎だけでなく、この辺のトリガーポイントも併発しているタイプではないかと予測し、胸椎や筋肉を整える事から開始する事にしました。

 

治療

 

寝ていても痛みが出るという事なので、座位にて治療開始。頸部の治療は必ず座位で症状いくらか軽減させてから寝てもらいます。

座位にて胸椎2番4番の歪みを治療

背部トリガーポイント治療

仰向けにて脚部~腹部まで治療。ここで腹部に外傷性の緊張を発見したので聞いてみると、高校時代生身で車に撥ねられた事があるとの事。事故の衝撃は頭蓋と腹部に永年性の歪みを残す事があり、それらは人の手による治療でないと治らない為、かならず治療します。

再度胸椎治療

残った頸椎の歪みを治療。頸椎の歪みは胸椎の治療で消失する事もある為、必ず胸椎から治療する。

頭蓋骨の調整。かなり外傷性の歪みが残っており、治療時間の大半を頭蓋の調整に割いた。

上部腰椎にかなり強い歪みを発見したので座位にて治療。

 

翌週症状を聞いてみると、肢位によってまだ若干しびれは出るものの、握力はほぼ回復したとのことで大変喜んでおられました。ついでに痛かった膝が治るという副産物まで付いてきました(笑)

今後は治療間隔を空けながら引き続きこの方針で治療を行っていく予定です。

 

※施術効果には個人差があります。