「骨髄異形成症候群(MDS)に対する骨髄移植の現実と問題点」
ついに緒方先生がMDSに対する骨髄移植の現実と問題点についてお話をして下さいました。
是非、ご覧になって下さい!!
私はいつも骨髄異形成症候群の患者さんたちの相談にのっていますが、一番どうしようもないのが移植後再発されて苦しんでおられる方々のご相談です。
私はMDSに対する移植が、世上言われているような成果をあげてないことを知っています。低リスクMDSへの移植が、ただ生存率を下げるだけだということも、高リスクMDSに対する移植ですら、他の治療とさほど変わらないことを知っています。
でも、移植を希望されている方々は、あるいは移植をすでになさった方々はそれを知って、移植を選択されたのでしょうか???
緒方先生がお話の中で引用されている論文の一つはFred Hutchinson CancerResearch Center(フレッド・ハッチンソン・キャンサーセンター、骨髄移植を開発したEdward Donnall Thomasが在籍した米国の骨髄移植の総本山の一つ)などいくつかの病院の移植結果をまとめて「A decision analysis of allogeneic bone marrow transplantation for the myelodysplastic syndromes: delayed transplantation for low-risk myelodysplasia is associated with improved outcome(骨髄異形成症候群の同種骨髄移植の決断をいつ行うべきかについての分析:低リスクの骨髄異形成症候群に対する骨髄移植はある程度進行してから(delayed)の方が結果が良い)と題してBlood誌の2004年104号579-585に掲載された論文です。論文の概要は低リスクの人は低リスクの状態で移植すると生存率が悪いのである程度進行してからの移植は生存率をあげる(transplantation maximized overall survival)と結論付けています。
なんでこんなに回りくどい表現なのか……??って感じですが、かなり都合の悪い結論ですものね。
さらに高リスクや白血化した場合でもほとんど結果は変わりません。
(これは進行期MDSについて解析:移植と非移植で生存曲線が全く一致している。EBMTの移植dataとドイツの非移植dataを比較したものです。
PLOS ONE October 2013 Volume 8 Issue 10 e74368
Allogeneic SCT v. Non-Transplant Approaches in MDS)
これらをきちんと説明した上で、移植を勧めているとは思えないのですが……。
さらに生存曲線の観察終了もとっても疑問なのですが……。