人に教えてもらったカプラナ(この国の伝統的な柄の布)製品の
お店に行こうと、道を歩いていた。

少し歩いたところで、物売りがいたので足早に通り過ぎた。
その少しあと、「
SeñoraSeñoraI’m sorry?」と大きな声がしたので、
「絶対に振り向かない」と決め、すたこら歩いていた。

いつもならここで終わるのだけど、まだ後ろから声がする

SeñoraHeySeñoraSeñoraSeño~~~ra~~~~!」

これには何事かと思い、もしかしたら本当に何か落し物とか
したのかもしれないと思い、振り向いてしまった。
その瞬間「やべ」と思った。単に物売りの呼びかけだったからだ。
そう思うが遅し「今だ!」と言わんばかりに私めがけて
一人の青年が駆けてくるではないか!
「もーやだー」と思いながらも完全に無視して反感買って、
後々道端で刺されるのもごめんなので、歩く速度はゆるめずに
一応話を聞いてみた。

青年:「セニョーラ、この(ろうけつ染めで縦に長細く水がめを運ぶ人が描かれている)布どう?」
私:「ごめんなさい、今急いでるの」
青年:「他のもあるよ」
ここでその布が本当に買ってもいいほど素敵なら
買うこともあるのだが、あまり素敵ではなかった(失礼)
私:「いらないわ」

ここで彼は作戦を切り替えた。
わりと流暢な英語で
青年:「ものすごくお腹が空いているんだ」
私:「ごめんなさい、私急いでいるの」
青年:「簡単だよ、これを買ってくれればいいんだ、時間は取らせない」

「ん、正論だな」と思ったが、
私:「ごめんなさい、急いでるの」
この一点張りで切り抜けようとした。

ここでさらに彼は作戦を変更した
青年:「僕、病気なんだ。毎日病院に行って注射をしないといけないんだ。
本当だよ、これ、病気だという書類」
と何やら
IDみたいなものを出してきた。
本当かもしれないが、人の目を見て話さないのが
「なんか、こいついやだな」と思い、私も「ごめんなさい」の一点張り。

そのままその一連のやり取りを
3回ぐらい繰り返し、
200mほど行ったところで私の電話が鳴った。
「ほらね、本当に急いでるの」と言わんばかりに電話に出て、
そのまま道路を横切り、人ごみにまぎれた。

あーしつこかったぁー
と、もう店で買い物をする気もおきず、家の近くのカフェに入った。
そこでランチをすませ、のんびりしていたら、あの
「どうしようもなくお腹を空かせた病気の彼」が
カフェの横を通り過ぎた。
他の外国人にあの布を売ろうとしていた。

やはり何やら言っている。
断られても無視されても諦めるそぶりもなく、
そのまま私の視界から消えてしまった。
その時は他人事なので「おー、がんばれよー」と思っていた。

その後もカフェから呑気に他の物売りや行きかう人を
見ていたところ、彼がカフェの前に戻ってきた。

そして、おもむろにたばこを吸い始めた!
「お前、死にそうなほどお腹が空いていて、
毎日病院に通わなきゃいけないほど病気なのに、
そんなに自然にたばこ吸うのかよ!!」
と、心の中で叫んでしまった。



ポルトガル語が話せるようになったら、
たばこは体に悪いと教えてあげようと思う。