映画の裏側 比較文化論 | meaw222のブログ

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映画・ドラマの部屋

 

今日は、久しぶりに映画の裏側と題して書きたいと思います。

 

副題の「比較文化論」についてですが、比較とは、他者と自分の違いを知る事、そして、比較の対象が異文化である場合、「違い」の「自覚」は他文化への気遣いへと変化し。気遣いは、関係性の質を変え、他文化を尊重しそして敬い、また、他文化に属する人の目をとおした自分を見て、自分が認識している「自分と言う存在」と比較することによって他文化との違いを理解することができます。

後者は、日本人が良くする行動であり、主体的でなく、他者を通して自分を見る受動的認識方法であり、これをもって、日本文化は「引きの文化」と言われています。(一方、アメリカ文化は、自己主張が強く「押しの文化」と言われています。)

 

では、我々、日本人が、他の文化圏ではどの様に見られているのか探っていきたいと思います。

 

ハリウッドが見た日本人

 

 ティファニーで朝食を

ハリウッド映画が、日本人をどの様に見ていたのかが良くわかる映画が、1961年パナマウント映画により発表された「ティファニーで朝食を」の中に出てくる日本人「ユニオシ」氏です。

 

 

この映画では、ユニオシは、小柄でメガネ、出っ歯、英語の発音が良くないといった、当時の日本人に対するステレオタイプが満載の描き方をされており、当時から人種差別的であるとの批判が寄せられました。

この役を演じたミッキー・ルーニー氏も人種差別主義者ではないものの、この負のイメージが一生ついて回るという不幸に襲われます。

しかし、ミッキー・ルーニー氏の名誉の為に言うと、この映画の監督であるブレイク・エドワード氏は、この後に、映画「ピンクパンサー」でも、不思議な東洋人を登場させており、このユニオシ氏の演出は、ルーニー氏ではなく監督本人であると断言できます。

 

また、この映画の原作である小説「ティファニーで朝食を」は、作者であるトルーマン・カポーティが、自身と自身の母親をモデルに書き上げたものです。

原作は、「わたし」である作家ポールの目から描かれたものとなっています。オードリー・ヘプバーンが演じたホリー・ゴライトリーの出会いから途中のストーリーは、映画と同じですが、決定的に違うのが、結末です。

 

映画では、ラストシーンでポールとホリーとのハリウッド的ラブストーリーに完全に脚色されハッピーエンドとなっていますが、原作では、ホリーがポールの制止を聞かず、一人ブラジルへと旅立ちます。しかも、10年間行方知れずで、日本人でカメラマンであるユニオシがアフリカで撮影した写真にホリーが写っており、ポールはこの写真がきっかけとなって回想が始まります。(猫も見つからずに、後に他人の飼い猫になっています。)

映画と原作では、結末と日本人であるユニオシの描き方が全く違うものとなっています。

因みに、小説家である村上春樹氏は、このトルーマン・カポーティのファンであり、小説「ティファニーで朝食を」を、2008年に村上春樹氏が、新訳本として出版しています。

 

話は変わりますが、この小説「ティファニーで朝食を」が映画化されるときに、原作者であるカポーティ氏は、ホリー・ゴライトリー役をマリリンモンローと指名しています。

この役が娼婦役であり、それが理由でマリリンモンローの代理人が正式にオファーを断り、代役としてオードリー・ヘプバーンに決まった時には、カポーティ氏はこの決定にかなり反対したそうです。

 

私個人的にも、マリリンモンローの「帰らざる河」や遺作となった「荒馬と女」を見ると、このホリー・ゴライトリー役はマリリン・モンローが最も相応しいと思います。

 

また、監督も、「許させざる者」で有名なジョン・ヒューストンが担当し、ハリウッド的ロマンスストーリーでなく原作通りにすれば、間違いなくマリリンモンローの晩年の代表作となっていたのではと残念に思っています。

 

この映画「ティファニーで朝食を」は、オードリーヘップバーンの魅力で引っ張られている映画で、最初と最後そしてムーンリバーの歌だけが、印象的な只のハリウッドロマンチック映画に成り下がっており、非常に残念な映画となっています。

 

暫くは、この映画に登場するステレオタイプの日本人が、映画に描かれていましたが、日本が、経済的にも世界中で活躍するようになると、少しづつ変わってきます。

 

 ベスト・キッド

ベスト・キッド』(原題:The Moment of Truth / The Karate Kid)は、1984年に製作されたアメリカ映画で、主人公の少年が、日系のアメリカ人から空手を教わり成長していく過程を描いた映画です。

 

このストーリーの中で、アパートの管理人。空手の達人であり、イジメを受けていたダニエルを鍛える人物で、「ミスター・ミヤギ」と呼ばれる日系のアメリカ人が、描かれています。

この役をノリユキ・“パット”・モリタ(Noriyuki “Pat” Morita、日本名:森田 則之〈もりた のりゆき〉さんが、演じています。

彼も役と同じ日系アメリカ人の俳優さんです。

 

 

この「ベストキッド」は、「トランスフォーマー」「96時間」シリーズで有名な脚本家であるロバート・マーク・ケイメン氏の半自伝的な作品です。

ケイメン氏も、いじめから身を守るために、当初、映画「ベストキッド」に登場するコブラ会のように武術を暴力の道具として教える軍隊のような道場に通っていたそうですが、それに反発したケイメン氏は、「剛柔流」の教えに惹かれ、その扉を叩きます。

 

