よりによってそんな時に!というタイミングで、
いつもは起こり得ないハプニングが起きてしまうことがある。

そう、例えば旅行に行く出発時間5分前に水道の蛇口が取れて、水が止まらないとか。



いつも蛇口の閉めが甘いことを私にチクチク言われていた旦那さんは、
旅行前だからということでいつもより念入りに蛇口を閉めた。

「もぎゅ」

旦那さんはその時の感覚をこう表現した。
その後、旦那さんと私の目の前でその蛇口がもがれ、水が止まらなくなった。

水道菅から家の地下に埋まっている貯水槽(直径3m深さ5mほど)からモーターで汲み上げた水は、
一旦うちの屋根にある750リットルのタンクを経由して水道から出る仕組みである。
ちなみに屋根上のタンクには中に浮きが付いており、
タンク内の水が減ると自動的にモーターが働くことになっている。

蛇口という抑止力を失った水は、まさに滝のように壁の穴から濁流となってシンクに注いだ。

唖然と凍りつく旦那さんがポツンと呟く。
「あり得ない…どうしよう…」

どうしようではない、どうにかせねば!とモーターがある中庭にダッシュする私。
水が勢いよく減っているので、モーターが盛んに動いている。
稼働中だからなのか、電源ボタンは効かない。
こうなったら元を落とすしかないので、家の中でアワアワしていた旦那さんに叫ぶ。

「元の電源落として!!」

と同時に大家さんのお手伝いさんを呼び、他の作業に来ていた
お手伝いさんの旦那さんに貯水槽からタンクへのバルブを閉めてもらった。

それでもなお、屋根上のタンク内にある水は勢いを失わずにシンクに注がれていた。
うちは築20年近く、あちこちにガタが来ているのでシンクの下の菅が水圧に勝てないので
(ボウル一杯の水を流すだけで水が菅から噴き出す)、
このままでは菅が破損してしまう。
そこでバケツでその水を受け、外に出すことにした。

しかしその量、1.5リットルペットボトル500本分ともなるときりがない。
飛行機の時間に合わせてタクシーを呼んでいたので、タクシーを待たせたまま
バケツリレーをするが、40分経っても水の勢いは止まらない。



仕方なく留守中の大家さんの奥さんに事情を話し、
残りの作業はお手伝いさん夫妻にお願いし、家をあとにした。

その後、水が止まったと連絡がついたのは南アフリカのヨハネスブルク空港でのこと。

まったく、なんてこったい。な朝であった。



その後予定通りにポルトガルは首都リスボンに到着した。