プラモ仲間のデルさんより質問を頂きましたので、今日はその辺の話などを。

質問は2点、「いつ頃から改造を始めたのか」と「改造は必要なのか」だ。


ではまずは「いつ頃から改造を始めたのか」について。

これには私の模型作りのルーツを語ることになるので、しばしお付き合い願いたい。


私がプラモ作りを始めたのは5、6歳の頃だろうか。スーパーカーブーム真っ盛りの時代で、スーパーカーの小さいプラモをいくつも作った。少し上の世代は1/20や1/24などのモーターライズ走行のプラモを作っていたが、子供の小遣いで買える安いタイプ、ゼンマイで走行するタイプや、部品数も10数点とかの駄菓子屋で売ってるようなプラモだけだ。当然色も塗らずにただ組むだけ。

そんな中小学生の時にリアルタイムでヤマトやガンダムを見た私がキャラクタープラモに流れていくのは当然で、最初はただ組むだけだったが、数年後には雑誌の作例を真似て、塗装したり、ザクの足首を可動にしようと挑戦するなどはしていた。ただ所詮は技術や知識のない小学生のやることだ。改造なども成功するはずはないのだ。そんなこんなで、1/48ダグラムヤクトタイプ(ぶたぬうさん言うところの太ダム)を最後に素組みメインに変わった。もちろん合間でスケールモデルも組んではいた。



それから数年後、高校生になってガンプラやダグラムなどの主要なキャラプラモをフルコンプするようになった時に、再び制作熱に火がつき、とりあえず最初のガンダムシリーズを発売順に組んでいくことを決定。製作がスタートする(ガンプラは逆襲のシャアシリーズを展開してた頃だ)。小学生の時と違うのは、雑誌で勉強し、道具や材料を揃えてから始めるようになったことだ。まあ、実際は漸く本に書いてある内容を理解して実践できるようになたっというだけだが。



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これがその第1号、1/144ガンダムだ。

子供心にもプラモに対する可動部や武器の不満があり、何とかしたいと思っていた。中学生の時に考えていたアイディアの実践だ。大胆にもいきなり1作目から別キットを潰してのミキシングビルドだ。改造や作り直す技術がないので、他のキットのパーツに丸ごと交換してしまうという方法を取ったのだ。ちなみに私がキットを部品取りで潰すのは部品注文するよりもキットを買ったほうが安い場合だ。

で、このガンダムは腕の横回転を実現したかったので、腕を丸ごとジムスナイパーカスタムと交換。ビームライフルのグリップと持ち手をフルアーマーガンダム、覗き窓が開いているという理由でシールドをプロトタイプガンダムからと、結構他のキットのパーツをふんだんに使っている。それも昔はプラモの単価が安いからだ。道具を使いこなすことも案外楽にできた。ライフルのグリップをレザーソーで切り離し、しっかり接着ができるようにピンバイスで穴を開け、補強の真鍮線を入れて接続している。

隣の「G3ガンダム」はランドセルにジムからバーニアを取ってきただけで全くのストレート組だ。


その次は発売順に従って、1/100ガンダム、1/1200ムサイと続く。


それらは申し訳ないが過去の紹介記事で代用させて頂きたい。


http://ameblo.jp/mdsf-x1/entry-11253554321.html



http://ameblo.jp/mdsf-x1/entry-11257257634.html



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次は1/144ザクだ。こちらも別キット潰してのミキシングビルド。足首が動かないのが難点なので、それを改修すべく、膝から下を旧ザクから流用。ついでに平手などの手首とヒートホークも流用した。ザクマシンガンは持ち手ともども、MSVの06Rから流用しているので、両手持ちも様になっている。ガンダムから進化した点は、交換のために手首と、違うキットの脚を接続するためにポリキャップを内蔵したことだ。


まだまだ時代は昔のこと。


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サポートパーツは今と違って、ラーク(現ウェーブ)からタミヤプラ棒の経に合わせたポリキャップが発売された頃だ。そのため(今では考えられないが)ポリキャップやバーニアが貴重だった時代なのだ。全身にポリキャップを内蔵するという発想や、そういう改造技術も無いような時代だったのだ。


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次は1/144グフ。これは手首に上のラークの2mmPCを仕込んで武器を真鍮線で手首ごと交換できるようにした。また豪華で写真のヒートロッド、ヒートサーベルの他にヒートホーク、ザクマシンガン、ジャイアントバズを用意した。劇中に使った全ての武器を揃えるのがポリシーだったので、それらの武器を全部用意した。


高校を卒業して大学生になることにはガレージキットが注目され、ファイブスターのキットがGKの認知度を押し上げた頃だ。プラモの単価が安いので、友人と一緒に月に1回、吉祥寺(ボークスとウェーブ)渋谷(海洋堂とBクラブ)を回ってガレージキットを買い漁るのが楽しかった頃だ。プラモと違う高級感が眺めるだけで満足させてくれた時代だった。


