久しぶりに、シブヤに繰り出した。
通勤路でなければ、ギャルでもない私は
シブヤには用がない限りなかなか繰り出さない。
まず、人が多すぎるのだ。
そして次に、やはり人が多すぎる。
最後に、どうにもこうにも人が多すぎる。
自分のペースで歩くには、なかなかどうして街の流れに乗ることが難しい。
山の手線で一路シブヤに向かい、無事に改札を出たのも束の間、
ほれ見たことかと言わんばかりに後ろの人に私の踵とサンダルの間を
どっしりと踏まれた。その確かな重みで私のサンダルは
床を離れることを許されず、サンダルが床を離れると思い込んでいた
私の体はバランスを崩して前につんのめった。
ほらね、シブヤは歩くことすらままならない。
待ち合わせまで少し時間があったので、駅ビルへ入った。
目的の売り場は4階にあるというので、すでに2階だったところから
ちょうど目の前にあったエスカレーターに軽い足取りで乗りこんだ。
3階を通り過ぎ、もうひとつあがると、そこにはなぜか5階という表示があった。
足取りが軽すぎて4階を飛び越えてしまったのか、
はたまた誤表示か・・・いやいや、ここはナカラではない。
ここは世界に誇るTOKYOだ、しかもSHIBUYAである。
まさかそんな馬鹿げたことはあるまい。
しかしその階の表示は何度確認しても5階だし、
何度振り返っても階下は3階となっている。
むむむ、ワンダーランドに迷い込んだのか。
仕方がないので恐る恐る店員さんに尋ねることにした。
わたし:「あの、すみません・・・4階に行くにはどうしたらいいのでしょうか・・・?」
店員さん:「4階ですね。でしたら、あちらにある階段を下がっていただきますと、4階になります」
わたし:「・・・わ、わかりました。ありがとうございます・・・」
5階にいるのだから、下がれば4階さ。そうさ、3と5の間は4さ。
しかしなぜ4階にはエスカレーターが通っていないのか。
運動を促して客の健康を気遣っているという新しい形のサービスか、
など色々考えたが答えは出ずじまい。
用を足し、待ち合わせの時間も迫っていたので、
そのデパートを後にし、勇んでシブヤの街へと繰り出した。
なんといっても待ち合わせた店は109ビルの向かいだ。
気を張って(自分を保って)歩いていかなければならない。
日も暮れた19時半、109目指して私はぐんぐんと歩いた。
するとふいに、知らないサラリーマン風のスーツ姿のおじさんが、
ぐんぐん進む私を目で追いながら、しみじみとこう呟いた。
おじさん:「黒いなぁ~」
・・・おじさん、言われなくても分かってるよ。とは私の心の声。
嗚呼シブヤ、なんと愉快な街だろう。
