町中をうろちょろしていると、様々な行商の売り子が寄ってくる。
野菜、果物、魚介類などの食べ物から、土産物らしき動物をかたどった
木彫りの置物や皮にビーズ細工の施されたサンダルなど。
その日は旦那さんの野暮用が終わるのを道端に停車させた車の中で待っていた。
するとまず、10歳ほどの物乞いをしている男の子が寄ってくる。
身振り手振りで腹が減っているので金をくれと言うのを断ると、
彼はあっさりと諦めて去っていった。
5分もあけずに次は目の見えないお父さんを連れた、
これまた10歳ぐらいの物乞いをしている男の子がやってきた。
この親子とは顔見知りなので、その物乞いには応えた。
いつも物乞いに応える時には挨拶程度の会話をするのだけれど、
視力を失っていると聴力がその分をカバーするためか、
このお父さんは、そのちょっとした声だけで私をすぐに認識する。
物乞いの人たちにも様々いて、仏頂面を崩さずにお金だけ受け取って去る
親子や子ども、時には笑顔でこうやって会話を少し交わしてくれる人たち、
いつも応えるわけではないので、あからさまに不機嫌になる人や
文句を言う人、腹いせに車体を叩いていく人などその人たちの
性格と生活の厳しさ度合などが垣間見える。
さらに子どもだけの場合や目が見えない親をサポートしている場合、
先天性か後天性か体の一部がない人(自転車を改良したような
車いすの場合はそれを押す人も一緒)やご高齢の方々などがいる。
格好も、多少よれてはいるがきちんとジャケットを着て靴を履いていたり、
穴だらけで真っ黒に汚れたTシャツに裸足の場合もあるし、
ご高齢の女性にはたまに上半身が露わになっている人も見かける。
そんな親子との会話も楽しみ彼らが去ると、
また5分もしないうちにみかんの売り子がやってきた。
私は買う気がなかったので首を横に振ると、
彼はとりあえず車の窓を開けてくれという身振りをした。
1キロ80MT(約240円)だと最初に言ったが、
買わないと言うとすぐにどんどん値が下がっていく。
結局2キロを100MT(約300円)で買ってしまった。
でも彼の言うとおりにいいみかんで美味しかった。
車内でみかんを食べていたら、旦那さんが
何やらタライを持った売り子と一緒に戻って来た。
旦那さん:「エビなんだけど、良さそうだから半分ぐらい買う?」
わたし:「え~・・・そんなに食べれないでしょ」
旦那さん:「冷凍しておけばいいじゃん」
わたし:「うーん・・・」
と言っている途中で旦那さんはその売り子と値段交渉を始めてしまった。
結局タライの中すべてのエビを買うことになった。
そして私はその日の午後いっぱいをかけてタライ一杯の
エビ142尾の処理にあたることとなった。
剥いたエビの殻でダシを取り、剥かれた身と頭は冷凍だ!


