凋落する成田 | 肉団子閑居為不善

凋落する成田

あかさたなの執行実験場に「仁川は本当に日本のハブ空港なのか?」というエントリーが投稿されていることに先日気がついた。

このブログでも「羽田ハブ化に怒る森田知事の憂鬱」というエントリーで羽田ハブ化についてとりあげたが、その時に、地方空港のハブとして機能するインチョンに利益をもっていかれているという表現をしたのだが、どうやらそれは間違っていたらしい。

国土交通省の次官会見要旨(2009年6月15日)を引用して、仁川国際空港が日本のハブ空港になっているという発言に異議を唱えている。

引用もとのソースは国の公的な文書で二次利用は自由なので一部を引用しながら考えていきたい。

地方空港から海外への便は「23空港で全体週409便の定期国際旅客便が就航」していて「韓国ソウルとの間は非常に行き来が活発でございまして、週に約120便程がソウルとの間を行き来」しているそうだ。

だが、韓国ソウルに買い物や里帰りをする人を除いて乗り継ぎでその先に行く人となると多くはないらしい。会見要旨によると「実際に仁川国際空港経由で日本から出かけられた方が更に他の国に乗り継いで行かれるケースは、出かけておられる方の5.2パーセントで、人数で18万人という人数です。一方で、地方空港から成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港を経由して海外に行くお客さんというのは、211万人おりまして、先程仁川国際空港由で他の国に行かれるお客さんが18万人ということですから、成田国際空港、関西国際空港、中部国際空港経由の方が約10倍位乗り継いで出て行く方が多いという数字になっています。」

ということでインチョン(仁川)を経由して他の国に行く人は18万人。成田、関空、中部の三空港を乗り継いで行く人は211万人いるのでその比率は実際にはたいしたことはないと言いたいようだ。確かに実態としてはまだハブになっているとまでは言い難いようだ。

だが、地方空港から直接インチョンに行けることで18万人の顧客を失っていることは大きいと思うのは肉団子だけだろうか。彼らが国内航空会社を利用して関空や中部、あるいは成田で乗り継げば国内航空会社のこれら地方空港との路線で垂れ流している赤字がかなり解消されるような気がするのは間違っているだろうか。事実、空の旅に使われる路線が複線化を進めることで成田の利用客は減り、国際的なランキングでもランク圏外に落ちてしまっている。

さらに印象的なのはこの要旨の下の方で、関西空港への国内線乗り入れが減っていることとの政策的齟齬についての質問の答えは全く意味不明だ。

「関西国際空港も全体の中では中国向けの路線を充実させています。そういう意味では、地理的な状況から言っても、特性を上手く発揮していくことは大事だと思います。一方で、ヨーロッパやアメリカに行く場合に関西国際空港から行っている便を利用した時に、時間の関係や方面の関係でどうしても成田国際空港に出て乗り継いでいく必要がある場合には成田国際空港経由も出て来るということで、そういうような所も関西国際空港から乗り継いでいく利便性を出来るだけ高めていくことは大事ではないかと思っています。空港毎に方面や特色を持ちながら、ネットワークの中での役割を上手く果たしていくといいますか、そういうことが必要ではないかと思っています。 」.....

何が言いたいかわかった方、いらっしゃいます? w

要するに関空が不便だから減るんだから便利にしたらいいというわけだが、どうやらそれに対する妙案はない。それが言語明瞭意味不明瞭の原因のようだ。

確かに今はハブ空港にはなっていないかもしれないが、国内航空会社の経営が悪化することで地方空港と接続する国内便の廃止が進めば、嫌でもインチョンは地方空港のハブになることだろう。

ただ、ここで新たな疑問がわいてくる。インチョンと日本の地方都市空港との間に大韓航空は大きなネットワークを作りつつあるわけだが、彼らができるのになぜ日本の国内航空ではできないのだろうか。案外、日本の空の問題を論じる上ではこの辺についても調べていく必要がありそうだ。