この頃は別記事で紹介した1/100ドムやホワイトベースの他に1/60ガンダムとザク2種を作っている。

そうこうしている内に浮気の虫が騒ぎ出し、ガンプラをストップしてスケールモデルなども始める。


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アオシマの1/24クラウン。丁度このキットが出た頃がモーターライズの終焉期だ。たしかこのクラウンの次のシーマブラザーズやマークⅡブラザーズまでが共通シャシーのモーターライズ仕様で、R32スカイラインから完全ディスプレイに移行した。このクラウンも付けてはいないが、モーター内蔵で走行できるし、フロントとリアのライトも麦球で光らせることが可能だ。

クラウンは特別目だった改造はなし。強いて挙げるなら、ライト周りはモデラーズのメタルック(糊付極薄アルミ箔)を貼ってデテールアップしたくらいだ。ガラスパーツは艶消しスプレーの失敗でかぶってしまい、曇ってしまった。


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浮気の虫は次もガンプラではなく、アリイの1/100バルキリー(説明は過去記事参照宜しく)を最後に色々と手を出す未完成病に陥ってしまい、完成から遠ざかってしまう。


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未完成品の代表がフジミの1/24フェアレディ300ZX。あとはクリアパーツとドアミラーだけの状態だ。諸般の理由でストップして25年近く時が止まったままだ。


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車のプラモで一番楽しいのはシャシーの塗り分けかもしれない。黒鉄色をスプレーして後は筆で塗り分け。しかしこの写真撮っておかしなことに気づいた。リアのサスペンション周りが艶有りの黒なのに、フロントは艶消しの黒というおかしなことになっている。説明書見たら、指示はこの通りだったが、謎だ。

まあ、使い回しのインチキシャシーなので(前後のパーツは入れ替えてはいるがスカイライン兄弟やシルビア&180兄弟も同じシャシーだ)本当かどうかも怪しいから気にしない方がいいだろう。


大学卒業後は、やはり未完成病が続き、中途で投げ出すキットが多く、実際完成したのはコンテスト用に組んだジムの他は人に上げるために作ったり、頼まれた作ったカーモデルだけだ。

その原因としてガンプラが色プラとスナップフィットの進化で、素組で満足できるレベルになってしまったこともあるだろう。そのおかげで発売されると主要なキットはみんなすぐに組んでしまい、それは今も続いていて、素組だけで数百個はこなしている。



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FGガンダムを改造したジムだ。(こちらも過去記事参照宜しく)


これを最後に素組みオンリーになってしまう。

これではいかんと、20年越しの宿題に決着をつけようと、レッドミラージュの制作に入ると同時にブログを始めた。これが私の歴史だ。


現実問題大した改造などはしていないし、今年ジェガンに色を塗るまではこのジム以降、塗装もしてないのだ。

レッドミラージュの制作で悩み、スコープドッグで関節の改造に挑戦した。(どちらも現在進行中)

そのため全ての関節にポリキャップを仕込むという改造を行ったのは実はクラブガンナーが最初だったりする(レッドとスコープドッグをカウントするなら3個目だが)

今のバイファムの記事を読んでる人は驚くかもしれないが、本当に大した改造の経験は無いのだ。


だが、数百個の素組とレッドミラージュの苦労が成長を加速せたことは事実だろう。



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こんな堅苦しいポーズしか取れないキットが全身にPCを内蔵しただけで


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こうなるのだ。


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パーツの可動域や関節の構造をきちんと理解して適切な使い方をすれば、このように表情豊かなポーズが取れるようにもなる。自慢する訳ではないのだが、脚が4本とも独立して別の方向へ動くようになるというのは結構凄い状態と言えるのだ。



では、次はもう一つの「改造の必要性」だ。


「必要」は「必ず要る(かならずいる)」ということだが、模型製作において、「必ずやらねばならない」というものは何もないというのが私の持論だ。


つまりどういうことかというと、「色を塗りたい人は塗ればいいし、塗りたくない人な塗らなきゃいい」。「改造したい人はすればいいし、したくない人はやらなくてもいい」ということだ。


で、ここからは不快になる人がいるかもしれないが、ご容赦願いたい。製作ののスタンスや考え方の違いの説明だけであって、他の方々の作り方を否定するものではないことをご理解いただきたい。


大前提として「やる・やらない」は個人の自由であるが、やるにしてもやらないにしても責任は自分で負わねばならないということだ。


どういうことかというと、例えばである。

プラモデルはその製法上、仕方がない部分がある。

ランナーから切り離せばゲート跡が残るし、肉厚がある部分は必ずヒケるし。パーティングラインや押し出しピン跡もパーツについてる。

よく他の方々作品をブログなどで見させていただくのだが、綺麗に処理している人もいれば、気にしないのか気づかないのかは分からないが、処理していない人もいる。

私個人は「みっともない」という思いがあるので時間をかけてすべて処理している。



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これはジェガンのシールドだが、平らなように見えてもサフを塗って面を均すとこにようになる。サフが残った部分はヒケ(面の凹み)だ。プラの地だと分からなくても、塗装するとかなりの自己主張をするので結構たちが悪い物だ。


