転生したら読書家になった件㉔キャッチャー・イン・ザ・ライ の感想 | バイクとCAFEと

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「キャッチャー・イン・ザ・ライ」
を読みました





以前の訳では
「ライ麦畑でつかまえて」という小説です


有名な作品ですが
読んだことがありませんでした


しょうもない情報だけあったんですけどね


犯罪者達がよく読んでいた本らしいとか、メル・ギブソンがスパイの役をしてる映画で、読んだことはないけど買わずにいられない本として出てたなーとか😅




今回読んでみたら

半分くらいまでは、んー?イメージしてたのと違うなーどこが名作なんだ?って印象でしたが
後半にガーっと心持ってかれて、全部読んだ後には スゲーの読んだかも!😭って震えました







ここからは細かく感想を書きます
見たくない方はスルーしてください😉













この小説の
好きなところをあげるなら

・辛辣な表現が面白い
・若者のナイーブさに共感できる
・主人公が傷付いていく様と慰められるところがグッとくる



でしょうか






小説の冒頭

「こうして話を始めるとなると、君はまず最初に 僕がどこで生まれたかとか ~… 」
って感じで、主人公が「君」に話しかける感じで始まるんです。

この君とは読者、すなわち読んでる僕で
ずーっと最後まで僕に話しかけてくるんですね

これがまず不思議な感じでした。
主人公はメチャメチャしゃべるんですが、ずーっとよく分からない事を言ってる。
いや分かるんだけど、枝葉が多いというか1つの事を言うのにメチャメチャ長くなるんです
オマケにウソっぽい

だからちょっと読むのが疲れてくるんですけど
事あるごとに
「君にも見せたかったよ」とか
「会えば君もきっとそうだ」とか
言ってくるんで、
ああそうなの?って聞き続けてしまう。

しょうがないなーみたいに😁





そうやって
馴れ馴れしく語ってくる主人公は現在は17才で

16才の頃の事を、君に語り続けるんですが、その頃がかなりの問題児なんです。

学校を転々としていて、この時も退学が決まった直後で、荒んで、先生に説教をされたり寮の同部屋のやつと喧嘩したり、もういいやと飛び出して、昔の友人や先生、妹に会いにいったり、娼婦と会ったりする3~4日?の事

それを君に語って一冊終わるって内容なんですが、
その間まあ人の悪口が多いんですねよね(^-^;


悪口はあんまり好きではないんですが
彼のは面白いんですよね😁それでついつい引き込まれてしまう


例えば
世話になった先生の所に行って、もうその人が年とってヨボヨボな姿を見て「いったいこの人は何のために生きてるんだろう」って思ったって言ったり。

自分の学校を
「明晰な思考をする優秀なやつなんて一人もいなかったね。そうだな二人くらいはちょっとましなのがいたかもしれない。まあうちに入る前からもともと、ちょっとましだったんじゃないかな」って言ったり

あと
同部屋の先輩を「自分の事を西半球で一番ハンサムだと思ってる。でもアルバム向きのハンサムなんだ」とか

同級生の事を「こいつの感受性なんて便座なみなんだけど」と言ったり

その母親の事は「母親ってのは、みんなちょっとずつ正気を失ってる」とか

あとデートしてる女の子でさえも「自分をチャーミングに見せたりするのに忙しい」
とかね。


もちろん本人に向かっては
ほぼ言わないんですけど、君(読者)にはメチャメチャ毒吐いてくるんです😅

これってなんというか
ある種の打ち明け話をされてるみたいな気にもなるし、表現も面白いから、長いけどほーほーって聞いてしまうんですよね。

そしてその開けっ広げな感じからか、親近感も沸いてくる

いや言い過ぎ!
って言いながらついつい笑っちゃうみたいな😁




そして
良いと思う2つ目の
主人公のナイーブさですが

若者だった経験があるなら、誰しも共感してしまう気がします。

気分がのらないと何もうまくできなかったり、
自分がすっと消え失せていくようや気がするんだっ て言ってみたり、そのまま死んでしまいたくなったり、感極まって泣き出してしまったり。

もっとしっかりしろよと思いつつも
似たような経験あるなーと思う人も多いと思います。


後になって思えば、もっとうまくコントロールできるだろって思うけど、当時の本人にとってはどうしようもないんですよね。

ただちょっとした事で変わる
何かある一文を読んだり、ちょっと食べ物変えてみたり、怒られると思ったら優しくされたり、ちょっとしたことで変わったりするんですけどね。

そんなアドバイスをしてあげたくなるんです。



それに

こんな
ナイーブだな、しっかりしろよ
って表現の中にもハッとさせられるものもあって

「君が何かをあまりにも良くできるようになるとだね 自分がよほどよく注意しない限り、ついついそのうち、これ見よがしなことをやり始めちゃうわけだ。そうすると君はもうそんなに良くなくなっちまってる。」

