サイエンス: 茨城沖に地震の可能性 | NEW BLANK DOCUMENT

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約4年間の休眠から復帰するための私的小ネタ集: clinical pearls. + 旅の記録

5/19日付けのオンライン版サイエンスに日本の地震が特集されています。
フリーで論文にアクセスできます。

http://www.sciencemag.org/site/feature/data/hottopics/japanquake/

Displacement Above the Hypocenter of the 2011 Tohoku-Oki Earthquake.
http://www.sciencemag.org/content/early/2011/05/18/science.1207401

・GPSとエコーによって海底の調査を行い海底の移動を計測した。
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・南東に5-24m、海底の上昇は-0.8-3m認めた。MYGIの震源域に近い観測点では24mの南東への移動、3mの海底の上昇を認めた。KASMでも23m動いており、海底は少なくとも70kmに渡り20m以上動き、プレートは20-30m滑ったと予想される。MYGIとMYGWを比較すると、MYGWでは逆に陥没が陸と同様に生じておりMYGWの東にヒンジラインがあると思われる。

Shallow Dynamic Overshoot and Energetic Deep Rupture in the 2011 Mw 9.0 Tohoku-Oki Earthquak.
http://www.sciencemag.org/content/early/2011/05/18/science.1207020

・今回の地震の発生プロセスを地震波から解明した。
・地震は①最初の3秒間の初期相、②40秒の深部破壊、③60-70秒の浅い部分の過剰な破壊、④100秒以上続く深部破壊と続いた。
・東京大学大学院のプレスリリースで紹介されています。リンク先の図3 の概念図がわかりやすいです。
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2011/12.html
・③は海溝付近の大きなすべりであるが、この部分のダイナミックオーバーシュート(動的過剰すべり:地震以前に蓄えられていた力を100%解放するだけでなく、さらにすべりすぎるほどすべった)が巨大な津波を引き起こした。
・②、④は体に感じるようなガタガタとした高周波の地震波をおこした。

The 2011 Magnitude 9.0 Tohoku-Oki Earthquake: Mosaicking the Megathrust from Seconds to Centuries.
http://www.sciencemag.org/content/early/2011/05/18/science.1206731

茨城沖のプレートのひずみが解放されておらず大地震を生じる可能性を指摘している。

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・Geodetic Survey of Japan (GSI)によって1200以上のポイントで東北沖地震(Mw 9.0)による地表の移動の観測がGPSにより持続的に行われた(黄色の矢印でベクトルが示されている)。それによると本震により4.3m以上移動し、66cm陥没した。
・本震の約30分後におきたMw 7.9の茨城沖の地震による地表の移動は、約44cmであった(オレンジの矢印でベクトルが示されている)。
・歴史的に大地震があった場所は、十勝がピンク(1968年 M8.2)、三陸が緑(1896年 M8.5、1901年 M7.4、1931年 M7.6、1933年 M7.6)、宮城が紫(1897年 M7.4、1936年 M7.4、1978年 M7.4、2005年 M7.2)、福島が茶色(1938年 Mw7.4、1938年 Mw7.7、1938年 Mw7.8)で示されている。
・黄色でくくられたラインはMw 9.0の今回の本震での8mスリップライン。

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・GPSで持続的に測定された地震周期間の地表の永年変動を青のベクトルで示す。左上に挿入された図は宮城(紫)と茨城(オレンジ)の変異を示す。宮城では3cm/yr、茨城では2cm/yr。?で示された茨城沖での地震の可能性を指摘している。

1938年以前のM8以上の地震は福島・茨城沖には観測されておらず、この研究者らは根拠を上げながら可能性を指摘しているのみです。
茨城沖には地震は起きていませんでしたが、今回の東北大震災の後にMw7.9の地震を生じました。しかし十分に歪みは解消されておらず今回の地震と同規模の地震が起こる可能性があるとGPSデータから推定されました。

福島の原発は次の大きな地震、津波には耐えられないとされています。ですので何らかの対策は必要だと思われますし、直近の東電の発表の中には防潮堤の作成は盛り込まれていたと思います。

例えば1年後までに原発付近に10mの津波を防げる防潮堤つくります、といった何とも遅い対応であったとしても、根拠となるデータを示すことができれば良いと思います。根拠が示せないなら政府主導で迅速につくってほしいものです。

災害対策は最悪の事態を想定しなされるべきでしょうから、速やかに日本独自の方針を打ち出すべきだと思います。

サイエンスにこんな論文出されたらきちんと日本は反論なり対策を提示しないと、誰も日本に来たいと思わなくなってしまうのではないでしょうか…。