五反田明駿の【ネタ裏話】

五反田明駿の【ネタ裏話】

あらゆる商売を実践中。
思った事、感じた事、ありのままに書きます。

みなさん、こんにちは。
五反田明駿です。
本日は、経営者が知っておくべきAIの「光」と「影」について、実際の詐欺事例を交えてお話しします。

AIは業務を大きく変える力を持っています。一方で、悪用されれば会社を危険にさらす道具にもなる。経営者として、この両面を知っておく必要があります。

光|AIは「判断する前の準備」を短縮する

AIは、資料の下書き、議事録の整理、
メール作成、情報の要約など、
日々の業務に組み込めます。

一つひとつは小さな時間短縮でも、
何人もが毎週繰り返す業務であれば、
会社全体の時間の使い方は変わります。

経営者にとって特に大きいのは、
市場情報の整理、資料の要点抽出、
複数案の比較などの
「考える前の準備」を早められることです。
AIに経営判断を丸投げするのではなく、
人が判断しやすい状態を作ることが使いどころです。

最初は「低リスクで繰り返す業務」から

  • 社内文書の構成案を作る
  • 公開済み情報を要約する
  • 会議メモを決定事項と宿題に分ける
  • 営業メールのたたき台を作る

必ず人が確認してから使う工程を残し、
機密情報や個人情報は
利用するサービスの条件を確認してから扱います。

影|会社は「社長の名前」だけで狙われる

AIフェイクだけでなく、
経営者の名前や会社情報を悪用した
なりすましは、すでに法人の現実的なリスクです。

警察庁が公表した2026年上半期の状況では、
経営者などをかたってメールからSNSへ誘導し、
送金させる「ニセ社長詐欺」が127件確認され、
被害額は38.8億円
既遂1件当たりの被害額は3,130.7万円とされています。

この数字は、
すべてがAIの声や映像を使った事例という意味ではありません。
それでも、社長名や会社名を示し、
「至急の事業資金」「取引先への支払い」と言われるだけで、
高額被害につながることを示しています。

89%・71%は「実力テスト」ではない

KnowBe4が2026年7月に公表した日本版調査では、
日本の従業員の89%
「ディープフェイクは本物と区別できない水準に達している」、
71%が「自分もだまされる可能性がある」と回答しています。

ただし、これは実際にディープフェイクを見分ける
実力テストの結果ではなく、
従業員がどう感じているかを示す自己回答です。
「目視では絶対に見分けられない」と断定する材料ではなく、
社員が強い不安を感じていることを示す材料として読むべきです。

会社を守る5つのルール

経営者が決めるべきなのは、
「怪しいものを見抜け」という精神論ではなく、
判断に迷っても被害が出にくい手順です。

  1. 送金指示は別経路で確認:メールやSNSに返信せず、既知の連絡先へ確認する
  2. 一定額以上は二人承認:指示者と支払い実行者のみで完結させない
  3. 口座変更は登録済み連絡先へ再確認:メールだけで振込先を変えない
  4. 急かされたら一度保留:緊急指示でも確認手順は省略しない
  5. 相談した人を責めない:迷った段階で報告できる文化を作る

ビデオ会議で顔が見えた、
電話の声が本人らしかったという情報は、
確認材料の一つにしかなりません。
お金が動くときは、社内ルールを優先します。

AIを禁止するだけでは、利用実態が見えなくなる

「危ないから会社ではAIを禁止する」という判断は、
一見、安全に見えます。
しかし、禁止だけでは、
個人アカウントや個人端末からの利用を
会社が把握できなくなるおそれがあります。

禁止と放任の間に、
承認したツールを、決めた範囲で使うという選択肢があります。

  • 利用を認めるAIサービス
  • 入力してよい情報と禁止する情報
  • 人の確認が必要な成果物
  • 事故や誤入力が起きたときの報告先

EUではAIコンテンツの透明性義務が適用された

EUでは、AI Act第50条の透明性義務が
2026年8月2日から適用されています。
対象となるAIシステムやディープフェイク等には、
AIとの対話やAI生成・改変コンテンツであることを
伝えるための義務が定められています。

ただし、対象、表示方法、例外、
既存システムの一部経過措置などがあるため、
「AIで作ったものはすべて同じ表示が必要」という
単純なルールではありません。
海外向けにAIを提供・活用する企業は、
自社がどの義務の対象かを個別に確認する必要があります。

30日で「光と影」を同時に整える

  1. 1週目:棚卸し 社内でどのAIが、何の業務に使われているか確認する
  2. 2週目:ルール化 入力禁止情報、人の確認、送金の別経路確認を決める
  3. 3週目:訓練 ニセ社長メールを想定し、誰へ報告するかを確認する
  4. 4週目:小さく導入 低リスクな一業務でAIを試し、時間と品質を振り返る

守りのルールを作ってから、
小さく便利さを確かめる。
この順番なら、危険を放置せず、
一方的な禁止にも偏らずに進められます。

まとめ

AIには、業務と意思決定の準備を変える「光」と、
なりすましや誤情報を広げる「影」があります。
経営者に必要なのは、
片方だけを見て判断しないことです。

活用と防御は別々の課題ではありません。
承認ツール、入力ルール、人の確認、
送金時の別経路確認を決めたうえで、
低リスクの業務から試してください。

まず今週、経理と情報システムの担当者と、
「社長名義の緊急送金指示が来たら、どう確認するか」を
10分だけ話し合ってみてください。
そこが、会社のAI時代の備えの出発点です。


※本記事の詐欺統計は警察庁の2026年上半期資料、ディープフェイクに関する割合はKnowBe4の2026年7月公表の日本版調査、EUの制度は欧州委員会の公式情報に基づきます。
調査の89%・71%は自己回答であり、実際の判別能力を測定した数値ではありません。
法令・制度の適用は事業内容や利用方法で異なるため、必要に応じて専門家へご確認ください。

五反田明駿(ごたんだ めいしゅん)
ワイズ株式会社 代表取締役社長。
Webマーケティング、営業代行、インサイドセールス、
人材育成を手がけるかたわら、
AI活用スクール「AcademyAI」を運営しています。

詳しい運営情報や発信内容は、
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