ビーチの駐車スペースまでは2台がようやくすれ違える細道を
行かなければならないため、ここが渋滞になると、
もう駐車スペースに入ってしまった車はUターンも出来ないのである。
もちろん、駐車場として整然とラインが引かれている
わけでもなし、交通整理があるわけでもない。
ビーチはまさに無法地帯と化す。
こちらでは飲酒運転の取り締まりも特にないので、
皆ビール片手に車から降りてくる。
必然的にまわりは酔っ払いばかりということになる。
そうなると、些細なことでケンカになる。
歩行者優先などという概念は微塵もない彼らの運転は非常に脅威で、
乗車中の運転手と歩行者が言い争いになった場合、
運転手はその輩を車で轢きかねない。
この混雑し、車を返すこともできなくなった駐車スペースで
そういう状況に陥った時、たいがい被害を被るのは、周りの人間である。
例えばうちの愛車チャレンジャー。
もう車をUターンされることも出来ず、
わずかなスペースが空くのをじっと待っていた時、
前から来た車の車体が、ビール瓶片手に日曜日を
愉しく過ごしていた青年の体をかすった。
青年:「おい!危ないじゃないか!」
運転手:「なんだよ、そっちがこんなところに突っ立ってんのが危ないんじゃないか!」
青年:「ああ、なんだって!」
と、何とも型どおりにケンカになった。そしてどちらも一歩も譲らない。
野次馬の視線もやれやれぃとばかりにそちらに向けられる。
この段階での私の気持ちは「あーあまたやってるよ」ぐらいであった。
基本的に普通にしゃべる時も怒っているのかと思うぐらい
アグレッシブに話す彼らがケンカともなれば、もうそれはそれは。
そのケンカをしている車の運転手は我らがチャレンジャーの
横を通り過ぎようと徐行しながらも、運転席の窓から
青年との言い争いを続けていた。
こんな時、可愛そうなのは助手席の彼女である。
もう俯いてしまっているではないか。
さて、そのような一触即発の状態を打破したのは運転手であった。
ちょうどチャレンジャーの横を通り過ぎようとした時、
言い争いはピークを迎えたらしく「ブォン!」という音と共に
運転手がアクセルを踏みこみ、同時に青年に向けてハンドルを切った。
チャレンジャーに背を向けていた青年の右手に収まっていた
ビール瓶に入っていたビールは、雨のようにチャレンジャーに
注がれると同時に「バゴン!」という音と共に、私のすぐ右の
サイドミラーが青年の背中によって勢いよく畳まれた。
あれほど巻き込まれないように窓を閉めて知らん顔を決め込んでいたのに!!
そして青年の隣にいた女の子の体が、
その車とチャレンジャーの車体に一瞬挟まれた。
結果、その車に押された彼女の体がうちのチャレンジャーの
車体を圧力をかけ、まんまと凹んだ。車が凹んだのである。
ちなみに女の子は無傷であった。
そこにちょうど今日の寿司ネタを仕入れに行っていた
旦那さんが帰ってきた。「うわっ、凹んでんじゃん!!」
かくかくしかじか、もうその場はこれ以上の被害を被らないよう帰路についた。
帰ってから確認したところ、まず運転席のドアがスムースに開閉できなかった。
これはなんとか車体の凹んだ部分を手でどうにかしたら、引っ掛かりは取れた。
サイドミラーも、もともと開閉できるタイプだったので、事なきを得た。
問題は凹んだ車体・・・これは今、頑張ってどうにかしているところです。
板金屋もいることにはいるのだけれど、頼んだあげく
状況が悪化することも容易に想像がつくので頼めない。
嗚呼、傷物になってしまったチャレンジャー、無念。





