
クリーンルームやビル、食品加工プロセスに必ずと言って良いほど用いられる外調機やチラーなどの大風量空調を行うところでは、電力やガスを大量に消費する空調システムがある。空調とは最新の機器を用いたとしても屋外機を調べれば膨大なヒートアイランドの主原因となる温風排気と消費エネルギーが伴う。
CO2削減をしなければいけない令和の現在、この巨大な化石エネルギー消費システムは、エネルギー管理者、企業オーナーなどのの社会的責任をもつ人には悩みの種となる。近日施工される予定の炭素税が乗っかるとさらに大問題となるのは必至である。
その空調システムを調べると局所で小さな温風排熱を出し続けている以下のような機器がもの凄く多く存在し、室内空気に拡散され続けている。
・加熱炉 200~600℃
・熱負荷試験装置 50~100℃
・集塵装置 50℃~70℃
・乾燥装置 70℃~100℃
・ボイラー排気 60℃~250℃
各機器は排気ダクトに結ばれていることも多く、排熱は室外に排出されていると思われがちであるが、そのダクト道中で空調に輻射熱として負荷を与えている。熱を与えられた室内空気は、空調負荷となりこれも排気ダクトの巨大な排気ファンで室外へ排出している。
MDIではこれらの極小規模排気にも着目。稼働時間が長い機器は確実に空調に与える影響は大きい場合が多いため、この熱を拡散させる前に、塊のまま消去できる熱交換器を開発した。
写真のアイテムは、24時間運転される70℃排気熱をもつ集塵装置用である。
この70℃排気を消去するためには、従来はエアコン、チラーなどの冷凍装置が当たり前に使われていた。しかし冒頭の如く室外機からヒートアイランドを引き起こし、化石燃料を大きく消費してしまうこととなるため、熱を消去したことにはならない。地球を加熱させているのである。
この熱交換器は排気/冷水熱交換器である。70℃排気を空調温度に影響が出なくさせるために必要な冷水温度は従来の7℃などではなく、25℃である。
必要な流量はたったの一台5~10リットル毎分であった。
25℃の冷水とは、もはや冷水ではない。実はフリークーリング水であり一切の膨大なエネルギーを消費する冷凍設備を一切使用していないクーリングタワーで一年中得られる水である。このフリークーリング水は、放熱として大気へ水が蒸発することで、再び25℃冷水となるため、雲になるだけで、ヒートアイランドの定義にならない。
25℃を得た本熱交換器は、70℃排気を26℃に冷却することに成功した。
1度差熱交換の実現である。
26℃の排気温度ならば、空調への熱負荷
とはならず、有害物質がない装置であれば、ダクトへの排出も不要となる。
ダクト排出が不要となると、排気ファンの風量が減少できる。排気ファンが減少すると吸気風量も減少できることで、外調機の負担は大きく減少する。
この熱交換器の特徴は高効率なだけではない。排気を出す装置に負担を与えないように、ギリギリの排気側低圧力損失設計を実現し、100Pa以下の課題の中で上記の1℃差熱交換を実現した。
ちなみに
従来のフィンチューブ式熱交換器では、最低10℃差以上ひらくために26℃排気を狙う場合には、16℃以下の冷水が必須となり、必ず冷凍装置が必須だという思想となり、さらに低圧力損失を目指すと温度差は増えてしまうため冷凍機負担増となってしまうため実現できなかった。
本件では小さな3KW集塵装置の処理を実現したが、この小さな排気を出す装置は、1500箇所存在している。その処理をするのとしないのでは、空調負荷の違いは歴然である。数千KWの熱消去、その30パーセントが冷凍装置電力削減となる。