私が研修医時代に病棟に入院中のhematopoietic dysplasia(HI)と診断されている方担当することになりました。MDSはかつては、HIや前白血病などの様々な名前で呼ばれていました。FAB分類が提唱され、皆が同じ基準で診断できるようになり、MDSの理解と治療法の研究が深まっていきました。
私は恩師の野村武夫教授から、FAB分類で診断をやり直すように指示されました。
野村武夫教授は顕微鏡診断の専門家で、この先生に指導を受けたことは私にとってとても幸運なことでした。
MDSの診断や治療による変化を適切に判断するには、精密な顕微鏡検査技術が必須であり、私の正確な診断と後述する際だった治療成績は、この顕微鏡診断技術が大きく貢献しています。
野村教授は大学を定年退職されるに際して、血液細胞の顕微鏡写真がふんだんに掲載されている数多くの洋書・和書を私に下さいました。私もいつか喜んでこういった本を譲れる後進に出会いたいと願っています。