内閣不信任案が一両日中にも野党から出される動きがにわかに広がる中、
記者時代のことが頭によぎった。「夜討ち朝駆け」。
「夜討ち朝駆け」という言葉を知っている若者は少ないかもしれない。
記者が取材の一環として、深夜早朝に取材源の自宅及び居場所に訪れ、
ニュースのネタを取ったり、調べている事象の事実関係を確認するために、
行われる。
政局がこのように緊迫する中、永田町を担当する政治部記者をはじめ、社会部記者は、
内閣不信任案の提出をめぐるネタをハントするために、昼夜を問わず、
ニュースソースに飛び込んでいく。提出の時期、造反議員の数の割り出し、不信任案の票読みなど、
取材が必要な対象に限りはない。
インターネットの普及により、キーボードを叩けばある程度の情報が検索でき、要求に応じて、
情報はいくらでも手に入ることができる素晴らしい時代になった。その一方で、新聞、テレビの記者たちは、
自分たちが築いた人脈を通じて、ニュースの端緒を求め、日夜、駆けずり回っている。つまり、価値のある情報、
ニュースバリューが高い、もっと簡単にいうならば、国民の関心の高い情報、伝えなければならない重要な事実は、キーボードを叩いたとしても、入手することは絶対にない。
アナログ的な取材アプローチであると、今の若い読者からはお叱りを受けるかもしれないが、
記者たちの肉体と五感を駆使して、事実に迫る取材手法は過去から今に受け継がれている。
デジタルであろうが、アナログであろうが、重要なのは、国民に価値の高い情報をいち早く伝えるということ。
これが、ジャーナリストとしての良心なのかもしれない。
ふと、「夜討ち朝駆け」という言葉、マスコミを志望する方は、頭の片隅にとどめておいて欲しい。