待ち時間の解消のために多くの医療機関が
予約システムや、診療順番のお知らせシステムを入れています。
それにより患者さんの利便性は向上し、
さらに、予約管理の業務効率化や、
患者さんの情報一元化により、来院後のアフターフォローはじめ
集患、増患に大きな役割を果たしていると思います。
さて、それ以外に患者さんの待ち時間を短縮できることはないでしょうか？
患者さんが待たされてイライラしている場所は待合。
受付会計はまさにそのイライラを引き受ける場所でもありますよね。
１日の来院数２０名でも、１００名以上でも、
受付の広さはどこのクリニックも２畳程度です。
この２畳のなかでのオペレーションは、
常に患者さんに見られています。
なんだかわからないけど、バタバタして効率が悪そう。
受付に人はいるのに、会計の順番がまわってこない。
無駄に時間がかかっていると感じると患者さんのイライラは増します。
患者さん目線はもちろんですが、実は受付会計スタッフも
業務に無駄に感じていたり、なんとかしたいと思っているのですが、
日常業務に追われ
改善の時間がない。
どうやって改善していいかわからない。
という問題を抱えています。
今日の事例もそのうちのひとつです。
受付で使うシステムが低い位置に配置され、
腰をかがめて利用するか、膝をついて利用するしかありませんでした。
膝をつくことでストッキングが汚れ、いつも黒ずんでいることも
スタッフさんは気にかけていました。
身体的負担、立位での対応ができないこと、
画面を見ての情報共有のしにくさなど、
さまざまな問題がありました。
そして受付背面のプリンター。
背面にあることで患者さんに背を向けることになります。
また、カウンター内の人の出入りが頻繁にあるので、
振り向く動きで人を避ける動きも生じます。
振り向く動作ひとつですが、無駄が生じるのです。
プリントのたびに5秒。1日100名の来院数であれば、
1日500秒（約8分）かかっています。
１ヶ月20日診療として10,000秒（約166分）。
これを、少ないと見るか、多いと見るか。
改善とは日々の積み重ね、些事が万事に繋がります。
細かいことを気にすることができなければ、
大きなことは成し遂げられないと考えます。
そこで配置替えです。カウンター上にＰＣ。
ＰＣのあった場所にプリンターを設置しました。
この配置替えに20分程度の作業時間がかかりましたが、
圧倒的な問題解決をすることができました。
✅立位での接客
✅画面共有
✅身体負担の軽減
✅情報共有の円滑化
✅ムダな動作の削減
もともと、情報保護の観点から低い位置に設置されていましたが、
PCの背面に柱があることにより、受付外側から覗き込むことは
難しい位置関係になるので、それも安心です。
たったこれだけのことですが、
日常に慣れ、景色となってしまうと、
使いづらさに気づかなくなってしまいます。
人が労働環境（型）に合わせるようになります。
そのつくられた型に問題があると多くの無駄を生み、
働く人のストレスとなります。
そして、医療機関は女性が多い職場です。
女性がストッキングの汚れひとつも気にしながら仕事をするのは、
気分という働くために大事なリソースを損なってしまいます。
日々モチベーションを持ち続けて仕事をするのって
とても難しいことです。
無理してモチベーションを上げさせることより、
1日気分よく働くことができることのほうが
生産性は向上します。
さて、令和元年5月1日。
ブログ間に合いました。
これまで５年間に渡り、
多くの医療機関の職場環境デザインに関わらせていただきました。
なかなか発信する準備と機会がなく、
どんなことをやってくれるの？
どんな成果が出るの？ということを
伝えてこられなかったと思います。
このブログを通じて、医療機関の発展と、
働く環境を整える重要性を伝えていけたらと考えております。
よろしくお願いします。
株式会社ヴァンヴィーノ
杉田明子