徒然なるままに 国会と法案 | meaw222のブログ

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衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙の投開票が28日に実施されました。

この選挙は、自民派閥による政治資金規正法違反事件後初の国政選挙で、「政治とカネ」が最大の争点ともなっていますが、これに限らず現政権に対する国民の支持の可否をも占うものとなっています。

 

また、衆院東京15区(江東区)補選では、ある諸派新人の陣営が、他の候補者の街頭演説中に大声を張り上げるなどし、「選挙妨害だ」との批判が続出するなど、選挙活動の在り方が問われるなどの問題も発生しています。

 

この選挙の結果は、開票後、ほぼ秒殺状態で自民党が3敗となります。

これは、国民から現与党である自民党への大きなメッセージとなりましたが、恐らく首相にはこの声は届かないのではと思います。

 

 岸田内閣の支持率と政策変更

 

岸田政権が、2021年10月4日に発足して早くも2年半が過ぎようとしています。

発足当時は、60%近くあった支持率も徐々に低下し、2024年4月現在は支持率が僅か23%(不支持が58%)となっています。年齢別にこの支持者を見てみると、70代60代が軒並み支持率の上位を占め、反対に20代30代の未成年の子供を持つ働き世代が、急激に支持率を低下させています。

 

この為に、岸田首相は、20代30代の支持率を高めるために、本国会(第213回国会・常会)に「子育て支援」関連の法案を多数提出。これが可決する模様です。

 

当然、財源が必要となり、財源確保の為の増税が行われます。これにより、国民の負担は当然増加します。これに対して、現政権では、景気回復による賃上げにより負担増を軽減させる考えではありますが、これはハッキリと言って「古いモデル(終身雇用制の社会)」を基にしており、賃上げ政策は失敗すると容易に想像できます。(企業にとっては、終身雇用制であれば給料を上げることにより労働力を確保する他ありませんでしたが、労働力の流動化により、給料を上げずに十分な労働力を外部から得ることができるためです。その為に、企業側は、より安い労働力を確保する目的で外国人労働者に目を付けます。そして、これが、さらなる人権侵害である経済的奴隷制を助長することとなります。)

 

 給料アップの影響

 

アメリカでは急激な消費者物価指数(Consumer Price Index/PCI)上昇が、インフレを引き起こしていることが判明します。今までは、原因は、原油などのエネルギー関連価格であると思われていましたが、この価格が下がってもPCIは下がる事はありませんでした。これは、アメリカ財政の関係者を大いに驚かせ、「PCIショック」という言葉が囁かれるようになります。

 

実は、このPCIの上昇の原因は、好景気による人手不足とそれを補うために給料が上昇であることが判明します。つまり、日本で同じように給料を上げたとすると、円安で消費者物価が上昇している流れを更に加速させ、コントロールの出来ない状態まで引き上げることとなってしまいます。

 

従って、人口減少下において、安易な給料アップも日本の経済にとっても危ない選択肢であると言えます。

 

 目の前にある危機

 

もっとも、小泉政権時に、国際的な競争力を高めるといった誤った考え(アメリカのゴリ押し)により、日本式の終身雇用制が解体され、労働力が流動化し、企業にとっては最も費用が嵩む人件費の削減のみに利用されたために、企業の内部利益率は上がりますが、その企業で働く人材の多くが、経済的奴隷制である「派遣・契約社員」となります。当然、この様な雇用形態では、給料アップはされることは無く、当然の結果として、インフレによる負担増を企業(法人)ではなく、すべて国民が負担することとなります。

 

因みに、今日、小泉政権時に作られた「派遣法」とは、企業と労働者の間に派遣会社を入れることにより、労働力が終身雇用制で固定されていた状態から、労働力の流動化を目指した政策でした。

この「派遣法」では、企業は、派遣会社に人材斡旋してもらい、その労働力の対価として給料を派遣会社に払います。派遣会社は、その給料の3割を取り、残りの7割を労働者に支払います。

良くこのピンハネの状況を、表面的に見て経済的奴隷制と言う人がいますが、これは、間違いです。

 

確かに、派遣会社は、給料の3割をピンハネします(他の国の派遣会社は平均1割程度)が、実はこれには裏があって、本来企業が負担すべき社員の厚生関連費用(失業手当、健康保険料等、その他)を給料に上乗せして派遣会社に支払っています。その為に、派遣会社は派遣社員に厚生関連の費用を負担する名目で2割、そして手数料として1割をピンハネする訳です。

