今回は専門家向けの記事になります。
lateral thrust(ラテラルスラスト)という現象は治療家泣かせなのです。
lateral thrust(ラテラルスラスト)とは歩行の立脚期(体重がかかる時期)に膝が外側にスライドしてしまう現象です。
O脚の患者さんによく見られるのですが、本人も言われないと気づかないことが多いのです。
ただ膝が痛いとか体重がかからないとかという訴えです。
初期の膝関節症には見られないのですが、進行すると見られる現象です。(全ての患者さんに見られるわけではありません)
膝の調整も割と得意なのですが、このlateral thrustは難しいです。
難しい理由として、色々原因は言われているが根本的にはメカニズムがわかっていないこと、静的アライメントで調整ができても荷重すると膝の制動が効かない(膝が外に大きくスライドしてしまう)、筋肉の対応では限界があるなどがあります。
いわゆる内反モーメントが発生しないように荷重位置を注意させようとしても歩行は基本無意識の反応なので修正は難しいのです。
対象者が高齢者であることも1つの阻害要因です。運動学習の能力や認知力の低下もあり言葉でいくら説得しても厳しいのです。
結局、調整できたアライメント(アライメントの修正が必須です)をいかに無意識レベルに身体に落とし込めるかなんです。
ここで「気功」は大きく役に立つのですが、ただ気を流せばいいわけではないのです。
まず、相手がどういう身体観かをみる必要があります。現状把握です。
物理的なアライメントもみる必要がありますが、それに加えて物理的には見えない(ココロで見る!)ものを見て、それを操作する必要があります。
これができるとたとえ認知症で細かい指示が入りズラい人にでも効果を出すことが可能となります。
膝のlateral thrustは結構深刻で、歩けば歩くほど外側動揺は進み関節破壊も進みます。結局人工膝関節になるパターンが多くなります。
その場で70〜80%ほどの外側スライドを抑えることができたのは大きな成果です。
本人はただ歩きやすくなったという感想でしたが、明らか膝のlateral thrustは改善していました。
どういう風に歩いても言っていません。(これは人によって対応は変えるとは思いますが)
今まで医学で学んできたものでは整合性のとれない世界に突入しています。