大家さんの奥さん:「あのすみません、携帯の画面に貼るシートを探してるんだけど」

ある店の店員:「どの携帯?」

奥さん:「これです」

と、何やらうっすい
GALAXYを取り出す。

店員:「それのはうちにはないから、あっちの店で聞いて」

奥さん:「あっち?」

店員:「そう、あっち」

あっちっていったいどの店よ?と
奥さんは独り言ちながら指さされた方面に歩き出す。

わたし:「携帯、変えたんだ?」

奥さん:「うん、まあね」

わたし:「いくらだった?」

日本では
5~6万円ほどしそうな携帯だったので、
やっぱり金持ちは違うなァと思いながら聞いてみた。

奥さん:「あー…彼氏がくれたのよ」

昨年
12月末に旦那さんを亡くした奥さんには彼氏がいる。
医療や救急に関する様々なものが整っていないここ
モザンビークのしかもナカラほどの地方になると、
病気や事故で配偶者を亡くすことは珍しくない。
そしてその後に再婚するケースがほとんどである。
しかもその間が
1年と開かないことは稀ではない。

わたし:「へぇー!私にはないの?」

何ともモザンビーク人的な発言である。

そして
小さな店がいくつもひしめき合っている「あっち」の方向へ進んでいく。
どの店がその店か分からないので奥さんも困り果て、
そこら辺の人をつかまえようとした時にちょうど知り合いが通りかかった。

友人:「やあ、おはよう」

奥さん:「あ!おはよう、元気?ちょっと今、店を探してるんだけど、
     携帯の画面に貼るシールを売ってる店はどこかしら?知ってる?」

友人:「あーどうかな、ちょっとおじさん!
    携帯の画面に貼るシールを売ってる店ってどこかな?」

おじさん:「あー…そこじゃないかな?」

だいたい朝は
8時半頃から開店するのだけれど、
朝も
9時半だというのに閉まっている店を指す。

友人:「(その隣の店先を掃除しているおじさんに)
    ちょっと、隣のご主人はどこ行ったの?
    まだ開いてないの?」

隣の店のご主人:「さあね、知らんよ」

友人:「『さあね』って隣で店やってんだから何か知らないの?」

隣の店のご主人:「さあね、知らんよ。死んだんじゃないか?がっはっは!」

まったくどいつもこいつも始終こんな感じである。
なんやかんやとやっていると、お目当ての店のご主人が現れた。

友人:「あ、来たね。じゃあ俺はこれで」

みな基本的にはとても親切で、本当に適当な、愛すべき人たちである。