2024年2月
岐阜でのコンテストに出場しました。
賞を望んで仕方なかったあの頃から3年経って挑みました。
新しいモデルさんとタッグを組んで。
さて、まずは結果。
6位入賞。
3度目の正直で手に入れた。
裏で名前を呼ばれた時
「待って待って待って嘘嘘嘘」
と、震える声を出した。
今回のテーマは「私が生まれ変わる服」
なんと言うか、私にピッタリだった。
ずっと「今のままではダメだ」
と思っていたから。
モデルを、友人の66ちゃんにお願いした。
66ちゃんは、私の「自主性」を何処までも第1にしてくれた。
「めいちゃんのデザイン画、めいちゃんの選ぶ布、めいちゃんがやりたい作業」
私が、「誰かの為の」から解き放たれる物。
私のエゴをどこまでも見たい、と言ってくれた。
エゴを、ずっと扉の奥に隠していた。
誰にも迷惑をかけたくないから。
作る時は、誰かの為に作る事で、自分を保っているかのように。
扉を開ける事が怖かった。
又誰かに迷惑をかけて傷つけて。
それでも、やりたかった。
挑戦したかった。
「あの時のデザインをもう一度、今作るなら」
自身への課題。
あの頃を超える物。
デザイン画を、悩みに悩んだ。
今までは、モデルに合わせたデザイン画を描いていた。
だけど今回はそうじゃない。
自分を出していく事。
夜中まで描いていた事も何回もあった。
孔雀が浮かんだ。
孔雀をモチーフにするなら、と孔雀について調べた。
「不死、愛、美、優雅さ、自己表現の象徴とされる」
ああ、これだ。
手が震えた。
デザインを描いて行く手が上手く動かなかった。
描ききった時に「これだ」と思った。
やっと描けたんだ。
清書する時、友人のyumaちゃんにかなり力を貸して貰った。
色塗りの時は隣に居て貰い「こうすればこの素材感が出るよ」
と、丁寧に教えて貰った。
今回は、3年前とデザイン画の提出枚数が違った。
かなり選び抜かれるのだろうと思った。
後で知った事だが、
デザイン画の当選数が前回の3.5割にまで人数が絞られていて、
その枠に私は入れたらしい。
その時点で凄い事だ、と言葉を貰った。
さて、デザイン画が受かりましたと連絡が来たが、なんとも時間のない事か。
今回のデザインは、作り自体は簡単な物で、装飾に力を入れる。
フィッティングが数を出来ないだろうから、
決められた回数の中で出来る事をやる。
そう決めた。
しかし、上手く行かない事はたくさんある。
シンプルなデザインだからこそ、
ダーツの繋がりやラインの美しさにこだわりを持ったし、それを上手く作れない事も多かった。
何せ、時間が無かった。
「この布からフリルを作る」
「つまみ細工でグラデーションを作る」
無理だと思った。
睡眠時間をこんなに削って作ったのは初めてだと思う。
不完全な出来な所も多いのに。
そこからまだまだ作業があるなんて。
逃げた。
フリルは市販のレースを
つまみ細工は縦のフリルを使ってデザイン変更をしよう。
66ちゃんに伝えた。
「それはめいちゃんがやりたい事と違うよね?」
全て見抜かれていた。
私の奥底の事を、66ちゃんは見抜いてくれていた。
私の考えはもちろん他にもあったけど
結局逃げたいだけだったから。
「もう逃げないよ」
腹を括った。
自分の大切な人を、私は何度裏切り、傷つければ気が済むのだろう。
製作で傷つけてしまったなら、
製作でその信用を取り戻すしかない。
フリルを作った。
30分以上ロックミシンをかけていた事は今までに無くて
左腕が痛かった。
それでも、自分で決めていた布で作ったフリルは1等可愛かった。
つまみ細工は、思っていたより時間がかからなかった。
むしろ「ノリが付かないようするにはどの付け方が1番いいか」
「効率良く作るならどうするか」
考えながら作る余裕があった。
最終フィッティングの日。
「これよ!」
と、言ってくれた66ちゃんの顔が、本当に喜んでくれていて
嬉しかった。
私自身も、思い描いた衣装になった事が、嬉しかった。
岐阜にて前日リハーサル。
もうここまで来たらあとはモデルの66ちゃんに任せることしか無い。
昼ご飯食べて、お土産買って、
さあリハの舞台へ。
66ちゃんはずっと微笑みながらも、ウォーキングが失敗しないよう歩く順番を覚えていた。
私はスマホでそれを録画していた。
晩御飯は「めいちゃんここだよ!」と、66ちゃんが見つけてくれたカツ丼屋さんに。
「明日はカツぞ!」
と言いながら2人で美味しく頂いた。
ホテルに帰ってからは、66ちゃんはずっとウォーキングの練習を。
真剣さがビリビリと伝わってきた。
「ここで止まる時のポーズはどうがいい?」
何度も確認しながらお互いが納得のいく歩き、ポーズ、振り向きポイント。
見せ場は全て魅せる。
ウォーキングの練習後、私はつまみ細工を増やしていた。
少しでもボリュームがある方がいい、と思っていたから。
ホテルで作業するのは初めてだった。
何も苦じゃない。
更にいい作品にする為に少しでも出来る事を。
ベッドに入って、2人で色んな事を話しながら眠った。
次の日が楽しみだった。
当日。
当日はいつもバタバタする。
通しリハの時、見せ場の「変身」部分はやらないで欲しいと言った。
ただ、何か嫌な予感というか。
「何かあるかもしれない」と思って、「やっぱり、変身部分をやってみて!」とお願いした。