「やらない」という人にも理由があるだろう。ヤスリがけやパテ埋めが苦手な人は無理にやって傷だらけにするならば、そのままの方がいいという考え方もありだ。

だが模型はバランス、すべての調和が基本なのだ。綺麗な塗装面であればあるほど、ヒケやパーティングラインは「粗」としても自己主張をする。塗装が綺麗でも下地処理がいいかげんな(あるいはやっていない)物は失礼な言い方だが「三流モデリング」でしかないのだ。

それと同じで下地処理を綺麗にしても、塗装で失敗すればみっともない物ができるのも道理なのだ。


http://ameblo.jp/mdsf-x1/entry-11320424766.html


上記はヒケ処理に手を抜いてみっともない物になった私のジェガンだ。


では「負うべき責任」とうどういうことか説明しよう。

苦手な作業をしたせいで、返って悪くなってしまった。これは「やったことの責任」と言える。

克服するために練習するか、やらない方向にいくのかは個人の自由だ。


だが「やったことで失敗する」ことと同様に「やらなかったせいで失敗する」例もあるということだ。

あるプロモデラーの失敗談だが、車のプラモだとダッシュボードの上にパーティングラインがあり、そこが結構盛り上がっているケースがある(上のフジミのフェアレディはそうだった)。そのプロは大した盛り上がりじゃないし、完成したら見えなくなるからいいやと思って処理せずに組んだ。これが命取りだった。プラスチックという物は弾性がある。この弾性が曲者で僅かな時間の歪みなら受け入れてしまうのだ。だが縮尺モデルはミリ単位で正確に合わせるようにもなっている以上、コンマ数ミリの違いを受け付けないこともあるのだ。パーティングラインを処理せずに組んだ結果、ガラスパーツを挟むボディとダッシュボードの隙間が減ってしまったのだ。そのせいでハメ合わせた歪みがガラスパーツを圧迫し、パーツにヒビが入るという悲惨な結果となったそうだ。


もう一つの例は更に深刻だ。ネットで見た制作代行のページだが。塗装が綺麗なのにヒケ処理が甘く、面が凹んでいるのが丸分かりだった。それなのに説明で「ヒケの処理をしました」とあるから、その人は「作るときに手を抜く」あるいは「目(チェック能力)が悪い」ということがばれてしまうのだ。私ならそんな人にはお金払って頼むことはないのだから、受注に影響する失敗例と言えるだろう。



改造も同じだ。

やれば失敗する責任を負う可能性はある。同時に苦手意識のままやらないならば「いつになってもできない」という責任を負うことになる。

例えばだ。


http://ameblo.jp/mdsf-x1/entry-11323799283.html


上記の過去記事はレッドミラージュの脚が「ハの字」に開くように改造した内容だが、私は「ハの字に開かせたい(開かせた方がカッコイイ)」と思ったから、改造しただけだ。その改造した私が負う責任は「失敗する可能性」と「成功したが効果がない可能性」だ。

「別にこのままでいい」「改造できないから」と思う人は改造しなくてもいいのだ。その代わり「カッコ悪くても我慢する」「ハの字にしたいと思ってもできない」という責任だ。

どの責任を負うかの違いでしかないのだ。


なので、デルさんがしたいと思えばやればいいし、やる意味がないと思うならやらなくても問題はない。

ただ「やりたい」「できるようになりたい」という向上心を満たすのが目的ならば、答えは「できるようになるまでやるしかない」だ。


改造するのなら、闇雲にやるのではなく「どうしたい」かを明確にして、それに適した改造方法を考えることだろう。

パーツの使い方が分からないとのことだが、例えば、前回デルさんが作った旧キットの「ズゴックE」を考えて欲しい。それを「HGUC版」並みにしたいと思うなら、まずはHGUCの関節やディテール、バランスなどを研究して、それを再現すために市販パーツに置き換えるやり方から始めると、使い方も分かると思う。


あと大事にするのはスケール感だ。私は1/144辺りだと、スジボリの追加やディテールアップはやらない。訳もなくメタルパーツなどを使ったり、過剰なスジボリでうるさくなってる作例もあるが、効果を考えずにするのはやめた方がいいだろう。1/60なら効果がある方法を1/144でやってもバランスが崩れて無意味になってしまう。

リアルグレードを想像して欲しい。あれは1/48や1/60で丁度いいようなディテールを1/144でに入れてるから、ディテール過多でうるさいだけ、HGUCの方がスッキリして見えるのは丁度いい量のディテールだということだ。


長くなって申し訳ないです。

最適なバランスの見極めや関節のつくり方は、簡単にはできないかもしれません。その都度相談してください。いくらでも協力します。