友人の奥様から聞いた話。

住宅街にある、近接するドラッグストアとコンビニ。

奥様方の中では、ほぼ9割くらいがコンビニを支持する。

なぜか。

コンビニは24時間ということもあり、駐車場では、コーヒーやパン、弁当などを買ってクルマの中で食事をしてしばしの休息をとる人も多い。

友人の奥さんは赤ちゃんを抱えて、ふと授乳しなければと、コンビニの駐車場に停めて、ついでにランチのパンでも買おうとしたという。

コンビニの駐車場では授乳もでき、パンとお茶を買ってクルマで食べることができた。ついでに雑誌とあすの牛乳が切れていたのを思い出して購入したという。

ところが、同じようなシチュエーションでとなりのドラッグストアの駐車場に入って、先に授乳していたところ、従業員が不振がってクルマに寄ってきて中を覗きこんだそうだ。

奥さんは察してか、先に窓を少しあけて、「すみません、ちょっと子供を落ち着かせていたので」と言ったところ、

「お店に用がないなら停めないでください」と言われたという。

この奥さんは普段、トイレットペーパーはじめ必需品の多くをこの店で買っていたが、この件以来、買うのをやめたという。

いまどきこんな店もあるのかと耳を疑いたくなるようなエピソードだが、

コンビニの間口、敷居の低さとこのドラッグストアが醸し出す「買う客だけが客」という意識のギャップを示すものではないだろうか。

コンビニも最近では、イートインコーナーを、雑誌の位置に並べ、外からも見えやすいように工夫しているところが増えてきた。

これはフレンドリーさを感じさせるファサードだ。

翻ってドラッグストアのファサードを見ると、なんとなく「買物が終わったらさっさとおかえりください」と言わんばかりのお店もあるような気がする。

調剤の待合室もほとんどが、病院だか銀行のようなソファ配列だ。

カフェのような、おばあちゃんたちがちょっとここでお茶でも飲んで行こうかしらと思うような空間づくりをしている店舗は極めて少ない。

ある意味、もったいない空間だと思う。

小商圏においてリピートを増やすためには、「利便性」や「品揃え」が重要であることは言うまでもないが、

「感じのよい店」というのも大切だろう。気軽に休めるというイメージも高齢者や主婦にとっては大切だ。

しかしこれは一朝一夕にはできない。

スタッフを含めた店舗の総合力がこれを実現する。

友人の奥様のエピソードは特別ではない。

なんとなく感じの悪い店にはやはり人はいかなくなる。

そのせいか、そのドラッグストアの駐車場に車が停まっているのを見かけることは少ない。まるでいつも閉店しているかのように見える。対して近くのコンビニはひきりなしにクルマと人がで入りする。

だから人はコンビニを目指す。ドラッグストアは謙虚に学ばねばならない。





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