使える経営学(東洋経済新報社)
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経営コンサルタントの杉野幹人さんの経営学についての書。
中身は、よくあるマイケル・ポーターなどのフレームワーク本ではなく、アカデミックな経営学を取り上げている。
著者は、MBAで商学博士で外資系経営コンサルタントというバックグラウンドのため、アカデミア視点と実務視点の両方の視点から、「ぶっちゃけ、経営学は役に立つのか?」という問いに答えている。
まず、この問い自体が、結構タブー的で面白い。
この本の主張は、経営学はフレームワークなどとして使うのではなく、自分のもっている固定観念に気づき、それをリセットすることに使うべきというものだ。
要は、経営学は、「自分を否定してくれるもの」として使うべきということ。
仕事に慣れてくると、固定観念ができていく。
それは強みにもなるが、落とし穴にもある。
そして、その固定観念は自分では気づきにくいし、自分では否定しにくい。
経営学の論理を学ぶと、その固定観念に気づくことができ、ゼロベースで考え抜く力が鍛えられるというもの。
このことを経営コンサルタント視点で考えたい。
このように、固定観念をリセットすることは、この本でも紹介されているが、経営コンサルティングファームではアンラーニングと呼ばれている。
このアンラーニングというのは、むしろ、ラーニングよりも難しいのではないかと思っている。
ラーニングとは受験勉強のように記憶していくか、または、スポーツのように体験していくことで知識を身に付けていくこだ。
だが、時代が変わったり、状況が変わればそのラーニングした知識が通用しなくなる。
その場合は、それに代わる知識を探さなくてはならないのだが、一度、ラーニングしてしまった人は、なかなかそれを捨て去って代替的な知識を探しにいかない。
安住してしまいがちだ。
そして、まったくなんの知識もない人に負けてしまったりするのだ。
このため、ラーニングしたベテランになるほど、アンラーニングが必要なのだ。
そしてこの本が提案しているように、アンラーニングの一つの方法は体系的な学問に触れることであり、ビジネスであれば、経営学がそれに使えるということなのであろう。
忘れるためにも学ぶべき。
学んだからこそ忘れるべき。
常に学習が必要だなと自戒させられた良書。
アンラーニングの型として紹介されている「疑似相関」のところが一番好きかな。