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お電話の受け付けが平日だったため、メールでご相談させていただきます。
2月17日に胃部不快・嘔吐で病院受診した際に大球性貧血(Hb9.1、MCV106.9)が認められたため、3月8日に血液内科受診したところ、Hb8.4、MCV106、末梢血の芽球1.5%でアウエル小体が出現していました。
即日骨髄穿刺し、10日に結果を聞きに行きました。骨髄の芽球は3.6%とそれほど多くないが、M/E比が0.5と低いため少なく見えるが実際にはもっと多いと考えられること、血中にアウエル小体が出現していることから、MDSのRAEB2に該当するだろうと言われました。
ただ、単球が13~14%と高値だったため、CMMLの可能性も否定できないと言われました。
「治療としてはアザシチジン投与が良いが、余命1年を2年に延ばすような治療で、若いので根治には骨髄移植が必要だろう。ただ、無理に勧めるものではないし、染色体検査の結果もまだでリスク判定もできないので、少しずつ相談していきましょう」と言われました。
以上のことを時間をかけて丁寧に説明してくれ、良い先生ではありました。
現在は貧血症状が強く、だるさや頭痛・嘔気などがひどいため、ネスプ注射などの可能性を尋ねたところ、保険的にアザシチジンとネスプは併用できないので、次回以降に相談しましょうとも言われました。
緒方先生の動画などで勉強すると、骨髄移植のリスクが大きいので、骨髄移植には抵抗があります。そのため、現時点の診断が正しいのか、現時点でアザシチジンを開始する必要があるのか、対症的にアンドロジェンやネスプを使用した方が良いのか、予後はどの程度なのか、などを教えていただければと思っています。
なお、3月10日はHb8.5、MCV107、網状赤血球32.0%、WBC6,800、好中球59.3%、単球13.1%、好酸球10.4%、血小板27.5万、Pt-IR 1.16、PT活性74.4%でした。
あらためて、平日にお電話でご相談させていただきます。
よろしくお願いいたします。
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先に言葉の説明をしますね。(ブルーはご相談内容の引用です)
- 大球性貧血……貧血があって、赤血球が大きい場合
- 赤血球が大きい(MCV (Mean Corpuscular Volume平均赤血球容積)が100を越している)
- いわゆる鉄欠乏性貧血の場合は、どちらかというと赤血球が小さくなる。赤血球が大きくなるということは、同じ貧血でも、鉄欠乏性の貧血の可能性は低くなって、それ以外の原因を考えなければならないということを示す。
- 貧血で、鉄欠乏でもない。末梢血に芽球が出ているので通常は腫瘍性。
- アウエル小体がある…急性骨髄性白血病で骨髄芽球の細胞質にみられる桿状体(針みたいなもの)、骨髄異形成症候群でも時々見られる。慢性骨髄性白血病ではみられない。末梢血中の芽球が5%未満、骨髄中の芽球が10%未満でもアウエル小体を認める場合は、RAEB-2に分類するとなっているので……。
- 骨髄の芽球は3.6%とそれほど多くないけれども、M/E比が0.5と低いため少なく見えるが実際にはもっと多いと考えられる
……E(Erythroblast赤芽球)が多ければ芽球(Myeloblast)の割合(芽球数/全有核細胞数)の分母が大きくなるので、好中球系細胞に占める芽球比率はもっと高いとは言えます。 - 慢性骨髄単球性白血病(Chronic myelomonocytic leukemia,CMML,CMMoL)
- 単球の増加と血球の異形成を特徴とする。末梢血で単球増加、骨髄系細胞に異形成,白血球は増加or減少、他の血球は減少がみられMDSに類似。FAB分類ではMDSに分類されていたが、白血球増加を呈する症例が多く慢性骨髄増殖性疾患とも共通した点があり、2001版WHO分類で骨髄異形成/骨髄増殖性疾患(MDS/MPD)に分類された。数字を見る限り十分にあり得ます。
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1,治療としてはアザシチジン投与が良い
A:末梢血、骨髄中の芽球が20%程度になり、血球減少が著しければ検討した方がよいと思いますが。
2,現在は貧血症状が強く、だるさや頭痛・嘔気などがひどいため、ネスプ注射などの可能性を尋ねたところ、保険的にアザシチジンとネスプは併用できないので、次回以降に相談しましょうとも言われました。
A:アザシチジンの投与は後で考えるとして、体がきついのであれば、輸血を検討したほうがいいかも。ネスプは効く方と効かない方といますし、ほとんどの方が効くまでにある程度の回数がかかっています(10回~中には20回程度以上)ので。
3,保険的にアザシチジンとネスプは併用できないので
A:多分、そうなんだと思います。そんなことは書いてないですが、アザシチジンとネスプを併用させると保険で切られます……ひどいなあ、患者さんに必要だと思っても使えないなんて、まあこれだけじゃないけれども。
4,余命1年を2年に延ばすような治療
A:そうですね。「完治」はしないです。
そしてアザシチジンが効果があるかないかは通常の施設では5分5分です。
さらに確かに使用していても効果がなくなる方もいらっしゃいます。
一方で長期間に渡って効果がある方もいらっしゃいます。
5,根治には骨髄移植
A:骨髄移植は余命5年を6ヶ月、8ヶ月に、3年を3ヶ月にしてしまうこともままあります。
また余命をどうやって出しているのか??基準があるようでないようで…。
移植をしても入退院を繰り返す生活が待っているのが普通だと思いますけど……。
「まだ再発していない」状態を「根治」だの「完治」だの言っているような気がします。
良識ある先生で良かったですね!!!
6,アンドロジェン
A:確かに貧血の方に一時的に効果がある場合もありますが……。
7,3月10日はHb8.5、WBC6,800、好中球59.3%、血小板27.5万
8,貧血症状が強く、だるさや頭痛・嘔気などがひどいため
A:数字よりも体感が悪いように感じます。急激なHbの低下が原因でしょうか?
Hbが急激に下がっている場合にまま起こることですが、数字よりもきつく感じられる場合があります。通常、輸血はほぼHb6前後で行いますが、患者さんの体感やお仕事、好みに応じて多少前後します。もしきついようであれば、先生にお願いしてとりあえず、輸血されたらよいと思いますよ。
ビダーザをいつから始めるかは置いておいても……。
ということで、セカンド・オピニオンの際にさらに詳しく先生にお聞き下さいね~!!