前回はピッチを上げるための練習法をご紹介しましたが、

陸上競技を始めたばかりであったり、指導者がいない方(練習レパートリーが少ない)は

私と同じ感じ方はしないかと思いますが、ある程度練習方法などを知っている方からしたら

”速い選手も同じような練習してんだなー”と感じたかと思います

 

そうなんです!トップ選手もそうでない選手も練習方法としては

大きく違う練習をしているわけではありません!

しかし、同じような見た目のトレーニング方法であっても消化の仕方で

意味のあるトレーニングにも、う○こな練習にもなりえるのです!

 

本屋さんなどで「これさえやれば!みたいな表紙の本などもありますが

実際、それって普通じゃん、、、となることが多です。

門外不出の秘伝のトレーニングみたいなのってあればかっこいいですが

実際問題そういうのをうたってる本などをみたら大体怪しんでますw

話しはそれましたが、前回まで2回にわたりピッチについてまとめてきたので、

今回からはストライドについてまとめて行きます。

 

毎回のように書いてますが100mのパフォーマンスを上げる要素として

3つの要素が考えられます。

①スタートから最大速度が達成されるまでの時間を短縮させる

②最大疾走速度を高める

③フィニッシュにかけての疾走速度の低下を抑える

 

疾走速度は”ピッチ × ストライド”によって決定するので

ピッチもしくはストライドの一方のパフォーマンスを大きく落とすことなく

一方を高める。もしくは両方を上げることで最大疾走速度を高めることができます

 

 

【注意】これからまとめる内容は最大疾走速度での議論であり、加速局面や減速局面の場合は異なる可能性があります

 

~ストライドの構成要素~

①支持距離

接地中に重心が移動する距離

我々はこの支持期に地面から力を受け、速度を決定しています。

 

②滞空距離

足が地面から離れ、次の足が接地するまでの距離

 

滞空距離を決定付ける要因として離地時の重心速度(鉛直=地面に対して垂直)の

影響を強く受けていることも報告しており、、重心速度(鉛直)は地面反力の力積(鉛直)と関係していると報告しています。(Hunter at al.,2004)

似たような研究で、松林(2012)によればストライド型の競技者はピッチ型の競技者と比較して地面反力の鉛直成分のピーク値が大きい傾向にあったと報告しています。

これらをまとめるとこれまでより大きなストライドを獲得するためには

接地中に地面へより大きく力を加え、滞空距離を大きくすることが重要だと考えられます。

支持期が凄く重要なファクターであることがわかりますね!

 

ここで注意しなければならないのが、滞空距離をただ大きくするだけではなく速度も重要であるということです。

速度は時間に関係するパラメータであるため、より滞空距離を遅い速度で達成すると

滞空時間が増大するため、接地時間と滞空時間の総和であるピッチが減少することになります。

 

”ピッチ × ストライド=速度”である以上

一方が減少して一方が微増では速度が落ちる可能性もあります。

上記のように一方のパフォーマンスを大きく落とすことなく、一方を高める。もしくはその両方を高める必要があるため、どちらを伸ばすことが自分にとってメリットが大きいかを考えて

トレーニングに望みましょう!

 

次回は大きなストライドを獲得するための具体的なトレーニング法を紹介していきます。

 

 

≪参考文献>

Hunter, J. P., R. N. Marshall, P. J. Mcnair. (2004) Interaction of step length and step rate

during sprint running. Med. Sci. Sports Exerc., 36 (2) : 261-271.

松林武生(2012)陸上競技のサイエンス スプリント動作のメカニズム 〜速く走る動作の特徴〜.月刊陸上競技,46 (3):216-218.