レナウン民事再生に見る 百貨店その先へ | 服好き・ゴルフ好きMDのファッション忘備録

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『2020年5月15日 レナウン民事再生❗️

コロナで上場企業初』

と、日経1面を飾ったが

直接的原因はコロナではない、後押ししただけだ



親会社は中国最大の繊維メーカー
山東如意科技集団有限公司」

 1972年に中国の済寧に設立、積極的な海外アパレルブランドに対するM&Aを繰り返し、1998年には約30億円であった売上を2016年に約7,500億円を突破させ、ここ20年で260倍にするという驚異的な成長を実現しました。
2018年末の売上は約5.000億円。
一方でM&Aによる債務も増加、2019年6月30日時点で約5.800億円にまで積み上がっています。
grooより



要はこの親会社自身の経営が傾き

コロナ禍で先行き真っ暗な赤字企業レナウンを見放した








大手アパレルは百貨店と共に衰退し

数百店舗の売場を撤退宣言

というよりも公表してないだけで

各社密かに退店戦略は続いていた

このコロナショックによりさらに拍車が掛かるのは必然



この1〜2年で多くの百貨店売場が空箱になる

その空箱を埋めるのは

一つには衣料品以外

今なら家電やニトリなどが良くあるケースだが

スポーツジムや映画館、楽天やAmazonのショールーミング

ショッピングセンターよりも富裕層が多いなら

外車販売、投資会社窓口、マンションギャラリー

なんでもアリ



もう一つは今までの百貨店条件とは違う場所貸し条件

ルミネを始めとする商業施設と似た条件での出店だ

もし同じような条件となれば都内百貨店や

地方百貨店でもロケーションやトラフィックは抜群な筈

そうとなれば大手アパレルではなく

セレクト各社や、マッシュ系、ファーストリテイリンググループなど

従来の百貨店ブランドとは全く違うショップが揃う可能性は多々あるだろう

ファッションと飲食でルミネ系に対抗するなら

コレしかない





僕が過去に気になってた百貨店らしさの違和感は

①共通環境・共通什器

ブランドらしさの環境を無視した百貨店優先意識が

ブランド顧客崩壊を招き、販売員のモチベーションを下げた

これはアパレルには致命的だったが

百貨店オリジナリティーアピールには貢献した

これにより商品の同質化というより

ブランドの同質化を招かせた

そりゃそーだ、全く同じ床、壁、天井の中

ラックや棚も同じ什器に境もなくブランドを並べ

どこからどこまでか同じブランドなのかを分からなくさせたのだから


ブランドにはブランドらしさが必ずある

それは商品だけではなく、商品をレイアウトする環境も大事、当然スタッフも大事

路面店を見ると各ブランドがイメージする環境が見える

それぞれ全く違うはずだ





②百貨店別注風オンリー企画

各百貨店担当バイヤーの指示により

アパレル各社はブランドらしさも得意でもない

共通アイテム、カラー、素材などを作らされ

ネームを外したらどこのブランドか分からない同質化を生み出した

しかも海外ラグジュアリーブランドにまで

その百貨店でしか買えない別注を作らせた

もちろん買取ではなく売れなかったら返す委託取引だ



各百貨店バイヤーはこぞってブランドに私だけの企画品を作らせた

消化率なんて関係ない

別注しそうもないブランドにやらせる事が

バイヤーの力量争いとなり出世の道具と化した



各ブランドの方向にも口出しする知識もないバイヤーもたくさん現れ

売筋を共有して作らせる同質化

各百貨店の月別提案カラーやアイテムを

ブランドに押しつけて無理やり作らせた結果

見事にフロアに同じカラーやアイテムが

マネキンやメインラックに飾られる

これを見た百貨店はそのコントロールに自画自讃



決して百貨店だけが悪いのではない

それが時代の流れだったのだ…



百貨店バイヤーには目に見えない強大な権限が与えられ

アパレルのお偉いさんでさえ手揉みして迎えた

フィフティーフィフティーの関係などは無く

この当時が一番激しかったのかも知れない

飲み食いから夜や休日の接待までとにかく持ち上げた

当然、現場のブランド責任者や営業、企画たちは

何の為に作らされてるかなど問える訳もなく

ただひたすらに逆らえず作り残してきた

ある意味パワハラの関係だ…





そんな不思議な時代も過ぎ

次第に魅力が失せ始め、お客様が遠のいた…





そんな中での新型コロナ感染拡大

今度はアパレルが生死をかけて百貨店に反逆する

都内や一番店に出店する為に地方百貨店に沢山のお店を作らされたアパレルは

今まで禁じ手だった地方退店を決意

ECという新しい販路に賭けて

背水の陣で生き残りを懸ける




売場スペースが空き始めた百貨店の対応策は

『脱百貨店』


あと数年後には各社の方向もハッキリするだろう

もしかするとルミネやヒルズ、パルコみたいな

商業施設の様なスタイルになるかも知れないし


もしかすると洋服販売するスペースは

服だけのフロアではなく

何かのついでに買う服になるかも知れないし


もしかするとEC専用D2Cブランドたちの

ショールーミング売場となって 

試着や触れる事をメインとした売場になるかも知れない



いずれにしても、今と同じ環境だったとしたら

近いうちに無くなってしまうだろう

アパレルの転換期は百貨店の転換期でもある

第二の百貨店M&Aが起きるかも知れない

ただ、百貨店同士が組んでも先は無い






レナウンから始まってどこまで変わるのか

アフターコロナの新世界は誰にも想像すらつかない…



(超個人的見解にて)