 

従って、派遣社員は、基本的には企業の社員食堂などの厚生施設を使用することができません。

酷い所になると、企業内に置いている自動販売機や企業のエレベーターさえも使用できない場合があります。

 

この様に、派遣社員は、派遣会社の社員でももなく、かと言って、企業の社員でもなく、そのどちら側からも、いつでも首を切れる只の人材でしかないという存在なのです。つまり、経済的な奴隷であると言えます。

 

少し脇道に入ってしまいました。では、本題に戻します。

 

弱り目に祟り目で、アメリカは、景気が過熱するのを防ぐ為及びインフレ上昇を抑えるために、なりふり構わない政策(金利の異常な引き上げ)により自国の経済を防衛しようとします。その結果、日米の金利差が大きくなり、急激な円安を引き起こし、輸入品の価格高騰が起こり、それを企業は安易に価格に反映させることにより、更なる国民の負担を増やし、国民の生活そのものを圧迫しています。

 

負の連鎖は更に進みます。円ドル為替変動は、対ユーロに飛び火し、全面的な円安を引き起こします。これは、食料品等の生活必需品の殆どを輸入に頼っている日本にとっては、最悪の状態しか引き起こしません。

 

更に、アメリカは、バブル期に入ったと言われるアメリカの好景気を背景にドル高を容認します。それと対照的に日本では、出生率が急激に低下し、労働者数が減少。

 

当然、労働者が減少すると、インフレにより経済が上向きになっても、人手不足により景気が思うように上がらず、景気上昇を抑えてしまいます。このまま、人口(労働者)が減少すると、同じく消費者(=労働者)の数が減少し、日本の経済規模も減少していきます。残ったのはコントロールの利かなくなったインフレのみです。

 

これにより、現在の日本は、バブル崩壊後の「デフレーション」状態から、資本主義経済においては最も酷い悪夢である「スタグレーション」(高インフレ下の不景気)の入り口に立たされるようになります。

 

さらに、追い打ちとして、円安が、180円まで進むと通貨危機を引き起こすと言われています。

その先に見えるのは、通貨危機を避けるために、海外にある日本の資産(418兆6285億円)の引き揚げが始まります。日本の海外での資産の多くは、アメリカ国債であり、これを大量に処分すると、これはアメリカ経済にとっても最悪な状態を産み出してしまいます。

 

当然、アメリカはこれを阻止しようとしますが、通貨危機に陥った場合には、韓国通貨危機の例のようにすべての保有資産は、ディフォルトを避けるために、その穴埋めとして消失してしまうことになります。幾ら、アメリカが日本に圧力をかけても、この流れは変わりません。

 

かくして、日本発の世界恐慌が発生することになります。

 

しかしながら、現政権は、一省庁の意見ばかりを採り上げ、本来の任務である経済を活性化させ国民の生活の質を上げることを放棄しているのではと思わせる政策ばかりを採用しています。

(一例として、財務省による、赤字国債に対する金利の支払いを少なくするための低金利の維持、その結果として日本銀行の為替相場に対する柔軟性疎外及び財政健全化目的による財源確保の為の増税)

 

以上の説明により、今や、岸田首相が、歴史(暗歴史)に名を刻むかもしれない状況となりつつあることは容易に想像できると思います。

 

 今すべきこと

 

更に悪いことに、この20代30代を含める50代までの国民の大多数は、国民が行使できる政治的行為である選挙権を十分に行使しないために、結果として国民の大多数の意向とは180°違った政策がまかり通る状態となっています。(この為に、60代以降の選挙権を行使している層への政策が中心となってしまいます。)

 

では、民意を国政に生かすためには、どうすればいいのか?

 

それが国会の活動に、民意を反映させることです。

 

つまり、選挙により民意を正しく反映できる議員を選ぶこと、そして、世論を形成して適正な政策を内閣に求めることだと思います。ポピュリズムに踊らされずに、本当に必要な人物を国会に送る事です。(面白半分で泡沫政党に大切な一票を投じないことです。)

 

 国会の議案

 

日本には約2,000もの法律があり、その法律が私たちの平和な日々を守ってくれています。この法律は、三権分立の中の一つである「国会」で作られます。

 

第213回国会(令和6年1月26日~令和6年6月23日)に審議されている議案は、下のリンクで確認できます。

 

 