なんか深いですよねー
成長することで、逆に良くなくなるっていう
上手くなる事で小手先になるというか

こういうことは覚えがあるなー



あと
「人って何かひとつを真実だと思い込むと、それしかなくなっちまうんだ。」

あるなー
最初に聞いた事を真実だと思い込むことってありますよね。それが誤解やウソだったりしても、2回目に聞いた真実をウソだと思ったり。


敏感だからこそ見える真実みたいなものがあるのかもしれません




とはいえ
ナイーブなのはマイナス面のが多いかな
どっちつかずの発言も多くて、

映画がみられなくて特に残念というわけでもなく、まあでも映画をみるのが特別心踊ることでもないって言ったり

どっちやねん!


あと分かりやすいウソが多い

絶対そんなにたってないのに、10時間も説教された、って言ったり、五千万本くらいの葉巻を消したとか、100万個の理由があった、って言ってみたり。

ふざけてるのかとも思ったけど
なんというか世の中に対する仕返しというか
マジになるなよーっていうノリなのかなと思いました。






そんな軽い言葉が多い主人公ですけど、
後半になるにつれ追い詰められていくのか、たがが外れたように真剣になる事が増えるんです


同部屋の先輩にブチキレるシーン
「何が黙れだ それがお前ら低能連中の問題点だ。話し合うって事ができないんだ。そういうところで脳足りんかそうじゃないかの見分けがつくんだよな!」
とか

妹に
おしゃべりなんて意味がないと、言われて
「すごく意味のあることだよ!意味なんてちゃんと大有りだよ!どうして意味がないなんて言えるんだ?どんなことにもしっかり意味があるってことを、みんな全然よくわかってないんだ」

って熱くなったり


やりたいことはないの?
お父さんみたいな弁護士は?て聞かれて
「弁護士がいつもいつも無実の人間の生命を救ってまわって、しかもやりたくて、そういうことをやってるっていうのなら、それも悪くないんだよ。でもさ、現実に弁護士になったらさ、そんなことをやってる暇なんてないんだ。しこたまお金を稼いで、ゴルフをして、ブリッジをして、車を買って、マティーニを飲んで、大物づらをすることで手一杯なんだ」

そんな風に語る。



多分主人公は
力のあるインチキなモノにからめとられたくない。そんな想いがある
だからこそ周りの人間の裏が気になったり、世の中のウソが許せなかったりする。

ちょっと思ったんですけど、キャッチャーインザライのライは「ライ麦畑」のRyeと「ウソ」のLieをかけてるんじゃないかって
そんな気もしました




とにかく
主人公はインチキにからめとられたくない
でもその理想を実現する力はない

力を得るためには、インチキな世界に参加して卑しく迎合するしかない。
でもそんなことをやって忙しくしているうちに、理想なんて忘れてしまう
そしてインチキな世界の一部に自分もなってしまう。
そう考えているんじゃないか

言ってしまえば、どうしようもない
もう落ちていくしかない

もうこれは理屈の頭の中での世界なんですけどねー


みるみる荒んでいくんです
力のあるヤツに屈するくらいならと、窓から飛び降りた友人を思い出したりする




そんな時救ってくれるのが
昔の先生の説教でも、女の子とのデートでもなく、小さな妹なんです


この子可愛いんですよねー

その妹は

もうどこか遠くに行ってしまうという主人公に、自分も付いて行くというんです

それを聞いた主人公は
ダメだ!黙れ!と一蹴する

自分は本気で行くつもりだったくせに
妹には ばかなことを言うなと。



先生や先輩
同世代と過ごして、適当な事を言って
ナイーブな反応をしていた主人公の何かが変わった気がしました


そして
主人公は自暴自棄をやめることになったんだと思うんです。たぶん





この小説を読み終えた時

なんで
感動したのかいまいち分からなくて考えてみたんですが
過去のある時期の自分に会った気がしたからかもしれません。


その自分に何かを言ってあげて
逆にその自分から何かを言ってもらったら

こんな心の動きをするのかも


なんとなく
そんな気がしました




以上
長くなりましたけど

キャッチャー・イン・ザ・ライの感想でした





ありがとうございました
(*´∀人)






ではでは