どすこい 出版流通/田中 達治
¥1,890
Amazon.co.jp
万人に勧められる本ではないので、どういう本でどういう意味があるのかは紹介しませんが、私にはいろいろと気づきがありました。

●不安が蔓延する出版業界の存在意義
「情報発信は誰でもできようが、おもしろい情報を企画して集める能力と信頼で出版社は勝負している。言うまでもなく出版社とは企画を商品化して、その販売利益とリスクを請け負う会社のことである。」

●不景気なご時世でも仕掛けること
「こういうご時世で横並び的な発想は危険だ。みんな骨の髄まで弱気が巣くっているのだ。自分だけでも生き抜いてみせるぐらいの気力を持たなければいけない。前述したとおり今は体力の温存が大切だ。しかしジッとしているだけで体力は消耗するものである。少々のリスクは恐れずにいろいろなことをやってみようと思う。」

●やっぱり出版社はメディア産業でしょ
「本屋をメディアの構成として位置づければ、もっとも読者に近い『端末』とも言うべき業態だ。」

どれも数年前に著者が書かれたものです。出版界では著名な方だったようなのですが、恥ずかしながら、これまで不勉強で存じ上げず。もっと早くに知っていれば取り組みも変わったかもしれません。

しかし、この1,2年思うことですが、もはや「おもしろい情報を企画して集める能力と信頼」が出版社だけにある時代は終わったと感じています。かといって、いわゆるアルファブロガーがそれらに取って代わるとも思えませんし、いわゆるウェブ2.0の仕組みだけでも足りません。一つ確実に言えることは、出版社と個人とがともに「おもしろい情報を企画して集める」ことで熾烈な競争を始めたということでしょうか。

もう1点ここ最近強く思うことは、この本でなるほどなと思った、出版社から本屋までの全体をメディアととらえた視点の話で、人が本を買う物語が変わってきているということ。すでにAmazonで本を買うことが当たり前の時代、本をどうやって書店で売るのかという話にとどまらず、いかに商品化(それは製本が不要かもしれない)し販売利益を得られるようにするのか、そういうことを考えることがこのところとても面白いですね。

で、そうやってあれこれ考え始めると、実際には何も手につかなくなってしまうので、ここはシンプルに何よりも「おもしろい情報を企画して集めること」そこに集中してガムシャラに取り組んでみたいと思っています。

ということで今日もひとつこれはイケる!と思う企画を考えました。
これは売れそう。