ここナカラは近頃、水不足が続いている。

とはいっても、うちには大家さん所有の大きな井戸?
があるため、水には困らないので実感はない。
毎日よその人たちがうちの水を求めてやってくる。
その人たちに大家さんは
5リットルを7MT(約20円)で売っている。

茶色く濁った水で少し川の匂いがするので、
私たちは飲料水として利用することはないけれど、
皆さんは直接飲んでいる。
ちなみに私たちが飲料水として購入している
ミネラルウォーターは、
5リットル75MT(約210円)。

水不足のせいなのか、年末ムードだからなのか、
大家さんの家には親戚が大勢来ている。
大人と子ども合わせて
10人以上はいると思われ、
いったいその家のどこでどういう配分で寝ているのか謎である。
もしかして大家さんの家は奥行きがものすごくあるのか?

さてその中の一人、カルロスという
25歳ぐらいの無職の青年がいるのだが、
彼は最近左膝を負傷したらしく、何やら青く?赤く?
(色が黒いからよく分からない)腫れ、足を引きずって歩いている。

そして私の顔を見るたびに、
「痛いんだよ、病院に行った方がいいと思うんだ、だから金くれ」
と言う。

最初は「ふんふん、そうだね」と思うのだが、
最後の「金くれ」が納得いかないのでそこは断る。
ので、話はいつも平行線に。

なんで?こんなに親戚という親戚が近くにいるのに!
しかも大家さんはここの他にも家があって、車も
3台もあって
夜間学校にも通っている金持ちなのに、なぜ大家さんに相談しないんだ!
一度、「大家さんに言ったら?」と返事をしたら、
ものすごく顔をしかめて「いや、あり得ない!」という様子。

植民地時代の名残なのか、日本と違い、ある程度のお金持ちの人は
家に使用人がいることが当たり前になっているので、
うちの大家さんも食事と洗濯、家の掃除をするおばちゃん
(大家さんの親戚)と、車の掃除や門番をしているおじさんを
使用人として雇っている。

この使う側と使われる側の関係性が、財力によって
親戚関係にも上下関係を生み出しているのか、
なんとなくそんな感じが伺える。
だからカルロスも大家さんには相談なんてもってのほか!なのかもしれない。

あまりむげにして、襲われたり刺されたりしても嫌だし、
かといってここでお金をあげて、今後何かある度に
おねだりされるのも嫌だし、いつもなんとなーく話を流して
家の中に入ってしまうのだが、彼は相当しつこい。

私を見るとまず熱い視線を送ってくる。
かなり熱い視線なのだが、気づかないフリをする。
そうするとさりげなく寄ってきて、同じ話を繰り返す。
私はそのやり取りが嫌で買い物に出るのもはばかれる。

親戚が集まって、みんなで食事をしたり、子どもの面倒を
みんなで順番に見たり、助け合ってていいなぁーと思ったのと、
誰もカルロスの足のことは助けてやらないのかなーと思ったのと、
まだまだ私にとっては分からないことが多いんだな、モザンビーク。