「どうする家康」 終わりの終わり その1 | meaw222のブログ

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映画・ドラマの部屋

 

「どうする家康」も、とうとう昨日の12月17日の第48話をもって終了しました。

 

本ドラマが、始まったばかりの前半期には、「つまらない」「CGが雑」「時代考証がダメ」だの言われ続けてきました。

また、松本潤さんらジャニーズが主役級で多数登場したために、ドラマそのものを評価せずにジャニタレには大河ドラマは務まらない等々、悪評が付きまといましたが、何はともあれ1年間無事に終了しました。(過去に一度だけ、あまりに不評の為に半年でドラマが終了したこともありました。/1993年1月~6月、第31作目「琉球の風 Dragon spirit」)

 

  視聴率でドラマを評価する功罪

終了しても、未だに、大河ドラマ史上二番目に低視聴率であったと言っているメディアもありますが、今時、視聴率などと言う不確かな指標を持ち出すこと自体ナンセンスではと思います。

Tver等やNetflix等のサブスク等、インターネト環境下でのタイムシフト視聴(追っかけ視聴)も盛んになった時代に、リアルタイムだけの視聴率に何の価値があるのか?

 

確かに、視聴率は、そのドラマをどれだけの人が視聴しているのかを数値で表すことができる指標であり、民放ではCM枠販売価格の根拠、NHKでは、利用者の指向を探り、国営放送としての存在意義とその存在意義を高めるための利用者を引き付ける番組作りの資料として活用されています。

 

この視聴率に関連して、最近言われているのが「若者のテレビ離れ」です。

確かに、2世代(20年)前には、ヒットドラマと言えば、視聴率が30%越えは当たり前の時代でした。しかし、最近では、10%超えればヒットドラマであると言われる程、テレビ視聴そのものが減っています。

 

いわゆる、これが「テレビ離れ」という現象ですが、これについて面白い資料がNHKから発表されています。

その資料は、「メディア多様化時代の20代とテレビ」というもので、特に20代のテレビ事情について述べられていますが、20代で週1度もリアルタイムにテレビを視聴しない人の割合が約3割であり、リアルタイムで視聴している人でも、毎日又は一日の内で数時間みるといったヘビーユーザーの割合も減ってきているそうです。

かと言って、リアルタイム視聴が減る分、タイムシフト(録画)視聴や、インターネット視聴が増えてもいないそうです。

 

では、これらの若者たちが、リアルタイム視聴が激減した夜の時間帯(自由時間)にどのように過ごしているかと言えば、「SNS」「動画」「ゲーム」等であり、テレビではなくスマートフォンの使用率が高いそうです。つまり、今や時代は、メディア多様化の時代であり、その中心がスマートフォンに移行しているとこの資料は断じています。

 

これは、あれだけ隆盛を誇っていた映画が、テレビの出現により斜陽の道を歩んだと同じように、今日では、テレビはスマートフォンにその座を譲っています。

 

 

  「どうする家康」は駄作なのか?

TVドラマのファンを分析してみると大きく二つのグループに分けることが出来ます。

 

上でも言ったように、20代から40代にかけては、スマートフォンで全てが完結する層であり、50代以降は、テレビが未だに中心の層です。

主に、視聴率の元となるリアルタイム視聴の割合が多いのが、この50代以降の旧世代であり、この層が、大河ドラマの視聴率を主に支えています。

 

NHKの製作陣は、新しい視聴者、特に若い層をターゲットに新しい大河ドラマを作るべく思い切った行動にでました。

 

まず、ドラマの中心となる脚本に、映画では「Alway 三丁目の夕日」「コンフィデンスマンJP 」、ドラマでは「リーガルハイ」や「デート〜恋とはどんなものかしら〜」で有名な古沢良太さん、そして、主演に松本潤さんを配して、通説で描かれてきた徳川家康を再考して新しい観点から描くことにしました。また、戦闘シーンが多い時代劇の特殊効果に新しい方式を採用するなど、意欲的な試みもなされていました。

 

実は、この脚本家である古沢良太さんは、当初は漫画家志望であり、1992年には集英社の漫画新人賞・手塚賞に応募し準入選になったこともあるそうです。

 

手塚治虫さんが、漫画家を目指す若者に「漫画だけじゃなく映画も観なさい」と助言していたと知り、名作映画を数々観て学んでいるうちに脚本に興味を持つようになったそうで、脚本を執筆する際は、誰にも見せることはないが映像をイメージしてスケッチブックに画を描くと言われています。

動画で、この古沢良太さんの多分、最終話の茶々の絵コンテだと思うのですが、白板にマジックで書かれてたのを見たのですが、漫画家でもいけるのではないかと思うほど上手く書かれていました。(すみません、その動画を探してリンクしようと思ったのですが、どうしても見つかりませんでした。)

 

当初は、主演が松本潤さんであり、NHKは若い女性をターゲットにして番組を構成したと思われましたが、いざ蓋を開けてみると思いもよらない結果となります。

 

年齢別の動向調査を見てみると、20代女性では「どうする家康」が4位につけています。30代女性では圏外でしたが、40代女性ではまた4位にランクイン。松本潤さんを主役に据えた甲斐があったとも言える状況でした。これについては、ある程度、予想の範囲内と言えます。

 

ところが、意外だったのが男性のファン層でした。

20代男性では2位、30代男性では同率で3位、40代男性は2位と、むしろ男性の方が順位が高いく、松本潤さんの女性ファンが「どうする家康」を支えたというより、脚本家である古沢良太さんの持ち味である、言葉選びであったり、会話のテンポやスピード感であったりといった「セリフ回し」や家康を通説の英雄として描くのではなく、また戦いよりも人間ドラマを重視した描き方が若い男性層の視聴者に刺さったと言えます。

 

この傾向は、「どうする家康」の視聴率の推移を見れば、一目瞭然です。

「どうする家康」は、10%から11%前後を推移移していますが、2回大きく視聴率が下がり一けた台を記録したことがあります。

これは、裏番組にスポーツ関連の国際試合があった時と重なっており、このスポーツ関連の国際試合の最大の視聴者層が20代から30代の男性であり、上記の分析とピッタリと一致します。

 

しかし、意外にもこれはNHKの当初の目論見通り若い世代の支持を得ますが、古沢良太さんのヒップホップの様なリズム感のあるセリフや新しい試みが、却って裏目にでて、リズム感のあるセリフ回しや松本潤さんの演技などが、軽いと見なされ今までの大河ファンであった古い層に受け入れられずに、結果的にリアルタイム視聴率に影響を与えている旧世代から見放される結果となり、大河ドラマで視聴率ワースト2となってしまいました。

 

しかし、これは、大河ドラマをBSとBS4Kで先行放送したり、NHKプラスで好きな時間に見られる環境が整ったことで視聴が分散したことも影響していると言えます。

因みに、追っかけ再生ができるNHKプラスでは、本作の再生回数が、大河ドラマでは最高の再生数を記録しています。

 

その証拠に、本ドラマが開始されるとSNS界隈では本作関連の話題が溢れ、本屋に行けば家康関連の書籍が棚を埋め尽くすなど、本ドラマの反響は大きく、決して、本作が駄作であると言えない状況が見られます。

ストーリー、斬新なタイトルバック、音楽を含めて新しい大河ドラマだったと満足できる作品となっており、「視聴率ワースト2」をファンとしては気にする必要はないと確信しています。

 

さて、最終話の感想については、次回に書きたいと思います。