りさぽん短編です。




















熱い夢を見た。 彼女と、愛し合う夢を。 足がすっぽり抜ける砂浜の上を歩く彼女と手を取り合ってその後を追って歩く、私。私たちは裸足であっけなく熱い砂を歩いてまた歩いた。じめじめした空気に息苦しそうに息を吐き出す私と楽しそうに軽い足取りで走る彼女。


「 ゆっくり行こう」私の言葉に足を止めて振り向いて私を見下ろした。 頭頂部にわたる熱い夕焼けの光にやっと開いた目は、その子の唇に触れた。言葉が聞こえなくてもどかしい私は胸をつかんだ。目を合わせようと努力しても目が開かなかった。パッと。彼女の唇が軽く私の唇に触れた時、目が覚めた。












「はぁ……朝からなんでこんな夢を……」




目を開けなくても朝ながわかる。熱い日差しが窓を伝って入ってくる。夜明けの間ずっと回っていた扇風機はいつのまにか電源が消されていた。静かな部屋はまだ朝なのに熱い空気が流れていた。


起きる前に見た夢が思い出した。私……先生と………体が熱くなるのを感じた。朝からなにしてんだ私。忘れようとしても彼女の顔が頭から離れない。また体が熱を帯びる。


シャワーでも浴びよう。熱くなっている体を冷やすため冷たい水で体を洗った。頭の上に落ちてくる冷い水に打たれながらあの夢に対して考えてみた。波の音も聞こえない海で彼女と私は何をしていたのだろう。先生……先生が夢にでるのも久しぶりだね………




「行ってきます」




適当に準備をして家から出て学校に向かう。家から出たばっかなのに首筋を伝って流れる汗に家に帰りたくなった。暑い。夏休みなのになんで学校に行かなきゃ行けないの。こんなことを考えるのももう2週目だった。夏休み中の補充授業。自業自得だけど、行きたくない。しばらく歩き続けるといつの間にか学校に辿り着いた。


教室には誰もいなかった。あ、一番か。なぜだか嬉しくて口角が上がってしまう。あ、初めてだった。先生より早く教室に着いたのは。自分の席に座ってスマホをみているドアを開く音が聞こえた。




理「今日は珍しく早いね」


由「普通ですよ」


理「いつも時刻するくせに」




国語の渡邉先生。相当口調が悪い。けど、私はそんな彼女が好きだ。




理「また無視か」


由「無視したことないですよ?!」


理「まぁ……小林さんは私のこと嫌いだもんね」




え、なんで。1番好きですよ。誰よりも先生のことを愛してます。そう言いたかった。けど、私は素直じゃない。また心にもないことを言ってしまう。




由「よくわかってますね」


理「そりゃわかるでしょ。私の科目だけいつも赤点じゃん。頭いいくせに」


由「まぁ」


理「どーせ補充授業もいらないんでしょ?」


由「まぁ」


理「じゃ、自習して」


由「はーい」




バッグから本を出して勉強をする。先生はスマホをみている。私が1番好きな時間。誰にも見せない彼女のオフな姿を見れるこの時間だ。なんか呟いてる彼女の唇は本当に美味しそうに見える。あ、夢であの唇にキスをしたんだ。夢の中の先生を思い出すとすぐ体が熱くなる。それでも彼女の唇に夢中になって、なにも考えられない。あの、唇にキスをしたい。先生の唇に…あの大きい手が私を触って欲しい……













「……さん……こ……やし……小林さん!!」


由「は、はい!!」


理「大丈夫?さっきから顔赤いけど」


由「だ、大丈夫です……」


理「本当に?熱でもあr「やめてください!!!」」




私の体を触る彼女の手を思いっきり振り切った。驚いてるように見える彼女。そんな彼女はなぜだか悲しそうに見えた。




理「ごめん。いやだったよね。1番嫌いな人に触られると気持ち悪いよね……」




そんなわけない。あなたが好きすぎて、あなたを意識しすぎて、キモい妄想をしてる自分が恥ずかしいだけだ。けど、私は素直じゃない人だ。だからまた彼女を傷付けてしまう。




由「そうです。もう触らないでください」




少し気まずい沈黙が流れた。




理「ごめん。今日暑いし、そろそろ帰ろう。もう授業も来なくていいよ、」


由「ありがとうございます。では」




そして逃げるように教室を抜け出した。そして走って走って走って家に着いた私は自分の部屋に入って制服も着替えずに布団をかぶって今まで出したことない大きな声で泣いた。


起きた時には外はもう真っ暗になっていた。あ、全部終わったんだ。もう先生に完全に嫌われた。全部、全部私が悪いんだ………


頭を冷やすため夜の空気を感じながら散歩をした。いつもなら嫌なはずの暑い風もなぜだか気持ちよく感じられた。近所の公園に向かった。さっきまでうるさく感じたセミの音も、清涼に聞こえてきた。私、別の世界にきているんじゃないかなって感じるくらいさわやかな感じだった。


結構暗くなってしまってそろそろ家に帰ろうとした時、どこかで見たことあるような背中が見えた。私は本能的にその人を追いかけてしまった。そして、気づいた。あ、先生なんだ。私が追いかけてしまったその人は、先生だっだ。


彼女の横顔がもっと輝いた。いつもよりももっと、もっと美しく見えた。また体が熱くなってきた。一歩一歩彼女に近づいた。この熱のせいだろうと、もしかしたら夢の、セミの鳴き声の、この季節のせいだろうと思いながら先生を抱きしめてしまった。


先生の体がビクッと震えた。きっと驚いたはず。自分のことが1番嫌いな生徒が急に自分を抱きしめるなんて……それでも先生はしばらく私を抱きしめたまま背中を撫でてくれた。



理「小林さん……?」


由「先生……」




私を見下ろすその顔は夢の中の先生と同じ顔をしていた。一瞬だった。その先生の唇に自分の唇を重ねたのは。




由「好きです。先生好きです……」




もう一度、彼女に自分の唇を重ねた。さっきよりもっと長く、もっと深く。先生から離れてやっと彼女の顔が見えた。




由「せんせっんんっ……!!」




その瞬間先生に激しいキスをされる。さっき私がしたキスとは違う大人のキス。先生の舌が私の口の中を犯して行く。激しく舌を絡んで息が上手くできない。息が苦しいけど、嬉しい。この時間が終わらないで欲しい。




由「はぁ…はぁ……はぁ…………」




今まで見たことない笑顔で私を抱きしめながら好きって伝えてくれる先生。




理「小林さん好きだよ……大好き………」


由「私も好きです……」


理「だから私と付き合って欲しい」


由「はい……!私でよければ是非……!」




彼女の手をぎゅっと握った。



理「もう暗くなったし、家まで送ってあげる」


由「はい」




家に向かいながら先生に言う。




由「今度海でも行きませんか?」


理「いいけど、なんで海?」


由「なんとなく。先生と砂浜の上を歩きたいなと思っただけですよ」


理「いいよ」




「キスもしましょ」と言うのはもう少し我慢してみよ。きっと、そっち方がもっとドキドキするから。また体が熱くなるのを感じた。熱を冷やしながら思った。きっときっとこれは季節のせいだ。




































お読み頂きありがとうございます

では、バイバイ



みちえだ