フリルたっぷりのミニスカートが、
マーメイドスカートに変身する。
「嫌な予感」は当たった。
いつもつるつるの床、フローリングで変身していたが、本番の舞台は絨毯が敷かれていて、
ロングマーメイドになった時に、裾が滑らず歩く時に上手く歩けなかった。
裏に戻って、直ぐに裾を上げた。
ロングドレスになったときのウォーキング練習も始めた。
少しの練習時間だったけど、
担当の先生が歩くコツを教えて下さり、66ちゃんはそれをすぐに吸収した。
本番ギリギリまで、ドレスにつまみ細工を付け、細部にまで針を入れた。
「この舞台で、どこまでも美しく」
余裕が無い、刹那的な時間だった。
刹那的にばかり衣装を作ってきた。
「これが終わればもうミシンを踏まなくてもいいと思える出来に」
「コンテストが終わったら死んだっていい、だからいい作品を作る」
そんな考えでばかりで衣装を作って、
いざ賞を頂いたら、
そのドレスはゴミ袋に入ってしまう。
もう、そんな風に衣装を作るのは止めようと思っていたのに。
だけど、どこまでもいい衣装に仕上げようとしたあの時間は、
短いけれど、本当に良い時間だった。
「貴方が、この中で誰よりも美しいです。行ってらっしゃい」
舞台袖から最後に送る言葉。
走って、観客席へ。
何度もウォーキングの練習をしてくれた66ちゃん。
決めポーズが誰よりもカッコよくて
美しくて
心が震えた。
座っている孔雀が飛び立つ。
ミニスカートから出てくるマーメイドラインに沿うように、羽ばたく孔雀の羽根が、つまみ細工でグラデーションになっている。
私が作り上げたかったそのものが、
舞台で大きく羽ばたいていた。
その後、いつもなら学生さんのショーを見るのだけど、
2人して控え室でぐったりしていた。
しばらくして、「受賞者の方の名前を呼びます、並んで下さい」と声がして、冒頭に戻る。
久しぶりに、舞台に立った。
自分と、自分が作り上げた衣装。
そして私のミューズにだけの、ライトが当たる。
舞台で涙を零した。
本当に嬉しかった。
それ以外、もう何も無かった。
やり切った。
9月。
66ちゃんと、やっと打ち上げ&振り返り会が出来た。
・時間があれば、もっとつまみ細工を小さくしても良かった
・胸元の立体を身体に沿わさずしていたら、又違う凄い物になっていたかもしれない
・ミニスカートが重すぎてどうしても下がってきてしまっていた。もう少し何か出来たのでは。
・ただ、あの短い時間のなかでこれだけの事をやってのけた。
100点だ!
そう話した。
そして、コンテストが終わってからずっと言われていた事。
「めいちゃんは、プロのモデルを使うべきだ」
今まで何度か指摘があった。
「服を着る人の重要性」
頭が小さく、胸が小さく、身長があって細い。
「モデル」
私が舞台から降りたのも、それだ。
だけど私は
「私と一緒に走ってくれる人」
に重点を置いていた。
私が美しいと思った人を
私の作る服でこの世で一番美しくする。
そこが一番大事だと思った。
だから、今回賞を取れたのは、
一緒に走ってくれた66ちゃんが居たからだと心から思って居る。
「私」を出せと言ってくれた彼女だからこそ、
あの衣装を着こなせたんだ。
そして「今年は一緒に行けない」と。
ちゃんと伝えてくれる彼女だからこそ。
今年のコンテストの連絡が来ている。
出る気持ちがほとんど無い。
「辞め時が来た」
それが一番の理由。
コンテストは、1位以外どれだけ賞をもらっても
「努力賞」だ。
報われる事は無い。
報われるのは気持ちの問題だ。
今回、自分が納得のいく作品が作れた。
入賞出来た。
それで十分だ。
焦がれた。
欲しい物に手が届いた。
私は報われた。
この衣装を作るのに、何度徹夜しただろう。
37歳。
体力の無い自分がよくやった。
作りたい物はまだまだある。
だけど以前「賞を取るなら、コンテスト側の好みを狙いにいかないといけなない」と言われた。
自分を出しながらも、主催側の好みのラインで今回以上の作品を作り出せるだろうか。
そしてその意味は?
それなら、作品撮りの衣装を作りたい。
作りこみたい。
自分のコレクションでも開きたい。
コンテストに出るなら全く違うテイストのコンテストに出たい。
色んな作家さんとコラボしたい。
そう、やりたい事はたくさんある。
もうコンテストに縛られなくても良いと思える。
ひとつの区切り。
今はただ、一緒に走ってくれた66ちゃんに心から感謝を。
自身の美意識を崩さずに努力してくれた事。
仕事終わりに疲れていてもフィッティングに来てくれた事。
私の逃げを指摘してくれた事。
「私の作品」を一番に考えてくれたその優しさと愛に。
座りこんでいた私を、空に飛ばしてくれた66ちゃん。
本当に、ありがとうございました!
そして、ここまで私を育てて下さったコンテストという大きな存在。
沢山の素晴らしい出会い
暖かな友人の励まし
偉大な先生から頂く言葉
コンテストがあったからこそ出来た個展
そして大きな別れ
挫折や悲しみ
それでも作る事や、ファッションが大好きなんだと何度も再確認しました。
全てに愛があった。
コンテスト、ファッションを通じて頂いた愛を
同じように返せるように。
まだまだ作り続けていきます。
これからも、よろしくお願いいたします。
愛を込めて。
MEI Flower