自戒を込めて。
1ヶ月の地域研修が終わりました。
病院全体としてはまあ、、、慢性期ってこんなもんだよね、という感じだったのですが、指導医の先生が大変教育熱心な方で、色々と教えてもらいました。
この1ヶ月で強く感じたのは「次の一手を準備しておく」こと、「病態を理解する」こと、この二つが圧倒的に足りてないなということでした。
・次の一手を準備しておく
救急でも病棟でも大事なスキルです。
今まで私は「肺炎が疑われるので胸部Xpをとります」とか、「心筋梗塞の除外目的に心電図と採血取ります」とか、思考の道筋が一直線でした。
そして、「検査で何もなかったです、どうしましょう」を言いにいくためだけに指導医の患者対応が終わるのを待ちぼうけていることがちらほら、、すごく時間の無駄ですよね。
検査を出す前に、せめて樹形図の一つ先の分岐くらいまでは考えておくべきです。肺炎が疑われたら何をする、何も所見がなかったらどうする、とか。特にコンサルの時に「検査で所見がなかったらどうするか」くらいは聞いておいても良いですね。帰宅までさせてしまって良いかどうか。まあ検査見てから考えようという先生もいなくはないですが、その時は元気に返事しておけば良いです。
とにかく、所見がある時とない時で次にどう動くかを意識するようにしようと思いました。
・病態を理解する
マジで難しい。正直全くわかんないことも多々ある。でもわかってないままほっとくと痛い目を見ることがある。それが病態。
病態、というとサイトカインが〜血管内皮細胞が〜みたいな組織生理学ちっくな話を想像しがちですが、そこまででなくとも「なぜこの患者さんはこの状態になっているのか?」「この画像所見は一体どういう状態を意味しているのか?」を、少しずつでも考えることが重要だと思います。
ある入院患者さんで血糖コントロールが急激に悪くなったとします。しかし発熱やバイタル悪化などはありません。こういう時に「なぜ血糖コントロールが悪くなったのか」を考えることが重要です。血糖コントロールの悪化といえば膵癌が連想されがちですが膵癌で数日の経過で急激に悪くなることはありません。血糖が高くなる原因には色々ありますが、インスリン抵抗性の増大に着目すると、体の中で何か炎症が起こっているのではないか、と考えることができます。こうして発熱やバイタル悪化が出るより先に患者さんの状態の変化に注目することができるようになるのです。
要は、なぁぜなぁぜ?の精神が大事というわけです。なんか抗菌薬ぶっ込んだら良くなった、では一生医師として成長できませんから。
それともう一つ、「常にフルパワーver.の選択肢を提示できるようにする」ことも教わりました。
今は超高齢化社会ですから、よぼよぼのおじいちゃんおばあちゃんに対してカテ!CV!内視鏡!などマックスの検査や治療をしないこともよくあります。実際、どんな検査も患者さんの体には多かれ少なかれ負担がかかりますし、「高齢だし体力もないからほどほどにしておこう」は実に理にかなっています。検査のせいで死ぬこともありますし。
しかし、考えなしにそれを繰り返しているといつか若い人や全力を出さなければならない人が目の前に来た時に戦えなくなります。
「もしこの症状に対して全てやれと言われたらどうするか?」
超高齢患者さんを見た時ほど意識して考えるようにしたいものです。
尊敬できる指導医に出会い、考え方が大きく変わった1ヶ月でした。