写真1(↓):「バラ色の塔のあるイタリア広場」(1934年ごろ)

 

 

この作品は1913年の同タイトル作をリメイクしたもので、1913年のものはデ・キリコの初めて買い手のついた作品だそうです・・・上差し

 

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1910年の秋晴れの午後、腸の病気から回復したばかりのデ・キリコは、イタリア・フィレンツェにあるサンタ・クローチェ広場のベンチに座っていた。

 

そこはデ・キリコが何度も足を運んだ場所で、目の前には大理石の噴水や聖堂のファサードなど、見慣れた風景がいつも通りに広がっていた。

 

だが、デ・キリコはこの時、あらゆるものを初めて見るかのような不思議な感覚におちいったという。

 

デジャヴ(既視感)とは逆のジャメヴ(未視感)いう現象である。

 

彼はこの時の体験を、「不思議な感覚におちいった私の脳裏に、絵画の構図が浮かびあがってきた。こうして生まれた作品を、私は『謎』と呼びたいと思う」と述べたという。

 

こうして、謎の「イタリア広場」の絵が繰り返し描かれることとなった・・・カラーパレットカラーパレットカラーパレット

 

写真2(↓):「イタリア広場(詩人の記念碑)」(1969年)

 

 

デ・キリコが脳裏に持ち続けたジャメヴのイタリア広場は、謎の時間、謎の光と影、謎の静寂に包まれており、その不思議なムードが彼の絵の最大の魅力だと僕は感じています・・・真顔

 

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続く・・・走る人

 

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