3月31日に平成27年度税制改正案が成立・公布されました。
消費税率については、平成29年4月1日より10%に引き上げられます。
先日、弊社にて実施した平成27年改正大綱のセミナー内容をもとに法人関連の改正をまとめてご紹介させて頂きます。
1. 法人税率の引き下げ(平成27年4月1日以後開始事業年度)
法人税率引き下げます。
<25.5%⇒23.9%>
中小企業の軽減税率15%については、適用期限が2年延長されます。
今後数年で法人実効税率については、20%台(改正前34.62%)まで引き下げる計画ですので課税の繰り延べのための節税対策は、今まで以上に効果的です。
2. 所得拡大税制の拡充
賃上げへの配慮措置として基準年度からの給与増加割合の要件が緩和されています。
平成27年3月決算法人については、平成26年分の上乗せ措置を適用できる可能性があるので検討が必要です。
3. 欠損金繰越控除制度の縮減
大法人の欠損金の繰越控除限度を段階的に引き下げます。
<所得×80%⇒所得×50%>
4. 繰越欠損金の延長(平成27年4月1日以後開始事業年度に生じた欠損金より)
欠損金の繰越期間が延長されます。
<9年⇒10年>
5. 受取配当金の益金不算入制度の縮減(平成27年4月1日以後開始事業年度)
株式等の区分が変更され、それにともない益金不算入割合、負債利子の控除計算の見直しが実施されます。
持株会社が25%以上1/3未満の持株比率の場合には、益金不算入割合が100%⇒50%となるため注意が必要です。
6. 研究開発税制の強化(平成27年4月1日以後開始事業年度)
オープンイノベーション型の特別試験研究費についての拡充が行われるとともに、控除限度額の改正、総額型の繰越控除制度の廃止が実施されます。
特別試験研究費に該当する試験研究費がない場合には、結果的に控除限度額が縮小されることとなるため(法人税額の30%⇒法人税額の25%)、試験研究費支出についての内容を検討する必要があります。
7. 地方拠点強化税制の創設
地方再生法改正に基づき、地方における企業拠点の強化・拡充推進のため、一定の設備投資、雇用促進について優遇措置をうけることができます。
8. 特定資産の買換えの場合の課税の特例の延長
平成26年12月末にて期限切れとなっていた長期保有の土地等の買換えについて一定の改正がなされた上で平成29年3月まで延長されます。
主な改正内容は、上記の通りとなりますが、今後法人税の実効税率の引き下げに伴い、財源確保の観点から中小企業に対する優遇措置の廃止、外形標準課税対象法人の拡大等の改正が検討されていくことになると考えられます。今後の改正動向については随時情報発信していきたいと思います。