眠れない。。。



いつもだけど。。。



そわそわ。。。



なんだろ、そわそわ。。。





何か物音がした訳ぢゃない。

気配を感じた、とかでもない。



でも、

どーしても、


何かが引っかかって、




深夜4時。

2階の寝室から、

1階へ。




リビングの

電気がついてた。


ハルが起きてるのかな?



『どしたの?』

のぞいてみると。



つっぷしてるハルと、



テーブルの上には


アルミホイルでくるんだおにぎり5こ。

小銭でぱんぱんになった財布。

数日分のリスパダール(毎日飲んでる抗うつ剤)。

ばんそうこう十数枚。

そして、方位磁石。。。




?????

もしかして、

家出、の、準備???




『どしたの』

聞いても答えない。




しばらく話してみたけど

何も答えない。




ナニガイヤニナッタノ?


困り果てて溜息ついた。。。





『これ、見てみいや!』


やっと口を開いて

DS(ゲーム機)を指さす。


またゲームが原因?

ちょっと呆れながら、開いてみた。


上下に2つある画面の、

上の画面がバキバキに割れている。



『…割れたの?』

イラついて投げたのだろうか。

そう思って聞いたんだけど。



『ふざけんなや!!

とぼけたって無駄や!

オレ信じんからな!!!』



???

『何が?』


『うるせぇ!!

卑怯や、壊すなんか!』



アタシが壊したと思ってるんだ。

いや、ソファーの上にあったから、

さっきアタシが仮眠した時に

踏んだのかもしれない。





こうなると、

普通に説明したんぢゃ無理だろう。

興奮しちゃってるし、

泣いてるようにも見える。






大きく息を吸って。


アタシは投げやりに言った。



『もういいよ。

ままが壊した、でも

パパが壊した、でも

勝手に思ってろ。』


唖然とするハル。



『どっちにしたって

たとえアンタが壊したのにしたって

どうせすぐに

買わなきゃなんないんだ!

今いちばんショック受けてんのは

ままの方だよ!!』



ハルにしてみれば。


なに逆ギレしてんの?って話。


でも、

買ってくれるってどーゆーことだ。

ちょっと面喰らってる。




『なんで割れてんのか知らないよ!

何もわからんけど、

1こわかることは

明日からハルはキレまくって

暴れまくって

家はめちゃめちゃになるんでしょ!!

いつだってそーだよ!

なんだってそーだよ!!

太鼓のことにしたって

金なくても遠征行かなきゃ

ハルはやる気なくすんでしょーが!

パパもままも、

どーせあんたたちのために働いてんだから

ハルがキレてなんもできなくなるんなら

結局ゲームも買うんだよ!!!

なんでわざわざ

こっそり壊すんだよ!!

どーせ壊すなら

ハルの目の前で

バッキバキに割ってやるわぁ!!!』


まるでヤクザのいちゃもん。。。

支離滅裂もいいトコだ(;^_^A



コーフンしてるアタシに、

ハルはどんどん冷めていく。



<興奮状態の時は、いったん違うことに注意をそらすとよい>

<ADHD児は、強い刺激の方へ反応する傾向がある>



場合によっては

無視したり、

時間をおいて、落ち着くのを待って

おだやかに対応する方がいい時もあるけど。


今回は上記を応用して

成功したみたい。。。




少し時間をおいて

ハルに聞いてみた。



『方位磁石は、どう使うつもりだったの?』



ハルは少し笑って

『まず家の前で、方向確認しておこうと思って』


迷子になった時に

それで戻ってこられるとでも思ったのか。。。



『この大量のばんそうこうは?』



『転びやすいから。。。』



小学生か\( ̄ー ̄;)





ハルの作った

いびつな形のおにぎり

2人で食べながら


もし今のハルが

一人で家を出たらどうなるか

話をした。



警察に補導されてパニックになり

暴れて病院送りになるかもしれない


こわい人にお金とられて

ぼこぼこにされるかもしれない


道に迷って帰れなくなって

薬もなくなって落ち込み

自殺するかもしれない。。。




昔、臨床心理士の先生から聞いた、

こんな話もした。


『発達障害児への理解度は

10人いたら

1~2人は理解しようとしてくれる人

半分(5人くらい)は無関心

残りは、攻撃してくる人』


つまり、

ほとんどの人は

助けてくれないよ、と。


社会はまだまだ

冷たいんだと。


だから、強くならなきゃいけない。


今はまだ、ハルは一人で生きていけないけど。


ハルならいつか必ず、強い人間になれる。


そして、もし、だれもわかってくれなくても


ここには、ハルを理解しようとする、

家族がいるんだと。



『こんどまた、家出しようとおもったら…

いや、例えば、

自殺しよう、とか

ひどいことされたから、そいつ殺してやる、とか

逆に、とってもいいことでもいいや。

何か、大きな決心があったら。

必ずままに報告してからにして。

ハルに賛同するかもしれない。

そんなに憎いなら、ままも一緒に殺しに行く、とかね(笑)

でも、時には反対するかもしれない。

ハルももう、大人なんだし、

必ずしも、ままの言いなりにならないかもしれない。

それでもいいから、

必ずままに一度話して。

ままが入院してたら

病院に来て話して。

もし、遠くて来れなかったら

退院するまで保留にしといて。

もしままが死んだなら

お墓に言いに来て。

・・・・・・・・。

いや、お墓に報告されても

あんま意味ないから、

・・・・・・・・。

そん時は、

お墓倒してから行って。

そうだ、お墓たおそう!!

ままをたおしてから行け!

そんくらいの意志があるなら

もうそれは仕方ないよ』



なんだか変なリクツだけど。




アタシは常日頃、おもっているんだ。


人は、いつ死ぬかわかんない。


アタシが死んだらハルは

どうやって生きていくんだろう、と。


高校一年生で、

家出に方位磁石と

ばんそうこう、

薬のんだらもらえる50円玉を

小銭入れにつめこんで


ハルは、

どうやって生きていくんだろう、と。。。






すっかり明るくなった空に

眠たくて、ぼーっとしてる頭で

アタシは心から

長生きしたいと思った。



me-子が

結婚して、子ども産んで

その子どもも独り立ちして。

ハルは、

働いて、わかってくれる上司や同僚に恵まれて

休日は地域の子どもたちに

太鼓を教えたりしている。


そんな日がくるまで

ままは死ねない。



だからハル、

真っ暗な夜に

一人で出ようとなんて

もう思わないで。





ほら、

外はもう

こんなに明るい。





いっしょにゲーム、買いに行こう。。。