月刊「商人舎」5月号に掲載されていた成城石井の原昭彦社長のインタビュー、大変勉強になりました。
既存店売上10%増、8期連続増収増益…これらの数字は駅ナカを中心とした卓抜な出店戦略と緻密な商品戦略にあると単純に考えておりましたが、いやいや、じつはチェーンの王道を実践されていました。
たとえば、
○郊外駅ナカ出店の配送は週4
これは物流コストをちゃんと計算しているということです。欠落カテゴリーは地元ベンダーも活用しています。
○タイプ別出店
立地に応じて売場面積もかえるし、品揃えも変化させる。でも棚割は何百パターンもあるわけではない。ちゃんと絞られている。でなければ、週4配送にはなりません。
○繁盛店つくり、より店数
これは意外でした。スーパーのトップは繁盛店つくりに流されやすい。売場に手間隙かける。でも成城石井の差別化の淵源である商品開発力は、「店数」によって担保されている。
○為替変動を見越したソーシングとプライシング
たとえば、ホールフーズ、トレーダージョーズとおなじ原料のチョコレートをバルクで仕入れる。店舗のバックヤードスペースを「工場化」して小分けに詰め替える。為替が、130円こえたら、日本で詰め替えたほうが利益がでる…
インストア加工の次元を一歩も二歩も高めている戦略眼です。
○自前ディストリビューションセンター
小さな国内メーカーのモノづくりに対応するためにも自前センターを持つことは大切です。
○人材投資
パート、アルバイトまでeラーニングによる商品知識の勉強を実施、バイヤーも20人程度。一品目を40フィートコンテナで仕入れて売り切る力を持つ。海外チェーンにも匹敵する「オペレーター能力」です。
これらのキーワードは、今後の流通の生き残りのために不可欠なものばかり。
誰かが、成城石井は日本のトレーダージョーズになる、と言っていましたが、なるほど納得です。恐るべしですが、楽しみでもあります。