ユニクロの6月単月業績ががくんと落ちて、業界の人たちがいろいろ騒いでいます。まあ周囲はプラスですからたしかに一人負けと言われていても仕方ありません。
やれ、ユニクロは高止まりしている、飽きられた、などなど。だいたい分析は似たり寄ったりですね。
ただ、長い時間でみると、ユニクロに業績はある意味ジェットコースターです。業界を震撼さすユニークな商品をリリースしたときは、やはりぐんと伸びる。踊り場も低迷期もたくさん経験しています。
まあ長い時間軸で考えれば、革新商品などそう毎年毎年生み出せるわけでもなく、いかに経済環境、天気に左右されずバラツキをなくして成長を維持するか。海外と国内の双方の視点を持って施策を打っていくのでしょう。
ただこの間の話題は、やはりリーディングカンパニーならではの有名税だと私は考えています。
似たような例として、ドラッグストア業界ではコスモス薬品さんが挙げられます。
コスモスもこの6月、7月も間も無く発表されますが、既存店の対前年売上を割っています。ほかは揃ってプラスですから、コスモスになにかあったのでは?と思うのも仕方ないところです。
ただ、これもまた長い時間軸で考えると、コスモス薬品は2008年から2012年まで既存店売上をずっと5%ベースでアップさせてきました。12年以降は2~3%の伸びを維持、12年2月はうるう年、その翌年同月は1日少ないにもかかわらず10%のプラス。そして東日本大震災翌年3月もプラスでした。直近までは1~2%の伸びになっていました。
同社曰く、
「既存店売上の伸びは出店と並ぶチェーンの両輪、しかしこの1~2年はやはり手段が目的化してしまい、エブリデーロープライス×ハイ&ローの後者の部分を強調し、無理に売上をつくってきた部分も大きい」
と言います。まあ他が軒並み数字を落としていた時期に、圧倒的な数字をマークしていただけに、消費増税反動減から皆がプラス基調になる中で急に数字が落ちればやはり目立ちます。
同社は一旦、既存店売上の追求をファーストプライオリティからはずし、新たなエブリデーロープライスの実現を図ることで再び成長軌道を目指すそうです。
短期的投資のリターンを求める株屋さんならいざ知らず、我々流通記者は、いっときの現象で論評するのではなく、長い時間軸で見る力が問われます。
ただ短期的視点も結果としてターニングポイントを指摘する場合があります。
優れた企業は、短期的であっても、批評、分析を受け入れ、プラスに転じていく力を持っています。
その意味でも、ユニクロとコスモス薬品さんは注目していかなければなりませんね。