静かにせんかァァッッ!!中国武術を嘗めた貴様は出ていけェッッ!!!

静かにせんかァァッッ!!中国武術を嘗めた貴様は出ていけェッッ!!!

アリガトウ四千年、もう技は使わないッ!スピード良しッ!重さ良しッ!握り良しッッ!ウワアアアオオオオ!!
嗚呼、たまらぬこの至福!ここで終わってくれるなッッ!
カツッ(助けて克己)!あひゅッ!救命阿(ジュウミンア)ッ!
貴様…俺を喰っておいてイクなッッ!

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「雄雄雄雄雄雄雄ッ」と雄たけびを上げ「ミギャアアアアアアアア」謎の奇声が車内に響き渡る

「はいいいいいッッッ」と蒸れて水虫と雑菌が大量に繁殖した異臭を放つ足拳を突き付けながら凄む烈!
「誰かッッ!誰かおらんかァァッッ!?」と助けを求める烈ッ!
上半身裸で筋肉モリモリマッチョマンの変態が電車の中で泣き叫びながら女子高生のウエストより太い腕でグルグルパンチをしながら裸足で走り回っていたら普通に露出狂の変質者でしかないッ。
一体どういう経緯でこんな状況に陥ったのかッ?
カオスを超えて終末が近づくッッ!!

朝8時の通勤ラッシュ時、どの車両も寿司詰め状態で満員電車の中、一台だけガラガラの車両があった。その車両はヴィクトワールの滝が如く汗水を垂れ流す褐色のヘラクレスに占拠され男臭い香りが漂うサウナと化していた。
「もわァ~~~」と漂う甘酸っぱく時にスパイシーな臭気と共に凄まじい量の汗が床一面にベタつく汁溜まりを作るッ!
男は髪を三つ編みに結わえて上半身を一糸まとわぬ半裸で色っぽく日焼けした筋肉美をこれ見よがしに見せつけながら「站椿(たんとう)」と呼ばれる中国拳法特有の修行に励んでいた。
そして通勤ラッシュが終わると男は「噴ッ!」と気合を飛ばして車両全体を揺らす。
男の汗と塩分がシャワーのように降り注ぎ窓も座席もベタベタにして車両を使い物にならなくしてから去って行く。
その迷惑極まりない所業は連結した車両にも飛び火して清掃に莫大な出費がかかるにも関わらず一切謝罪せず責任も取らずわざわざ平日の利用者が多い時間帯を修行の場に選ぶのだ。
この男でもむしゃぶりつきたくなるセクシーな男の正体は黒竜江省は白林寺で修行を重ね中国武術界の栄誉ある称号「海王」を名乗ることを許された烈。
驚異的な技量から『魔拳』の異名を持つ烈海王の狙いは中国武術だけで社会の一般常識を制覇する事だ。
どこでも己の流儀で蛮勇を振るうため他人にかける迷惑は天災規模だ。
車両にはツンと鼻を突く酸味を帯びた芳醇な香りが染みついており身嗜みに気使う出社途中の社会人なら乗ろうなどと思うはずもなかったが、ごくまれにその筋の刺激を求める頭が可笑しい変態が「ウホッいい男!」「私の餌となっては如何かッ!」「君のその耐久力(タフネス)に謝々ッッ」などと申し出て敢えて乗車を試みる時があった。
しかし烈の修行中に他の誰かが入ろうものなら全身から怒気を漲らせて聞き手の下半身を熱くさせる野太い声で一喝する。
「静かにせんかァッッ!ここは武を修めた拳士のみが立つ場だッ!!貴様等が入る場所ではないッ!!稽古の邪魔をするなら出ていけェッ!!出てゆかぬ者は容赦なく叩き伏せるぞォォッッッ!!!」
言うまでもなく電車とは乗客を輸送するために設けられた公共の交通機関であり「武を修めた拳士」とやらのみが立つ場では断じてないッッ!!
何とも支離滅裂で理不尽極まりない言いがかりでしかないがそんな車両に好き好んで乗り込もうとする輩がまともなはずがなく、蛮勇を説得力に力強く猛る烈に半殺しにされても何故か嬉しそうだw
逆にまともな常識人からは苦情が殺到してSNSでも話題になっていた。
当然、警察も鉄道会社もこの状況を問題視しておりある時は神心会門下の屈強な駅員を、またある時は武装したSTAT(特殊戦術急襲部隊)を派遣したが悉く返り討ちに遭わされた。
武力行使による排除は不可能、権力による介入は強者を溺愛する御老公と全国に百万人の門下生がいる神心会の圧力がかかり事実上の治外法権が出来あがっていた。

しかしその車両にある1人の男が乗り込んだ事で力の均衡に亀裂が入る。
石橋強。「東洋のフランケンシュタイン」と呼ばれ軽量級を凌ぐスピードに車に撥ねられても立ち上がる頑強な肉体を持つヘビー級ボクサー。
何よりも強打を受けると痛みや屈辱が性的興奮に変換する生粋のマゾヒストである。
石橋の目的は足技の研究で多彩な技を自在に操る烈を襲おうと試みた。
戦う男としてこの上なく美しい烈の姿を視認した石橋はニヤニヤしながら勃起していた。誘う表情もホモっぽいッ!
そして烈に気づかれる事なく背後に近づき脇の下にある「絶超」と呼ばれる秘孔をついたッ!
思わず「あひゅッ!」という奇声を上げながら冷や汗を流して振り返る烈。
真剣味があり今までとは比べものにならない危機的な状況を察したと同時に歓喜の感情も湧き上がっていた。
烈はプレッシャーを感じ汗を流しているが全力でぶつかるつもりだ。
「ぶつけるぞ、全てをッ!」
「私は一向に構わんッッ!!」
そして壮絶な戦いの狼煙が上げられた!

続く・・・