
*第壱部
『鼻孔を甘撫でする清らなる咎人 浄化の楽土で詰まれる華』
*第弐部
『背徳を駈ける見目麗しの守護者 美と宝物の蕩ける寵愛』
*第参部
『Forward to the Past 運命を切り開く願飾り』
*第肆部
『Abnormal Romance 廃工場のラストミッション』
*第伍部
『さすがシンプソン博士だ 専門外の質問にも動じない』
*第陸部
『貴様・・・俺を喰っておいて逝くなッ! 鉄をも溶かす魔拳の狂宴』
*第柒部
『玉座へ誘う刻まれし鼓動 何人も踏み込めぬ光と影』
*第陸部
『貴様・・・俺を喰っておいて逝くなッ! 鉄をも溶かす魔拳の狂宴』
【第壱話】
『私は誓って電車の往来妨害はやってませんッ!
なぜ乗車の機会(ジーフィー)を与えないのですッッ!!』
【第弐話】
『カツッ!あひゅうッ!救命阿 (ガウミンア)ッッ!!
嗚呼、たまらぬッこの至福!ここで終わってくれるなッッ!』
【第参話】
『俺の体臭で発情せんかァァッッ!!
極厨侮術を嘗めない貴様等は遠慮なく乱射するぞォォッッ!!!』
【最終話】
『アリガトウ千極年、もう体は洗わないッ!
スピード良しッ!重さ良しッ!握り良しッッ!
ウワアアアオオオオ!!』
【第伍部第壱話】
私は誓って電車の往来妨害はやってませんッ!
なぜ乗車の機会(ジーフィー)を与えないのですッッ!!
朝8時の通勤ラッシュ時、どの車両も寿司詰め状態で満員電車の中、一台だけガラガラの車両があった。その車両はヴィクトワールの滝が如く汗水を垂れ流す褐色のヘラクレスに占拠され薫り高い芳香と湿気が漂うサウナと化していた。
「もわァ~~~」と漂う甘酸っぱく時にスパイシーな臭気と共に凄まじい量の汗が床一面にベタつく汁溜まりを作るッ!
男は髪を三つ編みに結わえて上半身を一糸まとわぬ半裸で色っぽく日焼けした筋肉美をこれ見よがしに見せつけながら炭糖と呼ばれる獄中喧砲特有の修行に励んでいた。
そして通勤ラッシュが終わると男は「噴ッ!」と気合を飛ばして車両全体を揺らして去って行く。大量の塩分が含まれた男の汗が車内全体をダウンバーストが如く叩き付けるッ!窓はベタベタ、座席のシート・手摺等の金属部分は一瞬で錆びついて劣化・一気に腐食が進むッ!
車両が一切使い物にならなくなる迷惑極まりない所業は連結した車両にも飛び火して清掃に莫大な出費がかかるにも関わらず謝罪せず責任も取らずわざわざ平日の利用者が多い時間帯を修行の場に選ぶのだ。
この男でもむしゃぶりつきたくなるセクシーな男の正体は酷流行省は百倫寺で侮術界の栄誉ある称号「怪王」を名乗ることを許された劣。
驚異的な技量から『魔拳』の異名を持つ劣怪王の狙いは厨獄侮術だけで社会の一般常識を制覇する事だ。
どこでも己の流儀で振るう蛮勇の所為で他人にかける迷惑は天災規模だ。
車両にはツンと鼻を突く酸味を帯びた芳醇な香りが染みついており身嗜みに気使う出社途中の社会人なら乗ろうなどと思うはずもなかったが、ごくまれにその筋の刺激を求める頭が可笑しい変態が「ウホッいい男!」「私の餌となっては如何かッ!」「君のその耐久力(タフネス)に謝々ッッ」などと申し出て敢えて乗車を試みる時があった。
しかし劣の修行中に他の誰かが入ろうものなら全身から怒気を漲らせながらシックスパックに割れた腹筋に胆力を込めて聞き手の下半身を熱くさせる野太い声で一喝する。
「静かにせんかァッッ!ここは武を修めた拳士のみが立つ場だッ!!貴様等が入る場所ではないッ!!稽古の邪魔をするなら出ていけェッ!!出てゆかぬ者は容赦なく叩き伏せるぞォォッッッ!!!」
言うまでもなく電車とは乗客を輸送するために設けられた公共の交通機関であり「武を修めた拳士」とやらのみが立つ場では断じてないッッ!!
何とも支離滅裂で理不尽極まりない言いがかりでしかないがそんな車両に好き好んで乗り込もうとする輩がまともなはずがなく、蛮勇を説得力に力強く猛る劣に半殺しにされても何故か嬉しそうだw
逆にまともな常識人からは苦情が殺到してSNSでも話題になっていた。
当然、警察も鉄道会社もこの状況を問題視しておりある時は震唇会門下の屈強な駅員を、またある時は武装した特殊部隊を派遣したが悉く返り討ちに遭わされた。
武力行使による排除は不可能、権力による介入は強者を溺愛する御老公と全国に百万人の門下生がいる震唇会の圧力がかかり事実上の治外法権が出来あがっていた。
しかしその車両にある1人の男が乗り込んだ事で力の均衡に亀裂が入る・・・
【第弐話】
『カツッ!あひゅうッ!救命阿 (ガウミンア)ッッ!!
嗚呼、たまらぬッこの至福!ここで終わってくれるなッッ!』 へ続くッ・・・!!
