マティスは1940年代から、切り絵の作品を多く手掛けるようになります・・・
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1941年に十二指腸がんの手術を受け、その後ベッドと車椅子での生活となりました。
そこで助手に水彩絵の具で様々な色の紙を用意してもらい、ベッドで、あるいは車椅子でそれを切り抜き、それを組み合わせて切り絵の世界を展開していきました。
マティスは1920年代からスランプに陥り、1930年にタヒチを旅行して様々なインスピレーションを得たと思いましたが、フランスにもどるとまたインスピレーションが湧かなくなってしまったそうです。
1941年に大病をして、体力の低下を補うために切り絵を始めたところ、タヒチで体験したイメージが次々と湧いてきて、それが「ポリネシアの海」という作品に結実しました・・・
写真(↓):ポリネシアの海(1946年作品、本展で購入したクリアーファイルより)
ポリネシアの海での鮮烈な体験は、一度画家の無意識の海に沈み、10年以上の眠りの後に、病の床の中で鮮やかに目覚め、こうして作品として定着していく過程を、この絵の中に見ることができました・・・
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次回は、切り絵のジャズです・・・
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