16日の衆院本会議で可決された子ども手当法案と高校授業料無償化法案。鳩山政権にとっては政策の目玉だが、対象になる子供を持つ保護者や子育て支援団体の関係者からはさまざまな声が上がった。

 「親の格差が子供の格差につながってはいけない。そういう意味で両法案に賛成」というのは、滋賀子育てネットワーク(滋賀県甲賀市)代表の鹿田由香さん(44)。ただ、「社会全体でもっと子育てに関心をもつべきだ。保育所の整備、特に0~3歳児が集える場をつくってほしい」と望む。

 「子どもNPO和歌山県センター」(和歌山市)理事長の岡本瑞子さん(65)も両法案ともに賛成。「高校無償化で、親の経済的な理由で高校進学を断念していた生徒にもチャンスが与えられるなど、学ぶ機会が平等に提供される意味は大きい」と評価した。

 また、野外の体験学習を支援しているNPO法人「教育支援協会連合会京都支部」(京都市左京区)支部長、川久保雅悦さん(44)は「財源さえあれば、手当や無償化はいいが結局、個人の税金にしわ寄せが来るのではないか」と疑問を投げかけたうえで、「手当を親が使ってしまい、必ずしも教育に回されるわけではないということもある」と指摘する。

 3歳の長女を持つ神戸市東灘区の主婦、東千香子さん(36)は法案には賛成だが、「学校や幼稚園の校舎の耐震化など、安心して子供を学校に預けられるよう、ハード面の方にもお金をかけてほしい」と注文をつける。妻と長女(1)の3人で暮らす京都市東山区の会社員、福田竹志さん(27)も両法案ともに賛成だが、「将来、子供が中学や高校に進学するときに政権が交代して、政策が継続されていなければ全く意味がない」と懸念する。

 「応急処置的な意味では賛成だが、福祉そのものを充実させることが急務」というのは神戸市西区で認可外保育園を運営する「特定非営利法人ぴっぴ」理事長の福本良江さん(50)。「子ども手当は使い道が不明瞭(めいりょう)。外国で、使い道を教育に限ったクーポンを配る『バウチャー』のような仕組み作りの方が望ましいのではないか」と提言する。

 一方、乳幼児とその親を対象に支援する大阪府富田林市のNPO法人「ふらっとスペース金剛」代表理事、岡本聡子さん(37)は両法案とも「現状では反対」の立場。「財源を地域で求められているきめ細やかな育児、子育てサービスの充実のために使うべきだ」と述べた。

 小学6年の娘をもつ和歌山県田辺市の男性公務員(49)は「今はほとんどの子供が進学するので高校無償化には賛成だが、子ども手当には絶対反対。バラまき以外の何ものでもない」と話す。図書の貸し出しボランティアをしている「えんがわ文庫」(奈良市)世話人の上原雅さん(65)も子ども手当には「大反対」だ。「お金がもらえるならという安易な理由で子供を産んでほしくないし、子育ては誰かにお金をもらってするものではない。保育所の整備など親が子育てをしながら安心して働ける環境を整えることに使ってほしい」と願う。

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