入稿が一段落し、ようやくゆっくり読めた。「ブライトンの衝撃」は活字でもウルウルくるな~(笑)。
決戦の朝、ジョーンズ監督とリーチキャプテンは海沿いを散歩し、コーヒーを飲みながら「重要な場面でペナルティをもらい、もし行きたいと思うならためらわずに行け」という会話があったという。それがあの逆転トライを生んだ。
清宮さんは、らしく「あの試合を観た者は人生観が変わる」と言ってたけど、それはよくわかる気がする。
結果が出たもののプロセスは正しい。いままでの思いこみを根底から覆された。なにかを成し遂げようと思ったとき、既存のフレームワークははずさねばならない。
とりわけ印象に残ったのは岩渕GMの総論。ジョーンズ監督が現場指揮官なら彼は代表チーム・スタッフを編成し日本ラグビー界との調整を含めたマネジメントの責任者。
彼は「日本ラグビーというシステムの勝利ではない、ジョーンズ監督という特殊な能力のもと、少数精鋭で鍛え上げられたタスクフォース型の強化が生んだ成果」と冷徹に分析。「結果がでた今だからこそ、(ラグビー界全体を含む)創造的破壊を断行」と結ぶ。
ちなみに()内は私の勝手な補足。やはりNumberで保守勢力、権威主義を名指し批判はできないだろう。
もう一冊はノーベル賞受賞前にまとめられた大村先生本。
独立採算制の研究室を志向。赤字の北里研究所を立て直すため、研究者ながら財務、経営を学び、広く海外との人脈を築き特許料を経営安定のために投入。
お上、税金に頼らず…これは北里柴三郎が自分が作った研究所を官学が支配下に無理やり置こうとしたとき辞表を叩きつけた反骨心に共鳴したもの。
こじつけだがなんとなくエディジャパンに通じるものがあるように思う。
大村先生が身を持って示したことは、助成頼みではなく自らが高い理想と目的を持って研究の原資を産み、生産性の高い研究マネジメントのひとつのあり様を示したことだ。
エディジャパンも同様。日本代表が置かれていたポジションは国内外問わず高いものではなかった。その中で世界で勝てるひとつの方法を示した。
それを別にラグビー界だとか教育界とか全体に水平展開することが重要だなんていう「上から目線」を垂れるつもりは毛頭ない。
ただあの闘いが大村先生が闘ってきた軌跡にも通じるのではないかと思うと、またあらためて感動が深まるのだ。