お肉は60℃になるにつれ、肉の出来具合を色で判断することができなくなります。
それは肉汁が透明になり、肉の色もブラウングレーと変わり切ってしまうからです。
また、60~65℃の間で大量の水分と肉汁を放出し始めます。
40℃がミラクルの始まりであったら、60℃は「変化(へんげ)」の始まりと言えるかもしれません。
■③お肉の要素の温度帯別変化・下・60~50℃■
【60℃・ミディアム】60℃になると今まで焼くことによって柔らかくなっていたのが、一気に軟化が75℃くらいまで止まります。
これはたんぱく質が凝固して、さらに結合組織のコラーゲンも収縮して、内部にあった水分や肉汁が大量に放出され、お肉自体が乾燥されたものになってくるからです。
65℃以下までは水分の放出や蒸発がメインですが、65℃以上になると肉汁の損失も激しくなります。
【70℃・ウェルダン】
70℃辺りから、結合組織のコラーゲンは今まで収縮していたのが、ゼリー状に軟化し溶解し始めます。またたんぱく質も固く乾燥していますが結合組織がゼラチン化されていくため、もはや一つの結合体ではなくなり、柔らかく感じるようになります。
これは75℃くらいから顕著になり、60℃から停まっていた軟化が再び始まります。
また70℃は殺菌にとっても大切な温度です。
人間の病気を引き起こす可能性があるバクテリアも70℃以上の温度で破壊されていきます。
牛肉の場合は、基本的には肉の表面に細菌がいるため、表面だけ70℃以上で焼くだけでも十分殺菌になります。
【80℃・90℃ベリーウェルダン】
80℃くらいになると肉汁などの放出が一通り終わります。糖類を100℃以上で熱するとカラメル化反応が起こったりしますが、「炭化」も進んできて焦げにも繋がっていきます。
※『McGEE FOOD&COOKING』HAROLD McGEE(この著作が一番分析は詳しいです。英文ですが)と『調理と理論』山崎清子ら、『肉の科学』沖谷明紘、『うまい肉の科学』成瀬宇平などの著作を参照。
