梅雨時はなんだか体がだるく何をするにも疲れるという経験がおありでしょうか。

しかし梅雨の時期に体が疲れやすいのにはきちんとした理由があります。


梅雨の時期に体に不調が出やすいのは、ひとつに自律神経がうまく働かないことがあります。湿度や温度の変化に体温調節がうまく働かないために、緊張状態とリラックス状態の切り替えがうまくいかず、だるさを感じてしまうのです。

 

自分ではそれほど気になっていなくても体はダメージを受けている場合が多く、急に眠くなったり、すぐに疲れてしまったりするのです。

 

 自律神経と食事

●交感神経と副交感神経

 自律神経には交感神経と副交感神経という2つの神経があります。交感神経と副交感神経は対照的な働きをもっていて、ほとんどの器官はこの2つの神経が同時に働くことで維持されています。

[交感神経の主な働き]

呼吸が速くなる、心臓の動きが速くなる、血管が収縮する、血圧が上がる、胃腸の働きを抑える、膀胱が広がる、子宮が収縮する

[副交感神経の主な働き]

呼吸が遅くなる、心臓の動きが遅くなる、血管が広がる、血圧が下がる、胃腸の働きを活発にする、膀胱が収縮する、子宮が広がる

 私たちが健康で快適に過ごせるのは、自律神経の交感神経と副交感神経がバランスよく働いているからです。


 交感神経・副交感神経それぞれ、過剰に興奮すると、以下の様な症状が出てきます。 
 ただし、すべての症状が交感神経・副交感神経の過剰だけが原因とも限りません。

【交感神経が過剰】 
・頭痛 
・高血圧症 
・動悸、息切れ 
・食欲低下 
・風邪や病気にかかりやすくなる(免疫力低下)

【副交感神経が過剰】 
・アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、鼻炎、気管支喘息など) 
・リウマチ性疾患 
・疲労、全身倦怠感(体がだるい、疲れやすいなど) 
・片頭痛 
・眠気、ふらつき 
・低血圧症


 交感神経が過剰の場合は、甘いお菓子(砂糖菓子や菓子パンなど)や酒類(日本酒・ビールなど)を好む傾向があります。理由は、体が緊張状態から緊張を取ろうとバランスを取るために、副交感神経を優位にする食べ物を体が無意識に欲求するためです。 具体的に副交感神経を優位にする食べ物の代表例は、酒類(ビール・日本酒・ウイスキー等)・ケーキ・菓子パン・ジュース・コーヒーなどです。

 逆に、副交感神経が過剰の場合は、辛いもの(とうがらしなどの香辛料)や肉類(牛肉・豚肉など)を好む傾向があります。理由は、体がリラックスしすぎた状態から緊張状態にしようとバランスを取るために、交感神経を優位にする食べ物を体が無意識に欲求するためです。具体的に交感神経を優位にする食べ物の代表例は、 肉類・卵・マグロやぶりなどの大型魚・加工肉(ソーセージ・ハム・ベーコン)などです。

 食事で自律神経のバランスを取ろうとするのであれば、出来る限り、交感神経・副交感神経それぞれ優位(過剰)に導く食べ物を極力を控えることです。

ビタミンB群は神経の働きを正常に保つ働きを持っています。不足すると自律神経のバランスが崩れやすく、また強いストレスが続くと消費量が急激に増えるので、日常的にしっかり取るよう心がけましょう。ビタミンB群は互いに作用しあって働くので、バランスよく取ることが大切です。

ビタミンB1糖質をエネルギーに変える働きを持ち、不足するとイライラ・疲労感・記憶力低下・食欲低下などの症状を引き起こす。
食材:穀類(胚芽米や玄米)、米ぬか、豚肉、レバー、大豆、種実類(落花生・ごまなど)、ウナギ、カツオ、卵黄など
ビタミンB2アミノ酸・脂肪・糖質を分解するのに必要なビタミン。
食材:ウナギ、レバー、納豆、卵、乳製品、牛乳など
ビタミンB6たんぱく質や脂肪の代謝に働き、脳の神経伝達物質の合成に欠かせないビタミンで、興奮を抑える働きを持っている。不足するとイライラや記憶力低下などの中枢神経の障害を引き起こす。
食材:肉、魚(マグロ・鮭・サバ・サンマ、カツオなど)、大豆、種実、野菜(葉菜類)、バナナ、酵母、レバー、卵黄、黒砂糖など
ビタミンB12悪性貧血予防に有効なビタミン。睡眠や覚醒のリズムを調整し、不足すると神経や精神に係る症状を引き起こす。
食材:魚(サンマ・イワシ・サバなど)貝類(シジミ・アサリ・ハマグリ・カキなど)、肉、牛乳、レバー、卵など
ナイアシン糖質・脂質・たんぱく質の代謝に欠かせないビタミン。
食材:カツオ、ブリ、サバ、豆類、牛乳、果物など
葉酸ビタミンB12とともに悪性貧血予防に働く。不足すると精神神経異常や胃腸障害なども引き起こす。
食材:ほうれん草をはじめとする緑黄色野菜・酵母・胚芽・豆・肉類・卵・牛乳など
パントテン酸「抗ストレスビタミン」とも呼ばれ、ストレスの多い人には欠かせない栄養成分。
食材:ほとんどの食品に含まれている。
【ビタミンC】
身体はストレスがかかると副腎皮質ホルモンを分泌して全身の抵抗力を高めます。ビタミンCは副腎皮質ホルモンの原料として使われるため、不足するとストレスが解消されずに溜め込まれてしまいます。ビタミンCはストレスが続くと大量に消費され、また水溶性なので1日数回に分けて摂取すると効果的です。
ビタミンCを多く含む食品
ほうれん草、ブロッコリー、パセリ、菜の花、キャベツ、ピーマン、いちご、グレープフルーツ、オレンジなど
【ビタミンA】
自律神経をコントロールして症状緩和に働きます。
ビタミンAを多く含む食品
牛乳、乳製品(チーズ・バターなど)、卵、緑黄色野菜など
【ビタミンE】
ビタミンA同様自律神経をコントロールして、症状緩和に働き、ホルモン分泌を調整します。神経の働きが向上し、ストレスに負けない身体が作られます。
ビタミンEを多く含む食品
穀物、豆類、種実類、緑黄色野菜など
【必須アミノ酸】
必須アミノ酸は自律神経をコントロールする働きがあり、ビタミンCが副腎皮質ホルモンを合成する時に、酵素として働きます。
必須アミノ酸を多く含む食品
肉類、魚類、牛乳、乳製品、豆腐、納豆など
【カルシウム】
神経の係わりと関係し、イライラを鎮めて不眠を解消し、神経の伝達機能神経の興奮を抑える働きがあります。
カルシウムを多く含む食品
牛乳、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)、大豆製品、小魚(煮干・イワシ丸干し・チリメンジャコなど)、ヒジキ、ほうれん草、小松菜、ヒジキ、豆腐など
【マグネシウム】
ビタミンB群の働きを助ける役割があり、脳や神経の興奮を鎮め、精神を安定させ、うつ症状を緩和する働きがあります。
マグネシウムを多く含む食品
大豆、大豆製品(納豆・豆腐など)、バナナ、ヒジキ、昆布、ワカメ、ごま、アーモンド、落花生、カツオ、ほうれん草など
【マンガン】
神経過敏を和らげる働きがあります。
マンガンを多く含む食品
肉類、豆類、酵母、干ししいたけ、キウイフルーツなど