辻村深月さんの最新作『琥珀の夏』を読みました。30年前の夏に起きた出来事と、現在それを追う主人公たちの姿が交錯する、ミステリーと人間ドラマが融合した作品です。

 

あらすじ

1990年、小学6年生のあかね、涼、優子は、山奥の廃村で奇妙な集団「ミライの学校」と出会います。その数年後、涼の死をきっかけに、あかねは記憶の断片を繋ぎ合わせ、30年前の夏に起きた真実を探求していく物語です。

感想

この作品は、とにかく読み応えがありました。30年の時を超えて紡がれる友情と謎解き、閉ざされた村とカルト宗教の闇、記憶の曖昧さと真実の追求など、様々な要素が絡み合い、最後まで目が離せない展開です。

 

特に印象に残ったのは、ミライの学校の存在です。子どもたちが親元を離れて共同生活を送るという設定は、一見魅力的に見えるのですが、その裏には様々な闇が隠されていました。カリスマ的な指導者による洗脳、子どもたち同士のいじめ、そして殺人事件。閉ざされた空間の中で起こる出来事は、恐ろしくもあり、哀しくもありました。

 

また、主人公のあかね、涼、優子の3人の友情も、この物語の重要な要素の一つです。幼い頃に芽生えた友情は、30年という年月を経て、様々な試練に直面します。それでも、互いを信じ支え合う姿は、とても感動的でした。

ネタバレあり

※以下、ネタバレを含みます。ご注意ください。

物語のラストは、非常に衝撃的でした。涼の死の真相、そしてミライの学校の真実が明らかになった瞬間は、言葉もありませんでした。特に、あかねが抱えていた罪悪感の重さには、胸が締め付けられる思いでした。

※ネタバレここまで

まとめ

『琥珀の夏』は、ミステリー小説が好きな方、人間ドラマが好きな方、辻村深月の作品が好きな方におすすめの一冊です。30年の夏に隠された真実とは何か。ぜひ、あなた自身の目で確かめてみてください。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。このブログ記事が、あなたの読書の参考になれば幸いです。