今回は「フォーム修正のために意識をしても、なぜ変化しづらいのか」と「意識」について欠いていきます。
スポーツでは競技力向上のため、怪我防止のためにフォームを修正することは少なくありません。
みなさんもこんな経験はありませんか?
コーチや指導者から「こんな動きになっているから○○を意識して練習しなさい」と指摘をされ、意識をしたけど全然動きが変わらない。むしろ悪いほうに変化してしまった。etc,,,.
ではなぜフォーム修正はこんなにも難しいのでしょうか?
まず、私はフォームの修正には3つのフェーズが存在すると考えています。
1つ目は、修正したいポイントの認知。
何処を修正するかに気づき、どのような方法で修正するかを考えるフェーズ。
2つ目は、修正のための意識、反復。
修正したいポイントを明確にし、修正のための意識を持った状態で動きを反復し、身体に刷り込むフェーズ。
3つ目は動作の自動化。
意識せずとも修正したかった動きを体現することができる。
この3つのフェーズを完了するとフォームが修正された!といってもいい状態になります。
しかし、フォームの修正は、自分の感覚に基づいて動作を調節することから主観と客観に”ズレ”が生じます。
村木ら(1995)、太田ら(1998)、伊藤ら(2005)の研究では、努力度60%で走ってといわれて走ると全力時の約80%もの速度が発揮され、努力度90%で走ってといわれると全力時の約95%のパフォーマンスが発揮されるといった関係性が報告されています。
これらの研究からわかるように主観的努力度(主観)と客観的指標(パフォーマンス)には差異が見られることがわかります。これはタイムや速度だけでなく、動作(フォーム)にも同じようなことが言えます。
意識とは違う動きをする身体と向き合いながら、フォーム修正をしなければならないことを考えると、フォームを修正することが、どれほど途方もない作業なのかわかります。。。
そんなこといいつつも、通らなくてはいけない道であることは誰にでもわかります。
じゃあどのようにフォーム修正をしていけばいいのよ!と思うかと思いますが、こればっかりは反復練習しかありません。
そんなことはわかってる。読むだけムダだった!と思うかと思いますが、本題はここからです!!
上記で3つのフェーズの話しをしましたが、もちろん重要なのはフェーズ2です!
例えば腕振りが開いてしまうため、まっすぐに腕を振るように修正したいとします。
多くの方は、次のようなフローで修正するのではないでしょうか?
・まっすぐ振るためにジョグから腕をまっすぐ振ることを意識する。
・ドリルや流し、本メニューでもまっすぐ振るように意識する。
私であれば次のようなフローで修正します。
・脇の下に紙を挟んだイメージを持って、その紙に沸き汗をこすり付けるように腕を振る
は?、、、って感じですかね?よく言われます。
これはあくまで私のイメージであって人によっては異なりますし、話したい内容はそこではありません。
私は”意識の定義”について、多くの方が勘違いをしていらっしゃると思っています。
なぜなら、まっすぐ振る意識を持って走って修正できるのであれば、大げさな話、あなたは簡単に10秒中盤で走ることができるでしょう。意識したことが体現できるのだから。
上記のように意識と体現されるパフォーマンスには差異が発生します。それはタイムや速度だけでなく動作(フォーム)も同様です。
速い選手へ質問するときこんな質問をしている人を見たことはありませんか?
「○○選手は、○○をするとき、何を(どんな)意識していますか?」
きっと多くの速い選手は丁寧にこう答えてくれるのではないでしょうか?
「ゆっくり走るときや日常生活から意識をして練習するといいよ!」と、、、
たまに某野球監督のように「それはタッタッター!ってしてビューって感じでドン!みたいな感じ」などと伝えてる人を見かけますが、これが私の考える”意識の定義”の違いです。
速い選手はそれぞれ、「こうイメージして動かしたらこうなる」という方程式とでもいいましょうか、独特な意識や感覚をもっていることが多く、その方程式より動きを獲得していることも多々あると考えられます。例で示したのはその一端です。
昔から武道の世界では「守・破・離」などとも言われますが、、まずは速い人の動きを自分なりの感覚でトレースし、自分なりの方法で最速を目指してはいかがでしょうか?
言われたこと、意識しなければいけないポイントの表面的な側面だけを意識することから脱却することが、案外最速への近道かもしれません。
ちなみUsho B(1990)の報告よれば課題解決には全力の80%程度で取り組むことが有効だというデータもありますよ!
<参考文献>
伊藤浩志,村木征人(2005) .スプリント走における主観的努力度の違いが疾走速度,
ピッチ・ストライド,下肢動作に及ぼす影響.スポーツ方法学研究, 18(1) , 61-73.
村木征人,伊藤浩志,半田佳之,金子元彦,成万祥(1999).高強度領域での主観的努力度
の変化がスプリント・パフォーマンスに与える影響.スポーツ方法学研究, 12(1),
59・67
太田涼,有川秀之(1998).短距離走における主観的強度と客観的強度の対応関係に関する研究.陸上競技研究,32,2・14..
Usho B ,Vilcow 1(1990) .The stucture of sprint training .M odern athlete andcoach,28 (3),31・34.