1月17日(土)停電6日目
「蛆(うじ):ハエ目・ハチ目などの昆虫の幼虫の総称。
特にハエの幼虫をいう。通常は脚がなく、歩行はいぼやかぎをもつ脚状物による。
種類によって様々の形態・色彩を有する。さし。蛆虫。」(広辞苑より)
今まで生きてきた約30年で蛆の皆さまと対面する機会なぞ持たずに
ここまできたが、ついに彼らと一戦を交えることになった。
停電後、元・冷蔵庫を蟻よけ保管庫としてをそのまま使用していたが、
ついに、ついに、蛆の皆さまがその元・冷蔵庫内においでなすった。
夜は姿が見えなかったのに、翌朝になっていきなり現れた蛆の皆さま。
数日前からハエがきていたので、日に数回は開けて追い払っていたのだが、
どこから入ってくるのかうまい具合に元・冷蔵庫で出産を終えていたらしい。
朝、元・冷蔵庫を開けると数百にもなる元気な蛆の皆さまと一斉に目が合う。
まだ赤ん坊である。
元気にうにょうにょと元・冷蔵庫内にまんべんなくいたのである。
繰り返しになるが、数にして数百はいたであろう・・・・・・・・・・
一瞬にして私は身動きが取れなくなった。
こういう類のものが苦手でゴキブリやネズミすら私に処分させようとする
旦那さんのこと、起こしに行っても大して役に立たないのは見えていた。
そこで私は彼らにパニックを起こさせないよう、一度その扉を静かにしめ、30秒ほど考えた。
しかしどう考えても、私が一人でこれら数百の蛆の皆さまをどうにかするしかない。
落ち着け、落ち着くんだ、相手はまだ赤ん坊だ。まだ小さい。
しかも飛ばない。(私は蛾とか飛ぶものが苦手なのである)
彼らからすれば、私ほど大きく恐怖におののく相手はいないだろう。
国立公園のサファリガイドも言っていたではないか
「一番恐ろしい動物は人間です」と。
私は覚悟を決め、蛆の子どもたちを守ろうと私に攻撃してくる
ハエたちを払いながら、勇気を振り絞り行動に移った。
キッチンペーパーと塩素たっぷりの掃除用洗剤を両手に、
元・冷蔵庫内のまだ無事な物(密封された瓶とか)、
もう救い出せない物と選り分けつつ、活発に元・冷蔵庫内の壁を
動き回る彼らに対して片っ端からキッチンペーパーで潰しにかかった。
キッチンペーパーも10枚ほど使った頃だろうか、
彼らにとってはひとたまりもないであろうこの掃討作戦は
粗方のかたがついていた。
途中、「戦争とかもこういうものなのかもしれない」と思ったり、
進撃の巨人の戦いのシーンが頭に浮かんできたりと、多少の混乱は
あったものの、なんとかすべての蛆の皆さまを葬り去った。
元・冷蔵庫内のすべての取り外せる部品は濃い目の洗剤で洗浄し
天日干し、庫内(特に壁面)もこれでもかというくらいに消毒した。
すべてを一人で乗り切り、疲弊しきっていたところに旦那さんがのこのこと起きてきた。
「何、どうしたの?何かを乗り越えた顔をしているけど何があったの?」
当然である。私は一人で乗り越えたのである。