そして、この国会の議案は、大きく、国会議員が法案をつくる「議員立法案」と、内閣が法案をつくる「内閣提出法案(閣法)」の二つに分類することができます。

 

ここで我々国民が、注目すべき議案が、「内閣提出法案(閣法)」です。

何故なら、与党が議会で過半数以上を占めた場合、この閣法は、ほぼ100%で成立する議案であり、また、国会議員ではなく、現政権(内閣)が、提出するものだからです。

 

因みに、前回の212回国会(臨時)では、閣法提出数で継続審議2件を含む12件、議員立法提出数28件の合計40件が提出されましたが、その内、可決されたのが15件で、この内、閣法が12件で議員立法が僅か3件となっています。

 

では、何故、閣法が成立しやすいのか?

議員内閣制の下、日本では国会の多数党である与党が内閣を組織しています。内閣提出の法案は、通常与党が賛成しますから、国会でも成立しやすくなります。
一方、野党が政策を実現するには、議員立法の形をとるしか外なく、「多数決の原理」により、提出法案の成立は難しくなります。

 

この結果を見て分かる様に、毎年作られている法律の殆どが、内閣から提出された法案であり、元を辿れば、これは全て当該省庁の高級官僚により作成されたものです。これが、日本が「官僚政治」と言われる所以です。

 

 国会審議の流れ

 

国会の審議は、まず衆議院で法案が可決されたのちに、参議院で審議し可決したのちにその法案が施行されます。

 

しかし、各法案は、本議会で審議される前に、各委員会で審議された後に採決され、多数決であればこれが本議会に提出され法案採決の決が採られます。本質的には、この国会の審議とは、各委員会の審議を指します。(本会議での評決は形式的な物と言えます。)

 

 国会委員会

 

この委員会には、17の常任委員会と、必要の都度作られる特別委員会により構成されています。

そして、委員会の人員は、本議会の議員数に比例して選ばれます。委員会は、懲罰委員会の20名を除き、概ね35~40名で構成され、各委員会は、多数決で決められた議長により運営されます。

 

各委員会は、議長の運営により提出された法案について質疑応答が繰り返され、議論が出尽くした所で、議長の判断により採決がとられます。しかし、与野党の意見が対立して平行線を辿ったときに、議長権限で採決を取ります。

 

当然、多数である与党の法案が、多数決の原理により通過することとなります。これが、「強行採決」と呼ばれる現象です。つまり、野党にとっては、この委員会が最後の砦であることから、よくこの強行採決の際に、乱闘騒ぎが起こることとなります。

 

 自由民主党政務調査会

 

先ほど、内閣が提出する法案を閣法といい、この殆どが国会で成立すると書きましたが、では、この閣法は、誰が決めるのでしょうか?首相が決めるのでしょうか?

 

実は、「政務調査会」が、自民党の政策の調査研究と企画立案を担当し、傘下に国会議員をはじめとする党員や有識者、学識者で構成する部会、調査会、特別委員会を束ねます。その会長が「政調会長」であり、ここでまとまった方針を内閣に伝え、法案提出及び予算案に反映させます。

 

そして、この政調会長(政務調査会会長)が、自民党の総収入248憶6千万円(2023年)を執行し、公認など選挙対策など全ての実務を仕切る幹事長、党の意思決定機関である総務会を取り仕切る総務会長と共に党三役と呼ばれ、政府の政策に大きな影響を与える人物となっています。

 

また、この政調会長は、各省庁の予算の配分にも多大の影響力を持っており、これにより、各省庁の暴走を制御する役割も持っています。

 

つまり、政権の政策が上手くいくかどうかは、この政調会長の能力にかかっていると言っても過言ではありません。

 

 自民党の乱

 

岸田政権は、出す施策がほぼ全て不発におわり、首相の言葉と現実との乖離が進み、支持率は急降下し、辞任止む無しの状況へとなり、ポスト岸田が囁かれるまでになります。

 

しかし、ここに驚くべき展開が発生します。

 

それが、自民党のパーティー券の裏金問題です。

 

この問題とは、自由民主党5派閥における政治資金パーティーをめぐる政治資金収支報告書への過少または不記載をしたこと、および各派閥が所属議員が販売ノルマを超過して集めた分の収入を『裏金』として、国会議員にキックバックする運用を組織的に続けてきたことでした。

 

派閥と金の問題は、いままでも燻ぶっていましたが、この問題を期に大きな火事へと発展していきます。

 

