「おわりの雪」
北村太郎
(1922年11月17日
~1992年10月26日
詩人、翻訳家)
屋根裏の部屋で
わたしは明かりを消した
障子に黒く
雪がふぶいた
棟木がきしみわたしは泣いた
でももう月だった
鼠が駆けた
虫の骨が飛んだ
むかしの恋よさようなら
ふとんがずれて
父も母も死んだ
朝の青の光に
みどりの森が斜めに流れ
藁がさわさわ音たてて
わたしの髪に降るのを夢にみた
闇に目ざめてもう一度泣いた
鳥山明さん、tarakoさん
安らかに眠られます様
お祈り申し上げます。