「剛柔流」は、宮城長順(みやぎ・ちょうじゅん)が開祖であり、1930年に命名された空手道の流派。

周囲から「ミヤギ先生」と呼ばれていた彼は、東恩納寛量から学んだ那覇流空手に独自のメソッドをミックスさせて、のちに沖縄三大流派の一つとなるカラテを確立します。

つまり、主人公であるダニエルが、脚本家のケイメン氏自身であり、「ミスターミヤギ」が、「剛柔流」の開祖 宮城長順氏をモデルとしています。

その為か、日本人が見ても、この「ミスターミヤギ」の言葉には、十分納得のいくものとなっています。

 

渡口政吉氏(宮城長順氏の直弟子)の弟子である玉野十四雄氏が、ニューヨークに道場を開き、その門下生として若き日のケイメン氏は日々鍛錬を行なっており、弟子をときには優しく、ときには厳しく導く「ミスター・ミヤギ」の指導者としてのモデルは、この玉野十四雄氏だと言われています。

また、この映画の最終場面での、主人公ダニエルが両手を広げる「鶴の構え」は、玉野十四雄氏の師匠である渡口政吉氏が、考案した「白鶴の型」をモチーフにしています。

 

この「ベスト・キッド」は、シリーズものとなりこの後も長く愛されるようになります。

因みに、1984年の「ベストキッド」のリメイク版が、2010年に制作され、主演に、俳優ウィル・スミスの息子ディデン・スミス、それとカンフー映画のレジェンド ジャッキーチェンが出演しています。

 

 

 ガンホー

1980年代は、日本が、経済において世界で最も勢いのある国でした。

すべての産業に渡って首位を独走し、一時は、アメリカ経済さえも凌ぐものとなります。

そして、日本は、経済により得たお金で世界中の資産を買いあさるようになり、エコノミックアニマルとさえ揶揄されるほどでした。

そんな風潮の中で作られたのが、この映画「ガンホー」です。

 

映画「ガンホー」は、(Gung Ho)は、1986年に製作されたロン・ハワード監督、マイケル・キートン主演の映画。この映画は、当時の日米の文化・経済摩擦をテーマとした喜劇となっています。

因みに、この映画の題名である「ガンホー」とは、日本語で言えば「がんばれ」と同義語の米海兵兵隊の掛け声であり、また、「血気盛ん」「血の気が多い」「やる気に満ちた」という意味にも使用されています。

 

住民の雇用を支えていた自動車工場が閉鎖されたアメリカの田舎町。活気も失せ始め、今後に対する不安の声があちらこちらから湧き上がってくる中、1人立ち上がったハント(マイケル・キートン)は、町の活気を取り戻すべく日本の自動車会社“アッサン自動車”の工場を誘致するために町の期待を受けながら日本へ出向のですが・・・

 

 

ハントの奮闘により、アメリカに“アッサン自動車”が進出してきます。

しかし、日本式の経営をそのまま、アメリカの工場に適用しようとします。そして、日米の文化と行動様式がぶつかり、色々と騒動を巻き起こしますが、最後にはお互いのいい面を尊敬しつつ、新しい形を作っていくこととなります。

 

日本人役のキャストはゲディ・ワタナベ、サブ・シモノを含めてほぼ日系人ですが、重役の坂本役には山村聰がキャスティングされています。

日米の仕事に対する意識の違いを知るには最適な映画となっています。

 

 ミスター・ベースボール

「ガンホー」が日米の経済摩擦を描いた映画なら、この「ミスター・ベースボール」は、ベースボールといった単一のスポーツでありながら、日米のそれぞれ文化と深く結びつき、全く違ったスポーツのようになった野球の話です。

 

ミスター・ベースボールMr. Baseball)」は、1992年に公開されたアメリカ合衆国の映画で日本(愛知県名古屋市)を舞台の中心としています。

主演は、トム・セレック、高倉健。

当初、オリックス・ブレーブスを舞台に神戸総合運動公園野球場で撮影予定だったのですが、撮影中に球団名が「オリックス・ブルーウェーブ」(当時)へ変わったことで、舞台も中日に変更となっています。

 

 

日本プロ野球(NPB)でプレーする助っ人外国人選手を題材としており、日本でプレーすることが決まった選手が日本プロ野球の教科書代わりにしばしば鑑賞することで知られています。


以上が、ハリウッドが見た日本人でした。

この他にも、多数の日本に関する映画が制作されています。

有名なものでは、「キルビル」、「ブラックレイン」、「ラストサムライ」、「バベル」、「ラーメンガール」、「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」、「ブレッドトレイン」など多種多様な映画が制作されています。

中には、首をかしげるような日本人も登場しますが、日米のそれぞれの文化の違いを実感できるものとなっています。

 

日本に関する映画が数多く作られる中で、日本人の俳優さん達も早川雪州さん以来、多くの日本人がハリウッドで活躍するようになります。「キルビル」に出演した千葉真一さんは、その後もハリウッドスターとして数本の映画に登場しており、サニー千葉として愛されています。

その他にも、高倉健さんや渡辺謙さん、最近では、「ラストサムライ」以降、渡米してハリウッドスターとなった真田広之さん、テレビドラマ「ヒーロー」で有名なマシオカさんなどが活躍しています。

因みに、このマシオカさんは、日本名が岡 政偉(おか まさより)といい俳優、プロデューサー、デジタルエフェクトアーティストと多彩な顔を持っています。

6歳で渡米し現在に至りますが、国籍は日本であり、IQが189のギフテッドと言われています。

 

昨年の米アカデミー賞主演女優賞で「エブエブ」のミッシェル・ヨーさんが、東洋女性として初めて受賞しましたが、近い将来、日本人の俳優さんがアカデミー賞で主演賞を取ることが期待されます。