そして、「死に体」状態であった岸田首相が、起死回生の為にこの問題を利用します。

 

かくして、岸田首相による「自民党の乱」が勃発します。

 

岸田首相は、この問題を解消するために、各会派の解散を提唱します。

岸田首相は、派閥を解消することにより、ポスト岸田の勢力を抑え、引き続き、政権への影響力を保持しようと試みます。

 

世論を味方につけて、岸田首相が、自身の会である「宏池会(こうちかい)」の解散を実行します。次に、幹事長であった二階氏が、詰め腹を切らされる形で次回の選挙に出馬しないことを表明し、事実的に引退することとなります。かくして、「志帥会(しすいかい)」が事実上解散。

 

さらに、派閥の解散は続き、岸田首相は、安倍派所属の閣僚4人、副大臣5人を事実上更迭し、「安倍派(清和政策研究会)」の中心であった萩生田光一、高木毅、世耕弘成の3名も党要職を解任し事実上解散となります。「森山派(近未来政治研究会)」が後に続きました。

 

しかし、この岸田首相による乱で、最後まで抵抗しているのが副総裁・麻生太郎氏が会長をしている「志公会(しこうかい)」と二階氏の引責辞任した幹事長の座に座った茂木敏充氏の「平成研究会」となります。

 

一応、この様な状況の下では、茂木敏充氏がポスト岸田となりますが、岸田首相と麻生太郎氏は、元は同じ「宏池会(こうちかい)」のメンバーであり、政策的には近く二人はある程度の距離を保ちながらも同じ方向を向いています。

 

そして、この様な戦乱の世に存在感を示し始めたのが、ポスト岸田と囁かれている茂木敏充氏ではなく、この乱世に強い麻生氏でした。

 

裏金問題等で国民の信頼が低下している状況を、麻生氏は思わぬ方法で回復しようと画策します。

 

 初の女性による自民党総裁及び日本国首相の誕生か?

 

その麻生氏が、仕掛けた奇策が、初の女性総裁及び首相の誕生でした。

 

この奇策が、岸田首相が起こした「自民党の乱」により現実味を帯びるようになりました。

 

その候補として、囁かれているのが、安部政権時代に活躍した野田聖子氏や高市早苗氏や、東京都知事の小池百合子氏です。

 

しかし、安倍氏が亡くなり野田氏や高市氏はその候補から外れます。しかし、二階氏と太いパイプのある小池氏が、最大の候補として名があがりますが、裏金問題により後ろ盾の二階氏を失い、さらに、選挙に強い所を見せつけようとして衆院東京15区の補欠候補して乙武洋匡氏を、全面的にバックアップしますが、これがまさかの落選、それも全体の5位となり、首相候補としては、大きく後退することとなります。

 

そんな中で、急に名が挙がったのが川上陽子外務大臣です。

 

事の発端は、麻生太郎副総裁が福岡県の講演で発したことでした。

 

麻生氏は、上川外相を称して「堂々と話をして、英語もきちっと話をして、自分でどんどん会うべき人たちの予約を取る。あんなふうにできた外相は今までいない」などと称賛。更に、「新たなスターが育ちつつある」などと期待感を示します。

 

しかし、マスコミでは、これが大きく取り上げられずに、麻生氏の「このおばさん、やるねえ」「そんなに美しい方とは言わんけれど」など、女性を年齢や容姿でくくる、いわゆるルッキズム的な発言のみが取り上げられ炎上します。

 

とは言っても、川上氏は、法務大臣時代にオウム真理教元幹部13人の死刑執行を命じた人物であり、入国管理局の施設でおきたウィシュマさん死亡事件ではリーダーシップを発揮します。また、外相としては、ウクライナとの外相会談やゼレンスキー大統領への訪問もソツなくこなすなど、堅実な秀才型。

 

いまだ党内で影響力を持つ菅義偉前首相と信頼関係を構築できているのもプラス材料です。岸田首相としても、同じ「宏池会(こうちかい)」のメンバーであった上川氏に任せれば、退陣してもキングメーカーとして国政への影響力を保持し続けられます。今年秋に行われる予定の総裁選でも、岸田さんで勝つ見込みがなければ、上川さんを担ごうという流れが出るのは当然のことだと言えます。

 

意外と、アメリカよりも早く、初の女性宰相が誕生するかもしれない。

 

次回は、上に書いたように日本の労働力問題、そしてそれに関連した外国人労働者と人権について書きたいと思います。